「履歴書を管理して保管する必要はあるのか?」
「履歴書を適切に管理するにはどうすればいいのか?」
履歴書の管理方法が定まっていなかったり、管理業務が煩雑になっていたりすることでお悩みの人もいらっしゃるでしょう。
履歴書の管理方法には、以下の2つがあります。
【紙で保存する】
向いているケース |
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管理方法 |
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注意点 |
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【データ化して保存する】
向いているケース |
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管理方法 |
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注意点 |
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それぞれの管理方法については後ほど詳しく解説しますが、それぞれ気を付けるポイントも異なるため、適切な管理方法や定めるべきルールを知っておくことが大切です。
この記事では、履歴書の管理に関するルールや、適切な管理方法について解説します。お読みいただくことで、自社にはどのような管理が適しているかがわかります。
また、履歴書の破棄方法や大量の履歴書を効率的に管理する方法も解説していますので、ぜひ最後までお読みください。
1.履歴書の管理は法律で定められている|3つのルール
履歴書の管理については、法律で定められています。
具体的には、以下の通りです。
- 退職や死亡から5年間(3年間)保存しなければならない
- 違反した場合、30万円以下の罰金となる
- 雇用形態に関係なく保管しなければならない
まず、労働基準法の第109条には以下のように、退職、または死亡後5年保存しなければならないとされています。
記録の保存)
第百九条 使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない。
引用:「労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)」(e-Gov 法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049#Mp-Ch_12-At_109)
これに違反した場合、労働基準法の第120条により、30万円以下の罰金が科せられる可能性があるため、必ず守らなければなりません。
また、正社員やパート・アルバイトなど、雇用形態に関係なく保管する必要があります。
なお、労働基準法では保管期間が「5年」とされていますが、現状は「3年」で破棄しても問題ありません(2025年1月時点)。なぜなら、2020年の法改正によって保管期間が5年に延長されたものの、企業の負担を考慮し、経過措置として当面は3年でもいいとされているからです。
現状ではいつから5年保管になるか明確になっていません。しかし、将来的に5年に変更になることを考慮して管理することが大切です。
不採用者の履歴書については、保管義務はありません。そのため、すぐに破棄や返却をしても問題ありません。
ただし、多くの企業は不採用者の履歴書も、6か月~1年ほど保管しています。なぜなら、採用選考において後日何らかのトラブルが発生した際、履歴書が証拠となる可能性があるからです。
そのため、不採用者の履歴書に関しても、処分日や処分方法などのルールを定めておくことが大切です。
また、履歴書は個人情報が記載されているため、いつ処分されるかわからないと、「悪用されないか」と不安に思う応募者もいます。
あらかじめ、不採用となった場合の履歴書の取り扱いについて説明しておき、事前に了承を得ておくと、トラブルになりにくいでしょう。
2.履歴書の管理方法は「紙」と「データ」の2つがある
履歴書の管理方法には、次の2つの方法があります。
【履歴書の管理方法】
- 紙のまま保管
- データ化して保管
履歴書には個人情報が記載されているため、個人情報保護の観点から適切に管理しなければなりません。
では、適切に管理する方法について、詳しく解説します。
2-1.履歴書の量が少ないなら「紙のまま保管」
少人数の会社など、履歴書の量が少ない場合は紙のまま保管するのがおすすめです。量が少なければ、管理が煩雑になりにくいため、ファイリングして保存するのがもっとも簡単だからです。
履歴書を紙の状態で保存する場合、ファイリングのルールを決めたり、保管場所に気を付けたりすることが大切です。
2-1-1.【保管方法】五十音順でファイリングする
履歴書をファイリングする際には、氏名の五十音順で並べて保管するのがおすすめです。
採用年度や所属部署などに分けて保存しているケースも見られますが、量が多い場合は履歴書の確認が必要になった際に見つけにくくなってしまいます。
所属部署などに分けず五十音順で管理すれば、勤続年数が長くなっても部署を移動しても探しやすいでしょう。
ポケットを増減したり入れ替えたりできる、リングタイプのファイルで管理しましょう。個々の履歴書をクリアファイルなどに入れて、ファイルボックスで管理する方法もあります。
履歴書を保管する際には、管理の煩雑化を避けるためにも、雇用契約書など他の雇用書類と一緒に保管するのがおすすめです。
2-1-2.【保管場所】鍵をかけられる場所に保管する
個人情報保護の観点から、履歴書は必ず鍵のかかるキャビネットなどに保存しましょう。誰でも持ち出せてしまうような場所で保管した場合、紛失や情報漏えいなどのリスクがあるからです。
そのようなリスクを避けるためには、保管場所を関係者以外が簡単に見つけられない場所にすること、履歴書を閲覧できる人を限定することも重要です。
履歴書の取り扱いに関する教育を行い、従業員の意識を高めましょう。
2-1-3.【保管と破棄】退職者や不採用者の履歴書は別途ファイリングする
退職者や不採用者の履歴書を在職中の従業員と一緒にファイリングしていると、破棄のタイミングがわかりにくくなってしまいます。
そのため、退職者と不採用者はそれぞれ別にファイリングし、退職・不採用順に並べて管理するのがおすすめです。
そうしておくと、定期的に確認することで保管期間を過ぎた履歴書が処分しやすくなります。
2-2.履歴書の量が多いなら「データ化して保存」
履歴書は、スキャンしてデータ化したものを保存するという方法もあります。特に履歴書の量が多い場合はデータ化して保存することで、必要になった際に検索などで探しやすくなるというメリットがあります。
また、原本を触る必要がなくなるため、紛失のリスクもありません。
2-2-1.【保管方法】保管のルールを決める
データ化して保存する場合は、以下のようなルールを定めておきましょう。
- PDFやJPEGなどのファイルの拡張子
- ファイルの命名規則(氏名+採用年月日など)
- ファイルのパスワード設定
これらを決めておかなければ、ファイルに統一性がなくなるため、管理が煩雑になってしまいます。事前に必ず決めておきましょう。
2-2-2.【保管場所】クラウドやシステムに保管
データ化した履歴書を、どこに保管するか決めましょう。
データ化した履歴書をローカル上で保存すると、パソコンを紛失してしまった際に個人情報漏えいのリスクがあるため、気を付けましょう。
クラウドに保存しておくと、管理者のパソコンが紛失・故障した際でも管理できるので安心です。
また、文書管理システムを利用する方法もあります。文書管理システムなら検索しやすく、アクセス管理や期限通知などの機能も付いているため、効率的かつ適切な文書管理が可能です。
【履歴書をデータ化した後の原本の管理について】
履歴書をデータ化したからといって、原本を破棄してはいけません。経歴詐称などの雇用に関する法的トラブルなどが起こった際に、原本が証拠となるからです。
原本は破棄せず、必ず鍵がかかる場所に保管してください。
また、紙の履歴書のみで管理する場合と同様に、関係者以外が簡単に見つけられない場所に保管したり、履歴書を閲覧できる人を限定したりしましょう。
2-2-3.【データの履歴書の破棄】退職者や不採用者の履歴書はファイルを分ける
退職者や不採用者の履歴書データは、在職中の従業員とは別にファイルを作って保管しましょう。ファイルは定期的にチェックし、保管期間が過ぎたものは削除しましょう。
データを削除する際には、紙の履歴書も同時に破棄してください。
3.「3年間」の保管期間が過ぎた履歴書の処分方法
保管すべき期間を過ぎた履歴書は、本人に返却するか、確実に処分する必要があります。
個人情報保護法第22条では、以下のように規定されています。
(データ内容の正確性の確保等)
第二十二条 個人情報取扱事業者は、利用目的の達成に必要な範囲内において、個人データを正確かつ最新の内容に保つとともに、利用する必要がなくなったときは、当該個人データを遅滞なく消去するよう努めなければならない。
引用:「個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)」(e-Gov 法令検索)(https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000057/#Mp-Ch_4-Se_2-At_22)
このことから、保管期間が過ぎた履歴書は、速やかに返却・破棄しなければなりません。
本人に返却する場合、退職から3年経過していれば連絡先や住所などが変わっている可能性があります。発送の手間やコストもかかるため、管理業務をさらに煩雑にしてしまうでしょう。
また、当時の履歴書を返却されても、必要ないケースが一般的です。そのため、返却するのではなく、社内で処分するのが現実的です。
紙で保管している履歴書は、シュレッダーで確実に処分しましょう。データで保存している場合は、履歴が残らないように削除し、原本も忘れずシュレッダーにかけてください。
4.大量の履歴書は文書管理システムでの管理がおすすめ
大量の履歴書を管理する必要がある場合、文書管理システムを活用するのがおすすめです。
前述したように、紙での管理は煩雑になりやすいだけでなく、紛失や情報漏えいのリスクがあるからです。特に、数百・数千といった枚数の履歴書がある場合は、紛失したり持ち出されたりしても気づけない可能性があります。
また、データで保存する場合も、ローカルに保存すればうっかり削除してしまう可能性があり、パソコンにトラブルが起こってアクセスできなくなったり個人情報が漏えいしたりするリスクがあります。
文書管理システムを活用することで、それらのリスクをなくすだけでなく、より効率的に履歴書の管理ができるようになります。
なぜなら文書管理システムには、以下のような機能があるからです。
- 期限通知機能
- OCR処理機能(スキャンデータから文書全体を解析し文書の内容での検索可能にする)
- 権限設定
また、文書管理システムで管理できるのは履歴書だけではないため、社内にあるさまざまな文書の管理に役立ちます。
文書を一元管理できるため、どの書類がどこに保管されているかを探す手間がかからず、業務効率化にも繋がるでしょう。
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期限通知機能を活用すれば、履歴書の破棄をし忘れることもありません。
また、新たなシステムを導入すると、使いこなせるかを不安に思う方もいらっしゃるでしょう。
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履歴書の管理の見直しを機に、社内の文書管理を一元化してみてはいかがでしょうか。
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5.まとめ
この記事では、履歴書の管理方法について解説しました。最後にまとめをご覧ください。
【履歴書の管理に関するルール】
- 退職や死亡から5年間(3年間)保存しなければならない
- 違反した場合、30万円以下の罰金となる
- 雇用形態に関係なく保管しなければならない
【履歴書の管理方法】
- 履歴書の量が少ない場合:紙のまま保管
- 履歴書の量が多い場合:データ化して保管
【保管期間が過ぎた履歴書の処分方法】
- 紙のまま保管している場合:シュレッダーで処分
- データ化して保管している場合:データを確実に削除し、原本をシュレッダーで処分
管理すべき履歴書が少ない場合は、紙のまま保管してもそれほど管理に手間はかからないでしょう。しかし、大量の履歴書を管理しなければならない場合は、データ化する方法がおすすめです。
文書管理システムを活用すれば、簡単に履歴書を検索でき、処分も忘れず行えるようになるため、管理をより効率化できます。
他の文書も一元管理できるようになるため、業務効率化のためにもぜひご検討ください。