様々な業務でAIを活用し、効率化をミッションとする流れは、現代のDX(デジタルトランスフォーメーション)化の波において、非常に重要になっています。
営業部門でも同じくDX化の波が押し寄せています。
しかし、AI技術の活用が重要であることは理解しているものの、
「どのようにAIを適用すれば効果が得られるのか」、具体的なアイデアや事例が見つからず、お困りではないでしょうか?
この記事では営業部門のAI活用の中でも「営業教育」に焦点を当て、具体的な方法をご紹介します。
1. 営業教育の課題をAIで解決へ導く
通常、営業部門では主に以下のような現状があり、これが組織全体のスキルアップの上での課題となりやすい傾向にあります。
- OJT中心で属人化しやすい 熟練者の経験に依存しており、指導者によって教育内容や質に大きなバラつきが生じています。
- スキルの標準化が困難 標準化された教育プロセスがないため、個人のスキル差が大きく、組織全体の底上げが難しい状況です。
- 教育コストと時間の増大
通常業務が優先され、体系的な教育工数の確保が困難です。
特に顧客との会話を想定して行う商談ロールプレイにおいては、指導担当者の時間を大きく消費しています。
この課題に対し、商談ロールプレイをAIに任せることで、低コスト・短期間でのDXの成果を期待できます。
AIを教育に取り入れることで、以下のメリットが実現します。
- 時間と場所を選ばない反復練習
いつでも好きな時間に商談ロールプレイ練習が可能です。
指導者の日程調整は不要となり、教育の工数と人件費を削減できます。 - 均質で客観的なフィードバック AIが一貫した基準に基づき、応対内容や会話の構造に対して客観的かつ標準化されたフィードバックを提供できるため、属人性の排除とスキルの標準化を推進します。
- 多様なシミュレーションの実現 AIは多様な顧客ペルソナ(態度、反応、質問など)を演じ分けられるため、実践に近い状況での対応力を養うことができます。
AIを商談ロールプレイに活用し、営業教育を革新することで、営業部門の生産性を高めていくことが可能です。
2. AI×商談ロールプレイの具体的な活用方法
今回はChatGPT Freeを使用した例をご紹介します。
商談を再現するためには、まず、顧客属性・製品情報・顧客情報を具体的に設定することがポイントです。
ロールプレイの条件設定
-
お客様属性
業種・部署・年齢といった基本情報に加え、
「細かい質問をしてくる人」や「話が脱線しやすい」といった定性的な属性を追加することで、
よりリアルに商談をイメージできます。 -
製品情報
製品のWebサイトURLを追加します。
説明する製品がどのような活用方法があるのかを記載します。 -
お客様情報
どのような企業のどのような業務を行っているお客様なのかを詳しく記載します。
お客様が行っている業務に関連した課題を記載します。
以上のように具体的な条件設定により、リアルな商談練習が実現できます。
以下に弊社の新人教育時に、実際に使用したプロンプトとその後の流れをご紹介します。
弊社の提供するAIチャットボットツールである、「OPTiM AIRES」の初回商談をロールプレイにて練習します。
プロンプト
これから営業のロールプレイングを行います。私が営業役、ChatGPTがお客様役です。
お客様属性
・ITツールに関する技術的知識が非常に高い
・他社ツールの機能や構成を断片的に深く知っている
・深掘り質問や論点ずらしなど意地悪な質問もしてくる
ChatGPTが上記属性のお客様を演じてくれることで、NG内容や切り返しに対して私が対策を図っていくことによって営業力を高める練習にしたいと思っています。 以下条件です。
私は法人向けのAIチャットボットサービスを販売している営業担当です。
製品情報
製品URL:https://www.optim.co.jp/optim-aires/
主な提供価値としては、社内のマニュアルや社内規定などを回答していた情シスの代わりに、チャットボットが回答してくれる社内向け、HPを見てお問い合わせをしてくれる他社様への一次回答の社外向けの二側面があります。
お客様情報等
大手医療機器メーカー 事業戦略本部 PLM推進グループ 部長 PLMはProduct Lifecycle Managementの略。顧客からの声(VOC)が1年で1万件以上あり、それを分析している。AIを活用しても専門用語が多く、要約の精度や分類などがうまくいかない。
このような条件の中でロールプレイングを行っていきますが、私の挨拶をスタートにトークを展開していきたいと思っています。
また、最初にアイスブレイクとヒアリングをした後、提案資料とデモ画面を用いて説明を行ったあとクロージングを行います。
上記条件の役を徹底的に演じてください。ではスタートしましょう。
実際のロールプレイの流れ(一部)
このように実践的な商談練習を繰り返し行うことが可能になります。
実際に弊社で新人教育として、AIを相手に行った商談ロールプレイの全容は、ホワイトペーパーにまとめました。
このお客様との商談がどのようにクロージングされるのか、ぜひダウンロードしてご覧ください。
3. AIによるフィードバック
商談ロールプレイによって、クロージングまで成功した後は、引き続きフィードバックを受けます。
例えば以下のようなプロンプトを入力します。
プロンプト
フィードバックを以下のような構成でお願いします。
・営業としての良い点、改善点、次回意識すべきポイントをフィードバックしてください。
以下の観点で5段階評価もつけてください:
• ヒアリング力(5点満点)
• 提案力(5点満点)
• 説得力(5点満点)
• 信頼感(5点満点)
• クロージング力(5点満点)
返ってくるフィードバックの例は以下になります。
総合フィードバック
■ 営業としての良い点
- 誠実で落ち着いた応対:お客様からの攻撃的・挑発的な質問にも冷静に対応し、言葉を選んで誠実に返答しており、信頼感の醸成に成功していました。
- 丁寧な提案と導線:機能の説明、セキュリティ、UI、価格体系など、顧客の懸念に沿った情報提示が適切な順番で行われており、デモの実施までスムーズにつなげる構成力がありました。
- 柔軟な対応姿勢:「貴社とご一緒に良いチャットボットを作りたい」という共創的な姿勢は、強硬な顧客にも響きやすく、導入後を見据えた安心感につながっています。
■ 改善点
- 証拠・実績の示し方に工夫:成果が出ている前提の実績を語る際に「具体的にお伝えできません」「PoCではない」など曖昧な表現が見られました。機密に触れない範囲で「例:検索時間が平均○%短縮された」といった粒度で伝え得る努力があるとより説得力が増します。
- 顧客要望への先読み:Azure ADとの連携、独自辞書の柔軟性、ログのフォーマット出力などは顧客が問う前に先回りして出しておくと、「この会社は分かっている」という印象を与えられます。
- クロージングの一歩先:お客様が「評価基準はここで用意します」と主導権を取った場面では、こちらから「その内容、事前にすり合わせできますか?」といったリードを取っておくと、トライアル後の成功率が上がります。
(こちらも全文はホワイトペーパーにて公開しております。)
このようにAIのフィードバック傾向から、現在、不足しているスキル新たな商談パターンへの対応力を分析していくことができるようになります。
AIからのフィードバックを基に評価ポイントの分析や、継続的な改善を行っていきましょう。
4. 営業部門から他部署展開へ
AIによる商談ロールプレイが営業部門において効果を発揮するようなら、単なる営業教育ツールに留めることなく、その成果を全社的なスキル標準化を目指すツールとして展開させていくことも可能です。
例えば、顧客応対のシミュレーションとしてカスタマーサポート部門へ応用したり、全社共通の新人研修プログラムに組み込むことで、入社直後からのビジネススキルの標準化を促進したり、といった展開が考えられます。
AIロールプレイを用いることで、全社的なスキル標準化とDX化の推進をしていきましょう。
弊社では営業部門での教育において、実際にAIによる商談ロールプレイを導入しています。
ロールプレイの例文(ノーカット版)や、メンバーの声など、こちらのホワイトペーパーよりご確認ください。
5. AI活用の相談ならオプティムへ
オプティムでは、DX化を支援する数々のAIソリューションを提案しています。
DX化のご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
例えば、AIチャットボットサービスである「OPTiM AIRES」は問い合わせ対応業務を効率化します。
マウス操作で手軽に設定できるUIにより、5分で問い合わせ対応に利用できるAIチャットボットの作成が可能です。
フリープランをご用意しておりますので、まずは無料でその機能をお試しください。
