2025/9/10追記:OPTiM Biz ver.10.2.0へのアップデートによって、OPTiM Bizの管理画面の操作だけでApple Intelligence関連機能の許可設定を変更できるようになったため、内容とタイトルを一部変更しました。
「OPTiM Biz」のver.10.2アップデート内容のご紹介も併せてご覧ください。
この記事の目次
はじめに
Appleは、iOS 18.4、iPadOS 18.4、macOS Sequoia 15.4のリリースに伴い、「Apple Intelligence」が日本語に対応したことを発表しました。これにより、さまざまな新機能を日本語で利用できるようになりました。
2025年4月現在、最新のOSがインストールされている場合、Apple Intelligenceの生成AIを自動的に利用する設定になっており、ChatGPTとの統合も可能です。Apple IntelligenceはPrivate Cloud Compute(PCC)という仕組みを採用しているため、ユーザーの入力したデータはサーバには保存されません。
※ただしChatGPTにサインインし、統合を行った場合はその限りではありません。
Appleはセキュリティについて「Apple Intelligenceの基盤はオンデバイス処理であり、個人情報を収集することなく、個人情報を扱うことができます。」と述べています。
本記事では、Apple Intelligenceの概要や企業で活用する際のポイント、制限や制御の方法をかんたんにご紹介します。
Apple Intelligenceとは
Apple IntelligenceはAppleが開発している生成AIプラットフォームで、iOS 18以降に実装された以下の機能に使用されています。
- 作文ツール
- :書き直し、要約、校正および行った変更についての説明
- スマートリプライ
- :メッセージやメールへの返信候補を提案
- トランスクリプト
- :電話アプリとメモアプリで録音すると、文字起こしを作成、さらに要約を生成
- Image Playground
- :入力したテキストや手書きの絵と説明を元に画像を生成
- Genmoji
- :オリジナルの絵文字を生成
- ビジュアルインテリジェンス
- :カメラに写った被写体の解説(ChatGPT・Google Lensと連携)
- ChatGPTとの統合
- :Siri、作文ツール、ビジュアルインテリジェンスの機能で連携でき、ChatGPTアカウントを紐づけることも可能
Apple Intelligenceは制限すべき?
昨今、企業内では、自社業務におけるAI活用ポリシーを定義して、業務に利活用したり、逆に利用を制限したりといったポリシーを決めて運用しています。現状AppleはApple Intelligenceのデータ利用について、ユーザーの入力したデータはサーバには保存されないが、ChatGPTやGoogle Lensといった外部生成AIサービスとの統合においては、その限りではないとしています。ただ、詳しく見ていくと、それぞれの生成AIサービスをデバイスの各機能と統合したうえで、サービスにログインしなければOpen AIは送信したデータや添付ファイルを保存や学習には使えず、回答を返信するためにしか利用できません。ChatGPTにログインした場合は、Open AIの標準ポリシーが適用され、質問のデータが保存され・学習の素材となります(保存・学習の無効化の設定は可能です)。したがって、Apple Intelligenceを最大限活用しても、保存・学習の無効化の設定を行えば、データの提供を最小限にして利用できるといえるでしょう。
とはいえ、法人用のスマートフォンには顧客データや内部情報といった重要な情報がたくさん保存されており、それらの使い道も契約などで定められているケースもあります。いくら保存されないといえ、目的外利用を避けたい場合もあると考えられます。
そういった場合に、MDM(モバイルデバイス管理)を用いて制限を適用することで、特定のApple Intelligence機能を禁止することが可能です。これにより、セキュリティポリシーに基づいたデバイス管理を行うことができます。
以降は、Apple Intelligence機能を制限したいMDMユーザーに向けて、その方法を解説します。
MDMからApple Intelligenceを制限する方法(OPTiM Bizを例に)
OPTiM Bizを例にMDMでのApple Intelligenceの制限方法を解説します。
2025/9/1から、OPTiM Bizでは構成プロファイルアップロードのiOS制限画面からApple Intelligenceを制限できるようになりました。以下の項目のうち、制限したい項目のチェックを外すことで該当機能を制限します。
1項目を除き、すべて監視対象へのみ有効な設定となります。
- 作文ツールを許可
- ジェン文字を許可
- Image Playgroundを許可
- 画像マジックワンドを許可
- メールの要約を許可
- 外部インテリジェンスの統合を許可(監視対象のみではありません)
- 外部インテリジェンスの統合へのサインインを許可
- “メール”のスマートリプライ機能を許可
- Safariの要約を許可
- “メモ”の文字起こし要約機能を許可
- ビジュアルインテリジェンスの要約機能を許可
- Apple Intelligenceレポートを許可
- “メモ”の文字起こし機能を許可
- 外部インテリジェンスワークスペースのIDを許可
OPTiM Bizでの制限設定、構成プロファイルの配布
MDMごとに操作が異なりますが、構成プロファイルをアップロードし、配布する手順と同じです。本項ではOPTiM Bizでの配布方法を説明します。
- 設定 > iOS > 構成プロファイル > 構成プロファイルアップロード
- 「+」> 「プロファイル名」を入力 > 「空のプロファイルを新規作成」にチェックして一旦「保存」
- 作成したプロファイルの「iOS制限設定」タブを選択し、4章にリストアップされている項目のうち、制限したい項目のチェックを外す
- 「保存」
- 左メニュー「構成プロファイル」 > 適用する構成プロファイルに追加
- 構成プロファイルを端末に適用
ご利用のMDMで制限できない場合:Apple Configuratorでの設定
- Apple Configuratorを起動 > ファイル > 新規プロファイル
- 「名前」と「識別子」を入力
- サイドバーの「制限」設定から4章にリストアップされている項目のうち、制限したい項目のチェックを外す
- 保存し、MDMにアップロードする
注意点
- 構成プロファイル配信時、「重複の許可」がTrueのペイロードでは、競合する(相反する)設定内容を複数適用すると、 OS の判断でより制限が強力なものが反映され、「重複が許可」がFalseのものでは、iOS端末上でインストールエラーが発生します。
- 適用可能なOSバージョンが指定されているペイロードについて、指定OSバージョン以下の端末にはインストールできてしまいます(インストール時に管理サイトのログに警告が表示されます)が、有効にはなりません。
- OPTiM Biz系列ではない他社のMDMにプロファイルアップロードする場合、他社製品の仕様によって、使用上のルールや動作、容量の制限などが存在しているケースがありますので、事前に仕様をご確認の上、ご利用ください。
まとめ
本記事では、MDMでApple Intelligenceを利用した機能を制限する方法を説明しました。
複数の構成プロファイルを運用していると設定の競合が発生する場合もあるため、適用前には、手元での動作確認を忘れずに行ってください。また、所属組織のポリシーに合致した運用となるよう、ご注意ください。
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