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公開日: 2025/4/11

著作権法の注意点|AI学習×クローリング

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インターネット上の膨大な情報を効率的に収集し、ビジネスや研究に活用する手段として注目を集めるクローリングとスクレイピング。
その一方で、著作権法や利用規約違反といった法的リスクがつきまとう技術でもあります。

本記事では、クローリングの基本とその利点を紹介すると共に、必要な配慮や対策について詳しく解説します。
安全かつ効果的にクローリング技術を取り入れ、データ活用の未来を切り開くヒントを一緒に探っていきましょう。

1.クローリングの基本と活用

クローリングとは?

クローリングとは、特定のWebページやWebサイト全体を自動化されたプログラムで巡回し、必要な情報を収集する技術のことです。この技術は、企業や個人が効率的にデータ収集を行う手段として注目されています。

クローリングでは、まずWebページのHTML構造を解析し、リンクを辿ってデータを集めるプログラムを作成します。このプロセスにより、大量のデータを組織的に収集し、短時間で取得することが可能となります。使用するツールは「クローラー」と呼ばれます。

スクレイピングとの違い

スクレイピングとクローリングはしばしば混同されますが、それぞれ異なる目的を持っています。

クローリングは、Webサイト全体を順次巡回し、リンクを辿って情報を広範囲に集める技術です。
例えば検索エンジンのインデックス構築はこのクローリングによって成り立っています。

一方、スクレイピングは、特定のデータを抽出することを重視し、例えばWebページの中から価格や日時といった情報だけを集める際に使用されます。

いずれの技術もWebサイトを自動的に巡回・解析するという共通点を持つため、実行時には以降に挙げる注意が必要です。

クローリングの活用

最大のメリットは、データ収集の自動化による効率性の向上です。
人手による収集と比較して、24時間365日稼働が可能で、大量のデータを短時間で正確に収集できます。

また、リアルタイムでのデータ収集が可能なため、市場動向や競合他社の情報をタイムリーに把握することができます。複数のWebサイトから同時にデータを収集できる点も大きな利点です。

収集したデータは構造化された形式で保存されるため、データ分析やビジネスインテリジェンスに活用しやすく、市場分析やトレンド把握などが効率的に行えます。

2.クローリングの法的リスクと注意点

知らない間に違反に?クローリング時の誤解

クローリング技術は、Web上の情報収集を効率化する有用なツールとして知られていますが、その活用には慎重な判断と適切な運用が求められます。特に注意すべき点として、「公開情報は自由に使える」という認識が法的トラブルを招くリスクがあります。

Web上で公開されているコンテンツには、多くの場合著作権が設定されており、その利用には権利者が定める条件を遵守する必要があります。データの収集方法や頻度によっては、サイト運営者から不正アクセスとみなされる可能性もあるため、各サイトの利用規約を確認し、適切な手順を踏むことが重要です。

また、クローリングで取得できる情報には、著作権で保護されるテキストや画像だけでなく、単純なデータや事実情報など、著作権が及ばないものも含まれます。これらの区別を正しく理解し、必要に応じて権利者の許可を得るなど、法的リスクを回避するための対応が不可欠です。

このように、クローリング技術の活用には、技術的な知識だけでなく、著作権法への理解や倫理的な配慮が必要です。AIやURL巡回技術は責任を持って運用することで、効果的かつ適切な情報収集が実現できます。

AIの学習目的でのクローリングと著作権法

平成30年の著作権法改正により、情報解析目的での著作物の利用については、著作権者の許諾を必要としない権利制限規定が設けられました(著作権法第30条の4)。
著作権法第30条の4は、著作物の利用に関して、「著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない」利用においては著作権者の許諾を得ずに利用できることを定めており、AIの学習目的でのデータ収集・解析も原則として著作権法第30条の4に定める利用に該当すると考えられます。

ただし、著作権法第30条の4に定める著作物の利用には例外があります。
それは「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」です。
例えば、情報解析用として販売されているデータベースをAI学習目的で複製する場合や、海賊版サイトと知りながら学習データを収集する場合などがこれに該当し、その場合においては、著作権者の許諾を得ることなく、著作物を利用することはできません。

以上より、一般的なウェブサイトのコンテンツをAIの学習データとして収集する行為は、「著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合」かつ「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」に該当しない前提の利用であれば、著作権法第30条の4の範囲内であると考えることができます。
ただし、利用規約等で明確にクローリングが禁止されている場合は、契約上の制限として別途考慮する必要があります。

参考資料:文化庁 文化審議会著作権分科会法制度小委員会
AIと著作権に関する考え方について(令和6年3月15日)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/chosakuken/pdf/94037901_01.pdf

サーバー負荷とサイト管理者への配慮

クローリングで高頻度にWebサイトへアクセスすると、サーバー負荷を大幅に増大させる可能性があります。このようなアクセスは、場合によってはDoS攻撃と見なされることもあるため、アクセス頻度やタイミングには十分な配慮が必要です。

過剰なアクセスはサイト運営に支障をもたらし、サイト管理者に迷惑をかけるだけではなく、威力業務妨害罪に問われるケースもあります。

3.クローリングを安全に行うための方法

クローリングを安全に行うための3つの方法①利用規約を確認する②robots.txtを読み解く③API利用を選択する

利用規約等の確認

多くのWebサイトでは利用規約等の中でクローリングやスクレイピングを禁止していることがあります。
このため、利用規約等の確認はクローリングを行う際の重要なステップです。
利用規約等に違反してデータ収集を行うと、サイト管理者とのトラブルや法的リスクを抱える可能性があります。
また、規約違反が意図的ではない場合でも、サイト管理者からアクセス制限や法的警告を受けることがあるため注意が必要です。

ロボットテキスト(robots.txt)を読み解く

ロボットテキスト(robots.txt)の確認は必須事項です。これは、1994年に策定されたRobots Exclusion Protocol(REP)に基づく標準的な仕組みで、Webサイト運営者がクローラーに対して指定するアクセスルールを記載したファイルです。

このファイルは基本的に、WebサイトのURL直下に配置されており、「/robots.txt」の形式でアクセスできます。robots.txtには、クローラーがアクセスして良いURLやアクセスを禁止するURLが記載されているため、クローリングを始める前に必ず確認する必要があります。

Robots Exclusion Protocolでは、User-agent(対象となるクローラーの指定)、Allow(アクセス許可)、Disallow(アクセス禁止)などの主要なディレクティブが定義されており、これらを使用してクローラーの動作を制御します。

robots.txtが存在しない場合や記載内容にアクセス制限がない場合でも、モラルを持った振る舞いを心掛けることが求められます。なお、このプロトコルは法的な拘束力を持つものではありませんが、Webクローラーの開発者やオペレーターにとって、順守すべき重要なガイドラインとして広く認識されています。

提供されているAPI利用を選択する

API(アプリケーションプログラムインターフェース)の利用は、クローリングよりも安全で効率的なデータ収集方法とされています。
Webサイト運営者が公式に提供しているAPIでは、指定されたフォーマットでデータを取得でき、クローリングと異なり、著作権法違反や利用規約違反のリスクが低減されます。
また、APIは通常、サーバー負荷やセキュリティ上の問題を考慮した設計が施されており、URLクローリング時の注意も軽減されます。

こうした点から、可能であればクローリングではなく、Webサイト運営者が公式に提供しているAPIを利用することが推奨されます。

4.WebクローリングでAIチャットボットをさらに加速

「OPTiM AIRES」は、高性能なAIチャットボットを簡単に構築できるクラウドサービスです。
Webクローリング機能を搭載しており、オンライン上の情報をチャットボット用の知識として取り込むことができます。
Webサイトの情報を効率的に収集し、チャットボットの知識ベースに反映するため、幅広い質問に対応可能なAIチャットボットを簡単に構築できます。
サイトの更新内容を自動的に追従する機能を備えているため、手動でのメンテナンス作業が不要です。

また、安心してご利用いただけるよう、robots.txtを遵守したクローリングを実施しております。
具体的な利用方法については、プライバシーポリシーに記載しております。

「OPTiM AIRES」の詳細については、以下のバナーより資料をダウンロードください。導入に関するご相談も承っております。

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※本記事は令和7年4月11日時点の情報となります。

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