「自社専用のAIチャットボットを導入して、社内からの問い合わせ業務を効率化したい!」
とお考えではないでしょうか?
しかし、いざ導入を進めてみると「精度が上がらない」「セキュリティが不安」といった課題に直面する企業も少なくありません。
実は、その課題は「導入前の準備」で回避できます。
本記事では、スムーズなAIチャットボット導入を実現するために、事前に押さえるべき3つの重要な準備ポイントを解説します。
導入を検討中の方は、ぜひご一読ください。
1. 導入前準備の必要性
近年、情報システム部門やバックオフィス部門では、「社内チャットボット」導入が検討されています。
特に、ChatGPTやCopilotなど、自然な会話で回答してくれるツールが登場したことで、
「これを社内の問い合わせ対応に活用できないか?」と「AIチャットボット」にスポットライトが当たっています。
しかし、社内情報をAIチャットボットに学習させ、いざ導入を進めようとすると、以下の課題に直面する可能性があります。
- 回答精度が期待したほど上がらない
- 求めていた回答とずれた情報が返ってくる
- セキュリティ面での懸念をクリアできない
これらの課題は、実は導入前の事前準備で回避できます。
スムーズなAIチャットボット導入を実現するため、以下のポイントをお伝えします。
2. 【ポイント1】適切なデータ収集と、データのクリーニング
AIチャットボットの性能は、投入するデータの質と量に左右されるため、精度の向上には十分な量のデータや、質の高い情報を備える必要があります。
しかし、どのようなデータであれば精度が向上するかは、AIチャットボットの目的や求める成果によって異なります。
まずは導入前に明確な目的設定と、それによって得たい成果を具体的に整理しましょう。
それによって、用意すべきデータが定まります。
以下にいくつか例を挙げます。
| 目的 | 得たい成果 | 用意すべきデータの具体例 |
|---|---|---|
| 問い合わせ対応の工数削減 | 電話やメールの対応件数を30%削減する。 |
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| 新入社員・中途社員のオンボーディング効率化 | 新入社員・中途社員と教育担当者間の質問対応時間を50%削減する。 |
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| 従業員からの社内ヘルプデスク利用体験の改善 | 情報システム部門へのパスワードリセットや備品申請に関する質問の平均応答時間を5分以内にする。 |
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次に集めたデータの整備を行います。
社内にある情報は、AIにとって扱いづらい形式であることがほとんどです。
たとえば、古い手順書が混在している場合や、表現のゆれ(「VPN接続」「テレワーク接続」「リモートアクセス」など、人間なら同じ意味と分かる内容でも、AIにとっては別物として扱われます。)、形式のばらつきといった状態が散見されます。
この状態でAIチャットボットの学習を進めると、期待する精度に届かない可能性があるため、データのクリーニングをする必要があります。
主なポイントは次の4つです。
- 情報の重複を減らす 最新版マニュアルを明確にし、古いマニュアルや重複する情報は対象外とするよう仕分けます。
- FAQ形式に変換する 「質問と回答」といったFAQ形式を増やしたり、簡潔で分かりやすい言葉に置き換えたりすると、AIが情報を抽出しやすくなります。
- AIが扱いやすいデータに整える
前述したようにデータ内の表現の揺れをなるべく減らしておきます。
また、画像データのみで説明している部分にはテキストでの説明を付与することで、参照しやすくなります。 - トピックや機密度を整理し、タグ付けする
メタ情報に対応するチャットボットでは、情報を「社内システム」「PC初期設定」などのトピックごとに整理し、タグ付けすることで検索性を高めます。
また、機密度として「公開可/社内限定/機密」などメタ情報を付与し、セキュアな管理を目指します。
AIに学ばせる前に、人間が整えるといったひと手間で、AI導入後の精度は変わっていきます。
3. 【ポイント2】会話のルールを定めるプロンプト設計
社内チャットボットにおいては、回答の正確性と一貫性、そして社内ルールへの準拠が重要です。
それらを実現するためには、AIに対して明確な制約を与える必要があります。
このプロセスが「プロンプト設計」です。
たとえば、回答の品質とルール遵守を徹底したい場合、以下のようなプロンプトを設定します。
- AIの役割を明確にした行動指針を設定する
→ 例:「あなたは社内ヘルプデスクの担当者です。VPNや社内システムについてなど、
IT関連の質問に答えます。」 - AIが参照してよい情報源を限定する → 例:「以下の社内FAQデータベースのみを参照して回答してください。」
- 回答フォーマットを固定する → 例:「“手順 → 注意点 → 問い合わせ先”の順で回答すること。」
- 不明点への対応ルールを定め誤回答を抑止 → 例:「情報が見つからない場合は“担当者に確認が必要です”と返答すること。」
こういった設計を行うことで、AIが社内ルールから外れるリスクを抑えることができます。
導入前に定めた、目的設定に応じた設計を行えるよう準備をしておきましょう。
ただし、回答プロンプト設計を柔軟に行えるAIチャットボットサービスは限られているのが実状です。
導入にあたってサービス提供ベンダーとの事前協議が必要となります。
4. 【ポイント3】セキュリティ対策の事前検討
社内のAIチャットボットが取り扱う設定情報、業務内容リスト、障害報告などの機密性の高い情報は、適切なセキュリティ対策なしには情報漏洩や不正アクセスといった、予期せぬリスクを招きかねません。
安全な運用のためには、以下のセキュリティ対策を講じているAIチャットボットの選定、または事前の設定が必要です。
- AIチャットボットへのアクセス制御
ログイン、SSO(シングルサインオン)を設定し、関係者のみがアクセス可能な環境を構築します。
また、部署や職位に応じた権限設定で、閲覧可能な情報の範囲を制限します。 - 提供情報のパーソナライズ ログインユーザーの情報に基づき、前述でタグ付けした機密度に応じた回答のみを提供する仕組みを導入します。
- 利用ログの収集・監査 「誰が、いつ、どのような質問をしたか」といった利用履歴をログとして記録・収集し、情報の利用状況を可視化・監査できる体制を整えます。
- 学習データの分離 社内データが外部AIモデルに送信されないように設定し制御します。
セキュリティ対策については導入前に検討し、準備しておきましょう。
AIチャットボットの選定にお悩みの際は、以下の記事もぜひご参考ください。
→ 2025年最新版【徹底比較!】AIチャットボット10選をコスト・機能別に紹介
5. セキュリティとサポートに強みを持つ「OPTiM AIRES」
本記事では、社内チャットボット導入成功のための3つの準備ポイントをご紹介しました。
AIの精度を高めるには、データ収集とクリーニングで質の高い情報を整備すること。
次に、目的に沿った適切なプロンプト設計を行うこと。
そして、情報漏洩を防ぐセキュリティ対策を検討することが重要です。
AIチャットボットの成果は、事前の準備で決まります。
セキュリティとサポートに強みを持つ「OPTiM AIRES」は、社内向けAIチャットボットが簡単に作成できるクラウドサービスです。
SSO(シングルサインオン)に対応したアクセス制限機能を搭載し、学習データ送信の制御を行っています。
また、「求める精度に到達できるか不安」というお客様に向けて、導入前の丁寧なサポートも承っております。
フリープランをご用意しておりますので、まずは無料でその機能をお試しください。
