OPTiM お役立ち情報

ISO9001の要求事項に基づく文書管理とは?
対応文書と実践手順

「ISO 9001の認証を受けることが決まった。要求事項のなかに文書管理が含まれているけれど、どのような管理が必要になるんだろう?」

ISO 9001の認証を受けるには、ISO 9001に沿った適切な文書管理が求められます。一定の基準を満たさないと認証が取得できないため「どのように文書管理をすればいいのか」知りたくて、この記事にたどり着いたかと思います。

ISO 9001に沿った文書管理とは必要なときに、必要なところで、適した方法で文書を活用できるように具体的な要求事項をまとめたものです。文書のライフサイクルに沿った下記のような要求事項が記載されています。

文書のライフサイクルISO 9001の要求事項の例
文書の作成・適切に識別できるように作成する
・適切な形式で作成する
・必要に応じて承認を受ける
文書の閲覧・権限を設定する
・適切な人に文書を配布する
・情報を検索できる
・必要な保護をする
文書の保管・保存・文書の読みやすさを保持する
・変更履歴を管理する
・最新版が分かるようにする
文書の廃棄・定められた期間文書を保持する
・ルールに沿って文書を廃棄する

しかし、単にこの文書管理の要求事項だけを実践しようとしても、ISO 9001の認証を受けるための一時的なものになりやすいです。

ISO 9001に沿って中長期的に文書管理をしていくには、ルールの策定と文書管理システムの2つを軸として環境を整えていくことがポイントです。

ISO 9001の認証を受けるには、文書管理は必要なポイントになります。「認証が取得できない」と慌てないためにも、正しい文書管理の方法を掴んでおきましょう。

そこで本記事では

  • ISO 9001の文書管理の概要や実現できること
  • ISO 9001の要求事項に沿った文書管理の方法

など、ISO 9001の認証を受けるうえで必要な文書管理の基礎知識を解説します。

最後まで読めばISO 9001の認証を目指して、正しい文書管理ができるようになります。ISO 9001で求められる要求事項に沿っていないと、改善点の指摘を受ける可能性があります。

スムーズにISO 9001の認証を受けるためにも、ぜひ参考にしてみてください。

1.ISO 9001の文書管理とはルールに沿って文書ライフサイクルを適切に管理すること

ISO 9001の文書管理とは、ISO 9001で定められているルールに沿って文書のライフサイクルを適切に管理することです。

ISO 9001は、一貫した品質の製品やサービスを提供して、顧客満足度を向上させるためのマネジメントシステム規格です。

全世界で170か国以上、100万以上の組織が利用しており、組織運営やリスクマネジメント、品質管理などさまざまな視点から製品やサービスの品質向上を目指します。

ISO 9001のさまざまな項目のなかの1つに該当する文書管理では、下記の2つを目的に基準やルールを定めています。

【ISO 9001の文書管理の目的】

  • 文書化した情報を必要なときに、必要なところで、入手可能かつ利用に適した状態にする
  • 文書化した情報が十分に保護されている

この2つを実現するために、設けられているのがライフサイクルに沿った実践的な管理方法です。

下記のように、一定のルールに従って管理をすることで「文書が紛失、漏洩する」「必要な文書を探せない」「バージョン管理ができていない」など文書管理でよくある課題を解消して、最終的に製品やサービスの品質を高めることを目指せます。

文書のライフサイクルISO 9001に沿った文書管理の例
作成・タイトルや日付、作成者などをつけて適切に識別できるようにする
・紙やデータなど適切な形式で作成する
・文書の作成後に必要に応じて承認を受ける
閲覧・文書の閲覧制限を適切に管理する
・適切な人に配布する
・文書を検索できるようにする
・文書の意図しない改変を保護する
保管・保存・文書の読みやすさを保持する
・文書を変更した場合は日付や理由などの履歴を管理する
・最新版が分かるようにする
廃棄・定められた期間文書を保持する
・ルールに沿って文書を廃棄する

このように、ISO 9001に沿った文書管理では、実践的な管理方法が定められているので、ISO 9001の認証を受けると決まったら内容を理解して文書管理の環境を整えていく必要があるのです。

【取得するISOによって文書管理の目的が異なる】

本記事では、製品・サービスの品質を安定させ、顧客満足を高めるISO 9001に触れていますが、他にも下記のようなISOで文書管理に関する方法が定められています。

  • ISO 14001=環境マネジメント:環境負荷を低減して持続可能な事業活動を行うための規格
  • ISO 45001=労働安全衛生マネジメント:労災などを減らして健康で安全な職場環境を実現するための規格

いずれのISOも会社の文書を管理することは確かですが、目的が異なるため扱う文書や管理方法に違いがあります。ISOの認定を受けたいときには、いずれのISOなのか把握したうえで、その方法に準じて文書管理をするようにしましょう。

2.ISO 9001に沿って文書管理をすると実現できること3つ

ISO 9001に沿った文書管理ではライフサイクルのフェーズごとに適切な管理ができますが、日々の業務にはどのような好影響を与えるのでしょうか?

ここでは、ISO 9001に沿って文書管理をすると実現できることを詳しくご紹介します。ISO 9001に沿った文書管理が認証取得の他にも、企業にとって良い影響を与えることが分かるので、参考にしてみてください。

ISO 9001に沿って文書管理をすると実現できること

  • 文書管理の属人化を防げる
  • 文書管理のリスクを未然に防ぐ
  • 業務の品質を向上できる

2-1.文書管理の属人化を防げる

1つ目は、文書管理の属人化を防げることです。社内ではマニュアルや手順書、申請書類、請求書などさまざまな文書を扱います。

毎年文書は増えていき、担当者や保管場所が不明確になるケースが多々あります。

【文書管理が属人化している例】

  • 文書の保管場所を特定の人しか理解しておらず探せない
  • 図面、仕様書の最新版を特定の人しか持っておらず情報伝達ミスが起きた
  • 退職者が持っていた文書が紛失する

例えば、建設業では、日々多くの図面や仕様書、発注書を取り交わします。

文書の作成工程では修正が発生することも多く、特定の人が修正後の文書を持っていると「最新版が分からない」「更新されたことを知らない」などの声が出るようになります。

その結果、文書を持っている人や管理方法を理解している人がいないと、業務に支障が出てしまう状況に陥ってしまうのです。

こうしたトラブルは、文書管理のルールが定まっていないからこそ起こるトラブルです。ISO 9001という品質マネジメント規格に沿って文書管理をすることで、誰もが同じ基準で文書を作成・管理できるようになります。

下記は、ISO 9001に沿った文書管理の一例です。文書のライフサイクルに沿って適切な管理方法が定められており、文書管理を個人に委ねることがなくなり同じ基準で管理できるようになります。

ライフサイクル属人化を避けられる管理例
文書の作成・文書にタイトルや識別番号、作成者、作成日などを記載する
→文書の検索がしやすくなる
・作成した文書に承認を設ける
→誰がいつどのような文書を作成したのか把握しているので属人化を防げる
文書の閲覧・適切な人に文書を配布する
→文書の配布方法を定めることで「内容を知らない」などのトラブルを防ぐ
・作成した文書を必要なときに検索できるようにする
→権限のある人が必要な文書を利活用できる状態にできる
文書の保管・時間が経過しても文書の読みやすさが損なわれないように保管する
→データのバックアップ取得などの工夫をすることで紛失、破損を防ぐ
・変更履歴を管理する
→誰がいつどのような変更をしたのか可視化できるので「本人しか変更を知らない」状態を避けられる
文書の廃棄・定められた期間保持をしてルールに沿って廃棄をする
→誤って廃棄をする、個人に廃棄を委ねることがなくなる

このように、ISO 9001に沿った文書管理を行うことで「誰が持っているか分からない」「担当者がいないと業務が止まる」などの属人化のリスクを防ぎやすくなります。

特定の人の経験や記憶に依存するのではなく、誰でも同じルールで文書を作成・閲覧・保管・廃棄できる状態を整えることで未然にトラブルを防ぎ、継続的に業務がしやすい状態を整えられるでしょう。

2-2.文書管理のリスクを未然に防ぐ

2つ目は、文書管理のリスクを未然に防ぐことです。文書管理がずさんだと、下記のようなトラブルにつながるリスクがあります。

【文書管理がずさんで起こり得るリスクの例】

  • 文書の紛失:本来は廃棄してはいけない文書を紛失してしまった
  • 文書の誤共有:本来共有すべきではない範囲に文書を共有してしまった
  • 文書の更新ミス:文書の更新履歴が分からず古い情報をもとに業務を進めてしまった
  • 文書の廃棄ミス:文書のライフサイクルが管理されておらず文書が溜まっている

例えば、製造業では、工程ごとの作業手順書がよく更新されることがあります。

しかし、共有フォルダ内に旧版が残っていたり、更新履歴が記録されていなかったりすると、現場スタッフが誤った手順で作業を進めてしまう可能性があるでしょう。

その結果、品質不良や作業ミス、クレームなどにつながることが考えられます。

また、株式会社東京商工リサーチの調査によると、2025年に上場企業とその子会社が公表した個人情報の漏えい件数は3,063万6,910人分にのぼります。※1

原因には不正な持ち出しや誤廃棄、紛失などが含まれており、文書管理が課題になっていることが伺えます。

ISO 9001に沿った文書管理では、文書管理の要となる部分を一定の基準に従って管理できるようになります。下記は、ISO 9001に沿った文書管理の一例ですが、権限やバージョン、保護、保持期間などの管理がしやすくなります。

管理項目の例概要/例
権限・文書ごとに適切な権限を付与して不要な情報の持ち出し、情報漏えいしにくい体制を整えられる
<例>
・予算などの機密情報を含む文書は管理職層のみに権限を付与する
・マニュアルや手順書は権限申請制にして不要な人の閲覧を避ける
バージョン・いつ・誰が・どこを変更したか分かるようにして、情報の誤共有や誤認識を防ぐ
<例>
・文書ごとに更新日と更新した内容、更新者、更新した理由などを記載する
・最新版がどれなのか分かるように管理する
保護・文書の意図しない改変を保護して、情報の書き換えや誤共有を防ぐ
<例>
・文書に保護をかけて改変できない形式で共有する
・文書の書き換えは承認を得るようにする
保持期間・文書を定められた期間保持をして、誤廃棄を防ぐ
<例>
・文書ごとの保存期間を一覧にしてまとめて管理する
・廃棄前に保存期間を確認するルールを設ける

例えば、下記のように文書を更新した場合、文書ごとに誰がいつ更新したのかを把握できるようになります。

併せて最新版が分かるように保管すると「旧バージョンの文書と間違える」「更新したことを知らなかった」などのミスを未然に防げるようになるでしょう。

このように、ISO 9001に沿った文書管理をすれば、起こり得るリスクに先回りをして対処でき、必要な文書を安全に利活用できる体制を構築できます。

※1 参考:東京商工リサーチ TSRデータインサイト「上場企業の「個人情報漏えい・紛失」事故 2番目の180件発生、漏えい人数は約2倍増の3,063万人分

2-3.業務の品質を向上できる

3つ目は、業務の品質を向上できることです。文書管理をおろそかにしていると「文書が社内に散乱している」という管理方法の課題だけでなく、下記のように業務にも悪影響を及ぼします。

【文書管理ができていないときの業務への悪影響例】

  • 必要な文書を探すことに時間を費やしてしまう
  • どこに最新版の文書があるのか分からず再度作成する手間が増える
  • 同じような文書の保存先が複数あり旧バージョンと最新版が混ざっている
  • 誰に何の文書を配布するのか不明確で共有ミスが起こる

例えば、マニュアルや手順など更新頻度の高い文書の保管場所が決まっていないとしましょう。フォルダによって最新版と旧バージョンが混ざり、社員によって異なる情報を参照することになります。

その結果、作業の手順が統一できない、品質が不安定になるなどの課題を抱えやすくなるのです。そこで、ISO 9001に沿った文書管理をすると、業務の品質低下につながる行動を避けて適切に管理できるようになります。

例えば、よくある業務の品質を低下させる原因に対して、一定のルール、手順に沿った運用をしていくことで、品質の低下を未然に防げます。

業務の品質を低下させる原因ISO 9001に沿った文書管理でできること
必要な文書が見当たらず再度作成している・文書を探せるようにタイトルや日付、参照番号などをつけて作成する
・文書ごとに保管場所を決めて管理する
・作成した文書を必要なときに検索できるようにする
文書の最新版を参照できない・文書の最新版が分かるように保管する
・文書の変更履歴を管理する
文書の配布が適切にできていない・文書の配布フローを決めて適切に配布をする

文書管理の本質は文書を適切に保管することではなく、文書を正しく利活用して業務の質を高めることにあります。

ISO 9001に沿って文書管理をしていくことで文書管理の課題を解決でき、その結果、業務でのミス削減や一人ひとりの品質向上につながります。

3.ISO 9001で要求される文書の種類

ここまで、ISO 9001に沿った文書管理をすることで、ただ単に認証を得るだけでなくリスクの軽減や属人化の予防などさまざまなメリットがあることをお伝えしました。

ここからは、ISO 9001の認証を受けるために、実際にどのように文書管理をしていくのか見ていきましょう。最初に、押さえておきたいのは「どのような文書を管理するのか」です。ISO 9001の要求事項では、下記の2種類の文書を管理していきます。

文書の形式は、紙やデータ、図面など、組織が定める形式で問題ありません。

対象となる文書概要/例
規格が要求する文書化した情報・ISO 9001で管理が求められる文書
<例>
・プロセスの運用に関する文書:手順書、マニュアル
・品質方針に関する文書:品質方針書
・品質目標に関する文書:品質目標管理表・KPI管理シート
・業務に携わる人の力量に関する文書:資格書のコピー、教育訓練記録
・組織が必要と決定した外部からの文書:仕様書、発注書
・製品・サービスのリリースに関する文書:出荷証明書、納品チェックリスト
品質マネジメントシステムの有効性のために必要であると組織が決定した文書化した情報・ISO 9001で管理が求められる文書とは別に、組織で管理が必要だと決定した文書
<例>
・日報
・独自のチェックシート

※上記は一例です

例えば、業務のプロセスを明確にしている手順書やマニュアルは、ISO 9001で管理が求められる文書に該当するので適切な方法に沿って管理する必要があります。

また、ISO 9001で管理が求められる文書以外でも、品質を守り適切に業務をするうえで管理が必要だと判断した文書も対象として考えていきます。

このように、業務に関わる幅広い文書を一定のルールに沿って管理していくことで、紛失などのリスクを防ぎつつ利活用しやすい環境を整えることが可能です。

【ISO 9001に沿って管理するべき文書は企業によって異なる】

ISO 9001で管理する文書は、組織の規模や活動や製品、サービスの種類、プロセスの複雑さ、働く人々の力量などによって異なります。

「これさえ管理すればいい」と全社共通で決まっているわけではないので、注意しましょう。情報管理部門や総務部、経営者層が関わり、対象とする文書を決めていくことが重要です。

判断に迷う場合は、ISO 9001に知見のある事業者などに相談するといいでしょう。

4.【ライフサイクル別に解説】ISO 9001の要求事項に沿った文書管理のフロー

ISO 9001の認証を受けるために管理する文書が分かったところで、具体的な要求事項をご紹介します。文書のライフサイクルに沿って、どこでいつ何をすればいいのか分かるようにまとめました。

▼リンクをクリックすると該当のフローに移動します

文書のライフサイクルISO 9001の要求事項に沿った文書管理の例
文書の作成・適切に識別できるように作成する
・適切な形式で作成する
・必要に応じて承認を受ける
文書の閲覧・権限を設定する
・適切な人に文書を配布する
・情報を検索できる
・必要な保護をする
文書の保管・保存・文書の読みやすさを保持する
・変更履歴を管理する
・最新版が分かるようにする
文書の廃棄・定められた期間文書を保持する
・ルールに沿って文書を廃棄する

1.ISO 9001の文書管理とはルールに沿って文書ライフサイクルを適切に管理すること」でも触れたように、このライフサイクルを意識して管理することで

  • 文書化した情報を必要なときに、必要なところで、入手可能かつ利用できる
  • 文書化した情報を十分に保護できる

という状態を実現できます。現在の文書管理の方法を見直すためにも、何をすればいいのかチェックしていきましょう。

4-1.文書の作成:適切な形式で作成する

文書の作成時には、適切な形式で作成することが大切です。ISO 9001が求める文書管理では、適切にライフサイクルを回す必要があります。

文書の作成段階で「何の文書か分からない」「誰が作成したか分からない」などの状態になると、この後の工程でトラブルが起きやすいです。

適切に文書を管理していくためにも、ISO 9001の要求事項に沿った文書管理では下記のような項目を意識しましょう。

管理する項目概要/例
適切に識別できるように作成する文書を作成するときには適切に識別できるようにする
<例>
・タイトル
・日付
・管理番号
・作成者などを入力して他の文書と識別する
適切な形式で作成する必要なときに問題なく使用できるように適切な形式で作成する
<例>
・多言語対応
・紙やデータなど使用のしやすさに応じたものを使用する
必要に応じて承認を受けるこの文書を使用しても問題ないか内容や形式などを確認する
<例>
・作成時にレビューを受ける
・公開前に担当者の承認を受ける

とくに、注目したいのは、文書を識別できるように作成することです。文書を作成した後には「閲覧ができる」「更新を管理する」などの工程があります。

ここで文書を識別できる状態にしておかないと「必要なときに探せない」「どれが最新版なのか分からない」などのトラブルが起こります。

このような事態を避けるためにも、下記のようにタイトルや管理番号を入れて文書を作成することを徹底しましょう。社内の承認が必要な場合は、承認印を押印できる場所を作っておくと承認忘れを防げます。

このように、文書を作成する段階では、管理のしやすさ、活用のしやすさを意識したルールに沿って運用することが求められます。

4-2.文書の閲覧:閲覧制限を設定する

文書の閲覧では、誰がどのように文書を閲覧するのかを管理します。

企業が作成する文書のなかには、機密情報や個人情報を含むものがあります。誰でも閲覧できるようにすると情報漏えいなどのリスクがあるので、作成した文書を必要な権限の範囲内で活用することが大切です。

ISO 9001の要求事項に沿った文書管理では、具体的に下記のような項目が求められています。

管理する項目概要/例
権限を設定する文書の閲覧を許可する範囲を適切に設定する
<例>
・管理職層にまで権限を付与して社員は閲覧できないようにする
・情報漏えいを防ぐため専用の端末からしか閲覧できないようにする
適切な人に文書を配布する必要な人に漏れなく文書を配布する
<例>
・文書を配布していることを告知する
・ワークフローを決めて必要な人に確実に配布できるようにする
情報を検索できる作成した文書を必要なときに検索できるようにする
<例>
・文書管理システムを導入して文書を探せる状態を維持する
・紙の文書の場合はファイリングをして見出しをつける
必要な保護をする作成した文書の意図しない改変を保護する
<例>
・文書に保護をかけて改変できない形式で共有する
・文書を改変する場合は承認を得るようにする

文書の閲覧時にとくに重要なのは、文書ごとの権限を明確にして運用することです。社内にはさまざまな文書があり「誰がどこまで閲覧していいのか」は大きく異なります。

このような状況下で全文書を同じ権限で管理をすると、情報漏えいや悪用につながるリスクがあるでしょう。そのため、社内で扱っている文書に応じて、下記のように権限の設定方法を工夫します。

文書の権限設定の例
いい例・手順書やマニュアルは全員に権限があるが、その他の文書は内容に応じて権限設定をしている
・重要な文書にはパスワードを付与しており権限がないと閲覧できない
・権限が必要な文書にアクセスしたい場合は承認が必要としている
避けたい例・共有フォルダ内に誰でもアクセスして文書の閲覧、書き換えができる
・工場内のタブレットを使い回していて保管している文書を誰でも閲覧できる

このように、文書の閲覧では、文書ごとに誰がどの範囲まで閲覧できるのか、閲覧権限のある文書にはすぐにアクセスできるかという点が求められます。

4-3.文書の保管・保存:変更履歴を適切に管理する

文書の保管では、完全性を維持しつつ適切に活用できるように管理します。

文書の保管中には「複数のバージョンがあり最新版が分からない」「どこが変更されているのか把握できない」など、更新時のトラブルが多いです。

このような事態を未然に防ぐために、ISO 9001の要求事項に沿った文書管理では、具体的に下記のような項目が求められています。

管理する項目概要/例
文書の読みやすさを保持する時間が経過しても文書の読みやすさが損なわれない(文字がかすれる・データが破損するなど)方法で保管する
<例>
・紙の経年劣化を避けるために紙は電子化して保管する
・電子データのバックアップを取得する
変更履歴を管理する文書の保管中に変更があった場合は改訂番号をつける、マーキングをするなどしていつ・誰が・どこを変更したか分かるようにする
<例>
・変更した文書に改訂番号と変更箇所、変更日を記載して管理する
・改訂した文書を紐づけて管理して変更履歴が分かるようにする
最新版が分かるようにする改訂した文書が出てきたときに最新版がすぐに分かる状態にする
<例>
・最新版と原本、改訂版で保管場所を変える
・文書管理システムを使い最新版のみ表示されるようにする

とくに、意識したいのは、変更履歴を管理することです。

例えば、マニュアルの一部を変更した場合、口頭で「一部変更しました」と伝えるだけでは、時間が経過したときに「旧マニュアルとの違いが分からない」「そもそも変更はあったのか」などの混乱を招きます。

文書を活用、保管する人が同じ認識を持ち誤った使い方をしないためにも「いつ・誰が・何を変更したのか」を分かるように記載しましょう。

下記は一例ではありますが、文書ごとに変更履歴を明確にできるように記載しておくことが大切です。

このように、ISO 9001に沿った文書管理では、単に定められた期間、文書を保管しておくという考え方ではなく、必要なときに誤用なく活用できる状態での保管、保存が求められます。

4-4.廃棄:適切な期間保持をして廃棄する

文書の廃棄では、定められた期間文書を保持して、期間が過ぎた場合は適切に廃棄することが大切です。社内文書は事業活動を継続する限り、どんどん増えていきます。

文書が増えれば管理が大変になるだけでなく、情報漏えいや紛失のリスクも高まるでしょう。だからこそ、文書を廃棄するタイミングを把握してルールに沿って廃棄することは、文書を管理するうえで重要な工程なのです。

ISO 9001の要求事項に沿った文書管理では、具体的に下記のような項目が求められています。

管理する項目概要/例
定められた期間文書を保持する文書ごとに決まっている期間内は文書を保持する
<例>
文書ごとの保持期間を一覧にして管理する
ルールに沿って文書を廃棄する保持期間を過ぎた文書を情報漏えいなどのリスクがない状態で廃棄する
<例>
文書を廃棄するときのルールを定める
データの場合はデータを壊してから廃棄する

例えば、法定書類は下記のように保存期間が設けられています。この期間内に誤って廃棄しないように、一覧などを作成しながら管理をします。

【法定書類の保存期間の一例】

  • 各種手引書の原本(〇〇事務の手引きなど):10年間
  • 一般事務整理簿:5年間
  • 勤務時間報告書:5年間
  • 基準給与簿:5年間

参考:国税庁「国税庁標準文書保存期間基準(保存期間表)」

そのうえで、廃棄するタイミングが来たら、自社で定めたルールに沿って廃棄を行います。情報漏えいなどに注意しながら、適切な方法で廃棄をすることが大切です。

このように、ISO 9001に沿った文書管理では、文書のライフサイクルの各フェーズで文書が適切に保護されており、かつ必要なときに、必要な場所で適した活用のできる環境、ルールの整備が求められます。

5.ISO 9001の文書管理ではルール策定とシステム導入の2軸で進めることが鍵になる

ここまで、ISO 9001の要求事項に沿った文書管理の具体的な内容をご紹介しました。

ISO 9001では文書のライフサイクルごとに実施するべきことが決まっているので「自社ではどのように体制を整えていけばいいのか」が課題になりやすいです。

そこで、ISO 9001に沿った文書管理は、ルールの策定と文書管理ができるシステムの導入が鍵になります。体制を整える段階でこの2軸を意識することで、ISO 9001の認証を受けた後でも継続的に一定の基準を維持しやすい環境を目指せます。

取り組み概要
ルールの策定・ISO 9001に沿った文書管理を実現するために自社の業務内容、事業規模に応じたルールを策定する
文書管理システムの導入・ライフサイクルに沿って文書管理をするためにシステムを導入する

ルールの策定は、ISO 9001に沿った文書管理をするために、自社の業務内容や規模、扱っている文書に応じてルールを設けることです。

例えば、文書の作成フローを作る、保管、廃棄のマニュアルを作るなどが該当します。具体的な手順、方法を示すことで、ISO 9001に沿った文書管理がしやすくなるでしょう。

システムの導入は、ライフサイクルに沿って適切な管理ができるように文書管理システムを導入することを指します。

ISO 9001に沿った文書管理では、文書を電子化する規定はありません。しかし、「紙と電子文書が混ざっている」「文書の保管場所が定まらない」などの状態だと、適切な保管と更新が難所となりやすいです。

とくに製造業や建設業など、更新頻度が高い、文書が多いなどの場合は、更新や検索がしやすい状態を維持できることが重要です。

紙やフォルダなどでの運用と文書管理システムを比較すると、文書管理システムを利用することで、ISO 9001の要求事項への適合が容易になります。

比較項目従来運用(紙・フォルダ)文書管理システム
検索にかかる時間数分〜数十分数秒〜1分未満
最新版の提示担当者の記憶頼り明確に提示
編集履歴の確認メモやWord履歴に頼る自動ログが残る
閲覧権限フォルダ階層や共有権限で制御ルールの設定が可能

実際に文書管理システムを導入する前に「最新版の管理に限界を感じた」と回答した企業もいます。

ISO 9001の認証を受けるときには「とりあえず社内のルールだけ決めればいい」と考えがちですが、文書管理システムも同時に検討していくことで中長期的に一定の水準を満たす環境を整えやすくなるのです。

ISO 9001に沿った文書管理時に文書管理システムが必要な理由は、ここでお伝えした以外にもたくさんあります。下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

ISO文書はなぜ文書管理システムで一元化すべきか?

6.「OPTiM 文書管理 with AI-OCR」ならISO 9001の文書管理をサポートする機能が豊富

「ISO 9001の認証を目指すときに、文書管理システムも検討したいけれどどのようなシステムがいいのだろう?」と悩んだら、ISO 9001の文書管理をサポートする機能が豊富な「OPTiM 文書管理 with AI-OCR」を検討してみてください。

「OPTiM 文書管理 with AI-OCR」は紙で管理している文書の電子化から保管、廃棄まで一貫した文書管理ができるシステムです。

下記のようにISO 9001に沿った文書管理をサポートする機能が揃っており、システム内に文書を集約させれば管理の負担を軽減しつつ適切な文書管理を実現できます。

【OPTiM 文書管理 with AI-OCRの機能例】

  • 手書き文書のデータ変換(AI-OCR搭載・LLM-OCR利用プランの場合)
  • 管理台帳の自動作成
  • 文書の管理期限の自動メール通知
  • アクセス権限管理
  • 管理項目のカスタマイズ
  • 関連文書の紐づけ
  • 文書の検索

例えば、現在紙の文書が多い場合、システムに取り込むことが手間に感じるケースがあります。

「OPTiM 文書管理 with AI-OCR」は、高精度なAI-OCR(紙の書類や画像データに含まれている文字を読み取りデータ化する)機能を搭載している点が大きな強みです(LLM-OCR利用プランの場合)。

他のツールを併用しなくても「OPTiM 文書管理 with AI-OCR」だけで紙の文書を電子化して、保管していく作業ができます。手書きの文字やゴム印なども読み取れるため、作業を進められます。

また、「OPTiM 文書管理 with AI-OCR」には、担当者への期限通知機能が備わっています。文書の管理期限が迫ってきたら下記のように通知が届くため、ライフサイクルに沿って適切な管理がしやすくなります。

実際に「OPTiM 文書管理 with AI-OCR」を導入して、文書管理の環境を整えた企業様はたくさんいます。

【OPTiM 文書管理 with AI-OCRでの経緯報告書の管理例】

経緯報告書の管理では

  • 拠点・現場ごとに異なるフォーマットで報告書を作成している
  • 紙で保管しており、保管場所が分散しているため重要文書の検索に時間がかかる

などの課題があります。そこで「OPTiM 文書管理 with AI-OCR」を導入して、手書きの経緯報告書をアップロードするだけでAIが自動で読み取り、台帳を作成する体制を整えました。

経緯報告書はシステム内で保管するので保管場所が不要になるのはもちろん、簡単に検索できるようになりました。また、管理番号などもつけることができるため、適切な管理がしやすくなりました。

▼経緯報告書の管理例は下記で詳しく解説しています
保管スペース不足とデータ転記ミスを同時解決!経緯報告書(インシデントレポート)管理のAI革命

ISO 9001の認証を受けるために文書管理の環境を整えようと思えたときが、社内の文書管理体制を見直す最適なタイミングです。

ルール策定だけでなく「OPTiM 文書管理 with AI-OCR」も導入して、継続的に文書管理ができる体制を整えましょう。

「OPTiM 文書管理 with AI-OCR」の詳しい機能や強みは、無料資料でより詳しくご紹介しています。ぜひお気軽にダウンロードしてみてください。

7.まとめ

本記事では、ISO 9001に沿った文書管理で実現できることや具体的な方法をまとめて解説しました。最後にこの記事の内容を簡単に振り返ってみましょう。

〇 ISO 9001の文書管理とは、ISO 9001で定められているルールに沿って文書のライフサイクルを適切に管理すること

〇 ISO 9001に沿った文書管理で実現できることは下記の3つ

  • 文書管理の属人化を防げる
  • 文書管理のリスクを未然に防ぐ
  • 業務の品質を向上できる

〇 ISO 9001の要求事項に沿った文書管理の具体的な方法は下記のとおり

文書のライフサイクルISO 9001に沿った文書管理の例
文書の作成・適切に識別できるように作成する
・適切な形式で作成する
・必要に応じて承認を受ける
文書の閲覧・権限を設定する
・適切な人に文書を配布する
・情報を検索できる
・必要な保護をする
文書の保管・文書の読みやすさを保持する
・変更履歴を管理する
・最新版が分かるようにする
文書の廃棄・定められた期間文書を保持する
・ルールに沿って文書を廃棄する

〇 ISO 9001の文書管理ではルール策定とシステム導入の2軸で進めることが鍵になる

ISO 9001に沿った文書管理は一時的な取り組みではなく、中長期的な視点を持つことが大切です。要求事項に沿って体制を整えていくためにも、ルールと文書管理システムの2つの柱を意識してみてください。

このブログの免責事項について

「OPTiM 文書管理 with AI-OCR」に関するお問い合わせはこちら