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公開日: 2025/4/24

文書管理とは?わかるようでわからない重要性や正しい進め方を解説

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「文書管理したほうがいいのはわかるが、自社も取り組むべきなのかわからない」

「自社はあまり文書管理できていないけど、そもそも文書管理とは何をすることなのか?」

文書管理がきちんとできていないと認識しながらも、取り立てて大きな問題が起こっていないために実践に踏み出せていない企業も多いかもしれません。

そもそも文書管理とは、必要な文書を必要な時に活用できるように、適切な状態で管理しておく活動のことです。

業務の効率を高め、会社を守り成長させるには、こうした適切な文書管理は欠かせません。

コクヨ株式会社が2017年に行った調査によると、週に書類を5日以上検索する有識者は、1日のうちの20分を書類探しに費やしていることがわかりました。

参考:コクヨ株式会社「書類を探す時間は“1年で約80時間”」

つまり1年間の労働日数に合わせて年換算すると、1年間で約80時間が書類探しのために失われていることになります。従業員一人ひとりに発生している「書類探し」の時間を、もっと本質的な業務に充てることができたなら、会社全体の生産性は大きく高まるでしょう。

さらに、適切な文書管理ができていない状態は、コンプライアンスリスクを抱えているといえます。多額の費用負担が発生したり、会社の信頼を失ったりする事態に陥る危険性が高い状態なのです。

こういった事態を回避するためには、文書を活用しやすく、法的に問題のない状態に整えておく仕組みづくりをしていかなければなりません。その手段となるのが文書管理です。

本記事では、文書管理の目的や効果、文書管理を行わないことのリスクなどを解説し、文書管理に取り組む基本ステップやポイントをまとめました。

文書管理の重要性をしっかりと理解できるため、あなたの会社で文書管理を推進するかどうかを自信をもって判断し、一歩踏み出せるようになります。

会社を守る役割を担う文書管理について、理解を深めていきましょう。

1. 文書管理とは「文書を整理してすぐに活用できるようにすること」

文書管理とは、業務上で発生した文書を整理し、必要なときにすぐに活用できるように適切に管理しておくことです。

管理対象となる文書は、法律によって保存が定められた文書に限らず、契約書や製品の設計図、稟議書など、紙・電子にかかわらず社内で取り扱うあらゆる文書が含まれます。

文書管理は、こうした文書を単純に保管しておくことではありません。

文書のライフサイクルである「作成→閲覧→保存→廃棄」の各タイミングにおいて、ルールにもとづいた取り扱いを実践することが適切な文書管理といえます。

それでは、適切な文書管理とは、具体的にはどのような活動を行い、どのような状態を目指すものなのでしょうか?文書のライフサイクルのタイミングごとに、文書管理の具体例をまとめました。

タイミング 活動例 理想の状態
作成
  • 文書のテンプレートやフォーマットを用意する
  • 一目で内容がわかるファイル名にする
  • 誰もが簡単に文書を作成できる
  • 命名規則に沿ってファイル名が統一されていて探しやすい
閲覧
  • 分類ルールに従ってフォルダ分けやファイリングする
  • 誰がいつ文書を使用したかを記録する
  • 文書の内容に応じて適切な範囲で共有する
  • 分類ルールに沿って文書が整理され、検索・共有がスムーズにできる
  • 使用履歴を確認できる
  • 機密情報は最低限の範囲でしか共有されない
保存
  • 分類ルールに沿って、特定の場所に文書を保存する
  • 重要書類は閲覧・使用の権限を限定する
  • 法令で定められた保存期間の間、保存する
  • ルールにもとづいた場所に文書が保管され、必要時すぐに取り出せる
  • 情報の流出や紛失を防げる
  • 法令に沿って文書を保存している
廃棄
  • 文書ごとに保存期間を定めて、期間が経過したら廃棄する
  • 情報が漏洩しない方法で文書を廃棄する
  • 適切な保存期間を経過したら、リスクのない方法で廃棄している

このような形できちんと文書管理されているほうが会社にとって望ましい状態であることは間違いありません。

一方で、多くの企業にとって文書管理は「現状すぐに解決すべき課題」とは位置づけられていないことも多いものです。

しかし、文書管理は会社を守り成長させるために欠かせない活動です。

文書管理が不十分であると、営業活動がスムーズに進まないだけでなく、会社に大きなダメージをもたらす恐れもあります。

こうした文書管理に取り組む重要性について、次章から詳しく説明していきます。

2. 文書管理の目的は大きく2つ

文書管理が「企業にとってなぜ必要なのか」を理解するために、まずは文書管理の目的を押さえておきましょう。

【文書管理の目的】

  • 業務の効率化
  • 法令遵守

それぞれを詳しく見ていきましょう。

2-1. 業務の効率化

社内の文書管理を進めることで、業務効率の向上につながります。

文書管理によって、目的の文書がすぐに見つかる状態に整理されていれば、業務に必要な情報にすぐにアクセスできるからです。

文書探しにかかる時間を短縮できるため、より重要度の高いコアな業務にリソースを割くことができます。

また、必要な情報にアクセスしやすい環境を整えることで、業務に必要なナレッジが共有しやすくなり業務の質も高まるでしょう。

たとえば、適切な文書管理は以下のようなシーンで力を発揮します。

【必要な書類にすぐにアクセスできる】

顧客からの問い合わせに、これまでの商談や取引内容を確認しなければ回答ができないケースもあるでしょう。それぞれの顧客に関わる文書がすぐに取り出せる状態で保管されていれば、顧客を待たせずに正確な回答ができます。

【ナレッジが共有しやすくなる】

新入社員が企画書や稟議書を作成する場合、過去の文書をすぐに閲覧できる環境であれば、記載項目や体裁が整った文書に仕上げられます。ナレッジの共有により、教育コストの削減も見込めます。

このように、社員一人ひとりの業務をスムーズに効率化するためには、業務に必要な書類をすぐに活用できるように文書管理に取り組む必要があります。

2-2. 法令遵守

文書管理は、法令遵守においても重要な役割を果たします。

企業が取り扱う文書のなかには、文書の管理方法が法令によって定められているものもあり、規定に従って適切に文書管理しなければ法令違反になる恐れがあるためです。

適切な文書管理によって法令が遵守できる例としては、以下のようなものがあげられます。

【法定保存期間に合わせた保存】

決算に関する書類や従業員の雇用や賃金などに関する書類、各種契約書などは、各法律で定められた期間の保存が義務付けられています。

保存期間のあいだは、必要があれば提出を求められる可能性があるため、すぐに取り出せるように文書を適切に管理する必要があります。

適切に文書管理を行えば、文書ごとに適切な保存期間が設定され、すぐに探せる状態で保管されるため、こうした要件を満たすことができるのです。

【帳簿などの電子データ管理】

国税に関わる帳簿や書類を電子データで保管する場合、電子帳簿保存法により保管のルールが決められています。また電子帳簿保存法の改正により、電子データで受け取った納品書や請求書は、電子形式での保存が義務化されました。

電子データで保存する際には、「データが改ざんされないこと」や「データの容検索・アクセスが容易にできること」などの要件を満たした文書管理の仕組みを整えることで、法令を遵守できます。

とくに、ペーパーレス化が推進される流れにおいて、電子帳簿保存法に対応するための文書管理は不可欠になっていくでしょう。

3. 適切な文書管理で得られる効果

文書管理への取り組みによって「業務の効率化」と「法令遵守」の目的が達成されると、以下のような4つの効果を得られます。

【適切な文書管理で得られる効果】

  • 信頼性の向上
  • 属人化の防止
  • コスト削減
  • 顧客満足度の向上

それぞれの観点から、文書管理が適切に行われることで具体的にどのような効果がもらされるのかをみていきましょう。

3-1. 信頼性の向上

適切な文書管理を行うことで、企業の信頼性は向上します。

なぜなら、文書管理の目的の1つは法令遵守であり、適切に文書管理することで法令やコンプライアンスに沿って文書を取り扱えるためです。

法令を遵守し、コンプライアンスを確保した文書管理を行うと、具体的には以下のような効果が得られます。

【機密情報を守れる】

契約上守秘義務のある文書や顧客の個人情報などに対して、閲覧可能な人を限定したり、使用履歴を残したりすることで、重要な情報の漏洩や紛失を防げます。

【紛争時に証拠を出せる】

業務のプロセスや顧客とのやり取りを記録し保管しておくと、業務やサービス提供が適正に実施された証拠となり、トラブル時に根拠のある説明が可能となります。

【取引時の印象がアップする】

取引先との折衝において、取り交わす文書が正確で適切に管理されているものであれば、自社に対する信頼性が高まります。

このように、文書管理への取り組みによって、法令やコンプライアンスに違反しない文書の取り扱いが実現し、「情報を大切に扱うきちんとした会社」という企業イメージの向上につながるのです。

3-2. 属人化の防止

文書管理を進めることによって、ある業務の遂行が特定の担当者のスキルや経験に依存している状態である「属人化」の防止につながります。

文書管理の仕組みが整うと、社内の一部もしくは個人に蓄積されたノウハウやナレッジが、他の人にも共有しやすくなるためです。

たとえば、営業活動をとおして培ったノウハウやナレッジを文書化して、必要なときにすぐに取り出せる状態に管理しておくと、それらの有益情報を誰もが活用できる状態を作れます。

業務フローや業務推進に役立つ情報もまとめて共有されていれば、業務に不慣れな社員でも業務を進められるようになり、後進の育成にも役立ちます。

そのためには、業務の標準化やノウハウの文書化を手助けするテンプレートを用意したり、それらを共有するための仕組みを整えたりといった文書管理が欠かせないのです。

このように、ノウハウやナレッジの共有が促進される文書管理によって、誰もが業務をスムーズに進めるための有益な情報にアクセスできるようになり、属人化の解消や防止が進んでいきます。

3-3. コスト削減

適切な文書管理によって、コスト削減の効果も得られます。

不要な文書の処分や、適正に整理された文書保存を実施すると、これまでよりも少ないスペースでの文書保管が可能です。文書管理によって業務効率も向上するため、人件費の削減も期待できます

文書管理が進んだことで削減できるコストには以下のような例があげられます。

  • 文書保存に必要なスペースを確保するための家賃や倉庫代
  • ファイリングするためのバインダーやフォルダ、ボックス代
  • 文書を収納するキャビネット代
  • ペーパーレス化を進める場合は、用紙代や印刷代
  • 時間的コスト(文書を探す時間や、情報を尋ねる時間、教育にかかる時間など)

このように、文書管理によって保存する文書を取捨選択したり、適宜電子化したりすることで、紙の文書量を削減でき、紙に関わるコストが削減されます。

また、整理された状態での保存を実現できると、時間的なコストも軽減されていきます。

とくに紙文書の保存量が多い会社ほど、現状これらのコストが大きく、より大きな効果が期待できるでしょう。

3-4. 顧客満足度の向上

顧客満足度の向上にもつながるのが、文書管理に取り組むメリットでもあります。

文書管理が顧客満足度を高める効果をもたらす理由としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 業務に有益なノウハウやナレッジが共有しやすくなり、これまでよりも質の高い対応やサービスを提供できる
  • 業務のプロセスを文書化して管理することで、製品やサービスの改善に役立つ
  • 顧客とのやり取りに関わる情報の管理・共有により、顧客対応がスピーディーに行える

たとえば営業部門において、これまでは個人でしか把握していなかった顧客とのやり取りの経過などを文書化し、部署全体の情報として管理していくとします。

効果の出た営業方法やトラブルへの対処法などが部署の財産として蓄積され、それを部署内の誰もが活用できるようになるため、部署全体の営業スキルを高めることにつながります。

文書管理によって、他の人の業務プロセスや詳細な顧客情報に誰もがアクセスしやすい状態を整えると、業務の質が高まり顧客のニーズを満たす活動ができるようになるでしょう。

4. 文書管理に取り組むデメリット

業務効率化や法令順守の一助となる文書管理は、企業の信頼性を高めたりコストを削減したりと、企業にとっては多くの好循環を得られる取り組みです。

一方で、文書管理の効果を十分に得るためには、デメリットともいえる以下の2つの側面を事前に把握しておくことが大切です。

【文書管理に取り組むデメリット】

  • ルールの策定と周知が必要となる
  • 紙文書の電子化には手間がかかる

それぞれについて詳しく解説します。

4-1. ルールの策定と周知が必要となる

文書管理を推進するには、文書の取り扱いを定めたルールの策定と周知のために労力がかかる点を理解しておきましょう。

文書管理は、文書を取り扱う従業員全員が、共通のルールのもとで運用していかなければ成り立たちません。現場に適したルールの策定と、ルールにもとづいて実行してもらうための従業員への意識付けが重要であるため、それなりの時間や手間がかかります。

たとえば、文書管理を推進する総務部などが、「紙文書を撤廃してペーパーレス化を進めていこう!」と方針を決めてルール化を進めていったとします。

しかし、「紙文書でなければ業務が進めにくい」といった事情がある現場の場合、文書管理のルールがうまく機能せず、場合によっては反発が起こるかもしれません。

文書管理を継続的に続けるためには、各現場の実情や課題にもとづいたルールを策定し、実際にルールに沿って作業する従業員の意識を高める働きかけが必要です。

現場の業務に精通している社員とともにルールを作り、実際の文書管理に取り組む従業員に対して、「文書管理するとこんなメリットがある」という動機づけを促がしていきましょう。

4-2. 紙文書の電子化には手間がかかる

管理コストや利便性の面から、紙文書の電子化を進めたいと考える企業も多いですが、既存の紙文書をすべて電子化するのは、時間的にも人的にもコストが必要です。

膨大な紙文書のスキャンや、電子化したデータの適切な分類など、文書を電子化して活用できる状態にするには、手間がかかる工程をこなしていかなければなりません。

紙文書を電子化する際に必要となる作業の例
  • どの文書を電子化するのか仕分けする
  • 電子化する文書をスキャンできる状態にする(フォルダから取り出す、ホチキスを外すなど)
  • スキャナーや、スキャン機能を備えた複合機で書類を一部ずつ読み取る
  • パソコン上でファイル名をわかりやすい名前に変更する
  • 分類ルールにもとづいて保存場所に移す
  • スキャンした文書をテキストデータにするにはOCR処理を行う

文書管理において、紙文書の電子化は情報をさらに有効活用するための手段として効果的ですが、やり方によっては手間やコストがかかる点がデメリットでもあります。

電子化する優先順位をつけることで、費用対効果の高い電子化を進めていけるでしょう。

システム導入や外注で紙文書を電子化する方法も

文書管理を支援するシステムの導入や電子化作業の外注によって、電子化する手間を軽減できます。

ただし、やみくもにすべての書類を電子化するのは費用がかさみ、紙文書の電子化による費用対効果が下がってしまうため注意が必要です。

5.【実際の事例】文書管理を行わないことによるリスク

文書管理に取り組む際には、ある程度の手間や時間が必要です。そのため、文書管理の必要性を理解していながらも、日々の業務で手が一杯なために、文書管理を後回しにしている企業も多いでしょう。

ただし、文書管理を行わないことによって以下のようなリスクが生じていることを理解しておかなければなりません。

【文書管理を行わないことによるリスク】

  • コンプライアンスリスク
  • 情報漏洩のリスク
  • 業務が遅延するリスク

それぞれについて、実際の事例を交えながら説明していきます。

5-1. コンプライアンスリスク

文書管理を行わないままだと、法令違反とみなされたり、会社の信用を失う事態に陥ったりする恐れがあり、コンプライアンスにおけるリスクが高まります。

帳簿や各種契約書、従業員の雇用に関する書類など、法令で保管義務のある文書を適切な期間保管していないことは、会社法や労働基準法などへの違反行為です。

税務署や行政機関からの指導を受けた場合に、罰則として過料が科される恐れがあります。

どのような書類に保管期間が定められているかについては、「【25種類早見表】契約書の保管期限を一覧で解説」で詳しく解説しているので、参考にしてください。

また、クレームや紛争などのトラブルが生じた場合に、文書管理が不適切であると不利に働く可能性が高いです。

業務過程ややり取りの経過を文書として記録されていなければ、証拠として提示できません。必要な情報を開示できず、ステークホルダーや社会に対して説明責任が果たせない可能性が高まります。

訴訟に発展した場合にも、自社の正当性を証明する記録や情報を提示できず、損害賠償の支払いを命じられる恐れがあるでしょう。

文書管理が不十分であったために、実際に次のようなコンプライアンスリスクに直面した事例もあります。

コンプライアンスリスクに直面した事例

米国で製品を販売する日本企業A社が、製品に欠陥を抱えている可能性があるとして、米国の民事訴訟手続き「ディスカバリ(証拠開示制度)」を提起されました。

ディスカバリは、訴訟に関係があるすべての文書の開示が求められる制度です。文書の削除が発覚したり、期間内にすべてのデータを揃えられなかったりした場合に、多額の賠償金を支払わなければなりません。通常時から確実な文書管理が行われていないと、適切に対応するのは困難でしょう。

A社においても、期間内に必要な書類を提出できなかったために、「重要な証拠となる文書が削除された」として賠償費用の負担が命じられました

コンプライアンスリスクを軽減するには、業務プロセスや取引先とのやり取りなどの情報を、必要なものがすぐに取り出せるように管理しておく必要があります。

5-2. 情報漏洩のリスク

文書管理が不適切であると、社外に流出すると大きなダメージを受ける恐れがある文書が漏洩してしまう恐れがあります。

社内の営業秘密が、誰もが簡単にアクセス・コピーできる状態であったり、文書の所在がチェックされていなかったりすると、誰かに情報を社外へと持ち出されても見落としてしまうでしょう。

情報漏洩を防がなければならない情報としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 企業が事業活動を行ううえで秘密にしている有用な情報
    (製品技術、ノウハウ、顧客名簿、対応マニュアルなど)
  • 秘密保持契約(NDA)を締結した場合の保護対象となる秘密情報
  • 顧客や従業員の個人情報

これらの情報が流出すると、自社の優位性や取引先や顧客からの信頼を失ってしまいます。個人情報を漏洩させてしまった場合、民事上の損害賠償責任を負うことになり、罰金刑が科される恐れもあります。

実際に、秘密性の高い文書の取り扱いが不適切であったことから、情報漏洩を起こしてしまった事例をみていきましょう。

情報漏洩のリスクに直面した事例

B社では、顧客の個人情報約3万件を記録させたUSBメモリを従業員が持ち出し、紛失した事件が発生しました。業務上、イベント時などに最新の顧客情報を社外に持ち出す必要があり、その手段としてUSBメモリを利用していたようです。

直接的な被害は報告されていないものの、顧客への対応や、業務の仕組み・システムなどの見直しが必要となりました。

情報漏洩を防ぐには、社外秘のデータに対するアクセス権限の設定や、持ち出し時における記録媒体の管理ルール設定など、情報の重要度に合わせた厳密な管理体制が求められます。

5-3. 業務が遅延するリスク

文書がきちんと分類・保管されておらず、必要な文書にアクセスするまでに時間がかかる状態だと、業務スピードが低下します。

自分が文書を探す時間だけでなく、文書の所在や情報の有無について質問を受ける人も時間を失うことになります。結局探していた文書が見つからない場合は、情報を1から集めたり、同じような文書を再度作成したりする手間がかかるでしょう。

また、契約の進捗や期間の管理が随時必要となる契約書においては、管理体制の良し悪しが業務のスピードに大きく影響します。

実際、文書管理ができていないことで業務の遅延が課題となった事例を紹介します。

業務の遅延リスクに直面した事例

紙の契約書を本社で一括管理していたC社では、支社から契約内容に関する問い合わせが入るたびに、依頼を受けた人の業務が中断されていました。

C社では膨大な契約書を管理しており、複数の支社や要素にまたがる契約が多いことから、特定の分類方法で整理していても検索がしづらい状態だったためです。

契約書を探し当てて支社にコピーを送付するまでに1時間ほど要し、その間メインの業務が遅延するため、文書管理方法の見直しが検討されました。

本来の業務に集中して取り組めるようにするには、必要な情報にすぐにアクセスできる環境を整えるための文書管理が欠かせません。

6. 文書管理をまだやっていない場合は今すぐ取り組むべき

文書管理が不十分なことで起こるリスクからわかるように、適切な文書管理ができていない企業は、今すぐ文書管理に取り組むべきといえます。

なぜなら、文書管理は業務の効率化を高めてコストの削減につながる効果をもたらすだけでなく、社会的な責任を負う企業として事業を続けていくために欠かせないものだからです。

たとえば、文書の取り扱いが不適切であった場合、以下のような事態が発生する恐れがあります。

  • 法令違反とみなされ行政指導が入った
  • トラブル時に自社の正当性を証明できる書類を出せなかった
  • 大量の個人情報を漏洩させてしまった

このような事態に陥ると、トラブルへの対応や再発防止、損害賠償金の支払いなどに多額のコストが発生する可能性があり、会社の信頼も失墜してしまいます。これまで培ってきた会社の社会的な立場が揺らぎ、存続の危機にも立たされかねません。

文書管理の必要性を感じてはいるものの、「日々の業務で手一杯だから、とりあえずは現状のままでいこう」と先延ばしにしている会社も多いでしょう。

しかし、文書管理に取り組まないということは、これらのリスクにいつ直面してもおかしくない状態を放置しているのと同じことなのです。

適切な手順で文書管理の取り組みを進めていけば、文書管理に手を付けていなかった企業ほど、業務がスムーズに進む変化を感じられるはずです。

このあと解説する文書管理の基本ステップや取り組みのポイントを押さえて、大切な会社を守るために文書管理を取り入れていきましょう。

7. 文書管理を進める基本ステップ

文書管理に取り組むとなると、実際にはどのような手順で進めていくのがよいのでしょうか?まずは、文書管理を進めていく基本の流れを理解しておきましょう。

文書管理は大まかにわけて以下の3ステップで進めます。

それぞれのステップ別に必要な行動を解説します。

7-1. 調査する・削減する

文書管理を進める第一歩は、社内にある文書の現状を調査して、保存している文書の量を減らすことです。

どんなにわかりやすいデータの分類方法を考えたり、最新のシステムを導入したりしたとしても、文書の絶対量が多ければ、本当に必要な書類を探し出すのが困難になってしまいます。

文書の現状調査と削減を進めるには、紙文書も電子文書も含めた見直しが必要です。今ある文書を確認し「引き続き保存が必要なのか」、「処分しても差し支えないものか」を判断していきます。

保存が必要な文書かどうかを判断するには、以下のような点をチェックしましょう。

  • 法定保存期間や社内規定による保存期間が設定されたものか
  • 事業活動を行ううえで今後も参考にしたい情報であるか
  • 業務手順書やマニュアルなどは最新版であるか(過去のものは処分対象)
  • 会社にとって歴史的な価値があるものか
  • 現在進行しているプロジェクト・業務にかかわるものか
  • 比較的最近に作成されたものか

実際は、会社や部署によって、どのような文書が必要なのかが異なります。今ある文書をチェックしたうえで、実情に合わせた取捨選択の基準を設けておくと、文書の仕分けがスムーズに進められます。

7-2. ルールを作る

不要な文書の削減ができたら、文書管理におけるルールを策定します。

必要な文書を活用しやすい状態に整えておくには、文書を利用するメンバー共通のルール設定が欠かせません。文書管理におけるルールは、文書管理規定や文書管理マニュアルとして標準化します。

具体的にはどのようなルール策定が必要なのか、文書のライフサイクルごとルールの例をみていきましょう。

ライフサイクル 策定すべきルールの例
作成
  • 【文書の命名ルール】文書名から必要な情報を探しやすくする
  • 【文書の体裁にかかわるルール】文書の質を均一にする
閲覧
  • 【利用履歴・バージョン管理のルール】文書の閲覧や使用の履歴を残す
  • 【文書の共有・通知のルール】どのような文書を誰に共有するのか、どのように通知するのか
保存
  • 【分類ルール】文書を探しやすい状態で保存する
  • 【保存のルール】誰が、どこに、どのくらいの期間保存するのか
  • 【アクセス権限の設定ルール】文書を使用できる範囲を限定するのか
廃棄
  • 【保存期間のルール】文書ごとの保存期間に合わせて保管・廃棄する
  • 【廃棄ルール】情報が漏洩しない方法で文書を廃棄する

とくに、既存の文書を整理して活用しやすくするには、文書をどのような基準で分類するのかといった分類方法の構築が重要です。

文書を実際に扱うメンバーにとって「探しやすい・分類しやすい」フォルダ体系でなければ、文書をどこに格納したらよいのか判断がつかず、必要な情報にスムーズにアクセスできなくなってしまいます。

メンバーの意見を参考にしながら、認識にズレが生じない文書の分類ルールを策定しましょう。

7-3. 実行・改善する

策定したルールにもとづいて、文書管理を実行します。

まず既存の紙文書は、ファイルやボックスなどを利用し、使用頻度や保存期間に合わせてキャビネットなどに収納します。紙文書を整理するファイリングには、以下のような種類があります。

種類 特徴
バーチカルファイリング 紙製のフォルダやクリアファイルなどを引き出しに縦置きし、個別フォルダごとに同じ性質の書類を挟んで分類する。出し入れがしやすい。
バインダーファイリング 書類に穴をあけて、バインダーなどに綴って保管する。書類を本のようにめくって見られ、ページの順番が崩れにくい。
ボックスファイリング フォルダに挟み込んだ書類をボックスファイルに入れて管理する。大量の書類をまとめられ、さらにフォルダによって細分化ができる。

また、文書を使う頻度に合わせて文書の保管場所を変えることも重要です。

デスク周り 頻繁に使う文書、取り掛かり中の文書
共有のキャビネット 使う必要がなくなった文書、たまに必要となる文書
書庫や本棚 見返すことはほとんどないが、法定保存期間の間は保存が必要な文書

既存の電子文書においても、策定した分類ルールにもとづいて、フォルダ分けして格納しましょう。

また、ルールにもとづいた文書管理を継続するには、不要な文書を増やさない意識付けと、定期的な運用チェックが有効です。

文書を不用意に増やさないためには、「新たに発生した文書は、会社として保管すべきものなのか」を個人で判断できるように、目安となる判断基準を作っておきましょう。

文書管理のルールを全社員にしっかり認識してもらうには、内部監査などによる定期的なチェックも効果を発揮します。

運用に問題があれば、ルールを見直して改善を図ることも大切です。電子文書の増加や業務内容の変化などに応じて、より現場の実態に合わせた運用方法を見直しブラッシュアップしましょう。

8. 効率的な文書管理を進めるポイント

ここまで文書管理を進める基本ステップをお伝えしましたが、効率的に文書管理を進めていくには事前に押さえておきたい3つのポイントがあります。

【効率的な文書管理を進めるポイント】

  • 全社的な制度にする
  • 紙と電子それぞれの媒体に合わせたルールを作る
  • 自社にマッチするツールを導入する

文書管理を成功させるためにチェックしておきましょう。

8-1. 全社的な制度にする

文書管理への取り組みを成功させるには、文書管理の推進を特定の担当者に任せっぱなしにするのではなく、全社的な制度として取り組むことが大切です。

文書や情報は、部署をまたがって共有されることも多く、会社の上層部が指揮をとってトップダウンで文書管理を実施したほうが、全社共通の取り組み事項としてスピーディーに浸透します

たとえば、上層部が総務部門の担当者に「文書管理を進めてほしい」と指示をして、総務部に丸投げで文書管理を行う場合、上層部の意図する文書管理の目的が現場に伝わりづらくなる可能性があります。

「組織の問題点を文書管理によってどのように解決するのか」といったビジョンと、「現場にはどのような効果があるのか」といったメリットを上層部が明示することで、メンバーのモチベーションはより高まるでしょう。

また、上層部の強い意向のもとであれば、予算面でも理解が得やすく、現場も労力をかけて取り組みやすくなります。

8-2. 紙と電子それぞれの媒体に合わせたルールを作る

文書管理に取り組む際には、紙文書と電子文書それぞれにおいて文書管理のルールを設定しましょう。

文書管理においてペーパーレス化を推進したとしても、一定の紙文書はどうしても残ってしまうものです。紙と電子はさまざまな面において異なる特性をもつため、それぞれに合わせたルールを作っておくと、運用時の混乱を防げます。

紙文書と電子文書において、異なるルール設定が必要となる例には、以下のようなものがあげられます。

項目 紙文書 電子文書
セキュリティ対策 キャビネットの施錠など サーバーのセキュリティ設定など
秘密文書の取り扱い方 秘密区分のラベリングなど メール送付の際のパスワード設定など
アクセスの限定方法 専用スペースでの保管など アクセス権限や編集権限の制限など

そのほか、電子文書においては、

  • 文書を変更した際の古い版の取り扱いをどうするか
  • どのようなファイル形式で保存するか

といった紙文書にはないルール設定も必要です。

8-3. 自社にマッチするツールを導入する

文書管理を効率的に推進するには、電子文書のメリットを有効活用するためのツールである「文書管理システム」の導入も検討しましょう。

文書管理システムとは

電子化した文書を保存して、必要なときに欲しいデータにすぐにアクセスできるように管理するシステムのこと。

文書のライフサイクルのなかでは、おもに「閲覧・保管」におけるプロセスをサポートし、管理の手間を大幅に削減するさまざまな機能を備えています。

自社に適した文書管理システムを導入することで、確かなセキュリティのもとで文書の登録や分類、共有、保存が気軽に行えるようになるため、文書管理への取り組みが一気に推進されます。

たとえば、文書管理システムに備わる検索機能によって、大量なデータのなかから必要な情報をすぐに探し出すことが可能です。全文検索を備えたシステムであれば、文書の本文からもキーワード検索ができるため、ファイル名や保管されているフォルダがわからなくてもすぐに欲しいデータにたどり着けます。

数多く提供されている文書管理システムのなかから自社にマッチするサービスを選ぶには、以下のポイントをチェックしましょう。

  • 自社の課題を解決できる機能があるか
  • セキュリティ対策が十分か
  • 無理なく利用できる料金か
  • 自社に適した提供形態か
  • 直感的に使えるか
  • 必要なサポート体制があるか

文書管理システムについては、導入で得られる効果やシステムの選び方を「文書管理システムとは|知っておくべき基礎知識とおすすめ9選を紹介」の記事で詳しく解説しています。

文書管理システムの導入により、手間や時間をかけることなく、業務の効率化や生産性の向上、さらにはリスクへの備えが実現します。より理想的な文書管理を進めたい方は、ぜひ導入を検討しましょう。

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  • 管理台帳に入力する手間も削減(AIで自動化、項目も任意で設定可能)

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9. まとめ

本記事では、文書管理の目的や効果、文書管理を行わないリスクなどについて解説しました。

文書管理の目的や効果をまとめると以下のとおりです。

文書管理とは、文書を整理してすぐに活用できる状態に管理しておくこと

【文書管理の目的】

  • 業務の効率化
  • 法令遵守

【適切な文書管理によって得られる効果】

  • 信頼性の向上
  • 属人化の防止
  • コスト削減
  • 顧客満足度の向上

一方で、文書管理を行わないことで次のようなリスクも発生します。

  • コンプライアンスリスク
  • 情報漏洩のリスク
  • 業務が遅延するリスク

文書管理ができていない状態は、企業の成長や存続が阻まれるリスクを抱えていることになります。

以下のステップやポイントを押さえて、文書管理を進めていきましょう。

【文書管理の基本ステップ】

  1. 調査する・削減する
  2. ルールを作る
  3. 実行・改善する

【効率的な文書管理を進めるポイント】

  • 全社的な制度にする
  • 紙と電子それぞれの媒体に合わせたルールを作る
  • 自社にマッチするツールを導入する

文書管理は、会社の信頼を維持し成長させるために欠かせない取り組みです。

文書管理にかかる手間や労力を軽減するには、文書管理システムの導入が効果的です。

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