

「社内での書類の管理ができていなくて、こんな状態で良いのだろうか?と危機感を感じている」
「デスクが煩雑になっている従業員が多く、書類の管理ルールを作ろうと思っている」
契約書や請求書、議事録、顧客や取引先から届いた封書、採用関連の書類など、会社で取り扱う書類は多岐に渡り、整理しても整理しても日々増えてしまうものです。
自分の書類は整理できていても、書類の管理を適切に行えていない人がいれば、書類を紛失したり必要な時に見つからなくなったりして、業務が滞ってしまう原因になりかねません。
この記事では、社内の書類管理を理想的に行うための「書類管理ルール」の作成ステップについて詳しく解説していきます。
書類管理が難しいポイントとして、最終的に保管する前の「一時的な保管(一次保管)」のタイミングでの管理が難しい点にあります。
この記事では、一次保管を含めて、書類ごとに理想的な管理方法を策定するためのポイントを解説していきます。また後半では、書類管理を効率化する方法についても解説します。
「社内での書類管理をしっかりと行いたい」「どのように進めていけばいいかわからない」という方はぜひ最後までお読みください。
1. 適切な書類管理には社内ルール作りが必須
社内で適切に書類を管理するためには、社内で書類管理のルールを決めて、そのルールを遵守して業務を進めていく必要があります。
書類管理で社内ルールが重要な理由
- 理由1:書類の管理方法が多岐に渡るから
- 理由2:保存期限やルールが決まっている書類もあるから
- 理由3:書類管理ルールがないと紛失・改ざんのリスクがあるから
それぞれ理由を説明していきます。自社での書類管理の状況をイメージしながら、読み進めてみてください。
1-1. 社内ルールが重要な理由1:書類の管理方法が多岐に渡るから
社内ルールが重要な理由として、書類の管理方法にはさまざまな方法があり、ルール化しないと人や部署によって対応がまちまちになってしまうからです。
ざっと書類管理方法をまとめてみても、いろいろな方法があります。
書類の管理方法の例
- 紙のまま社員がそれぞれのデスク・鞄などに保管する
- 紙のまま部署内ごとにまとめてファイリングする
- 紙のまま一つの部署で一貫して保管する(例えば契約書を法務が管理するイメージ)
- 撮影・PDF化してファイルをサーバーに保存する
例えば、自社サービスのセールスを行う営業部で書類の管理方法がルール化されていないままだと、
- Aさんは、紙のまま自分のデスク上に雑多なまま書類を保管
- Bさんはきちんと社名ごとにファイリングして立てて保管
- Cさんはさらに共有フォルダに分かりやすい名前をつけて保管
のように、人によって保管方法がバラバラな状態になってしまいます。
保管方法がバラバラだと、いざ書類の在り処を探そうとした時にどこを探せば良いか分からなくて無駄な時間がかかってしまいます。このような状態は「管理している状態」とは言えません。
1-2. 社内ルールが重要な理由2:保存期限やルールが決まっている書類もあるから
書類管理を行う上で社内ルールを定めなければならない理由としては、書類によって保存期限やルール(保存の仕方)が決まっているものもあるからです。
例えば、雇用関係書類や取引関係書類などは5年間、決算に関する書類は7年間、重要な議事録や解約となった契約書は10年など、保存期間が決まっている書類があります。許認可関係の届出書類など、できるだけ永続的に保管することが望ましい書類もあります。
※書類ごとの保存期限については、後述する「2-2. ステップ2:書類ごとの法的な保存期間が定められているかを確認する」で詳しく解説していますのでご確認ください。
また、保存の仕方が決まっている書類もあります。例えば、電子帳簿保存法の関係書類は、電子的に適切に保存するためのルールが細かく決まっています。
こうした保存期限や保存の仕方を遵守するためには、「この書類はこうやって保存する」というルールを事前に明文化して徹底する必要があるのです。
1-3. 社内ルールが重要な理由3:書類管理ルールがないと紛失・改ざんのリスクがあるから
書類管理ルールが整備されていない場合、重要な書類の紛失や改ざんのリスクが高まります。これも、社内ルールを設けるべき大きな理由です。
書類を紛失してしまうと、業務に必要な情報が失われるだけでなく、取引先や顧客との信頼関係に悪影響を及ぼす可能性があります。重要な書類であればニュースで大々的に報道されたり、法律上の損害賠償責任に発展したりすることもありえます。
また、書類管理不備により改ざんが起きてしまえば、こちらも法的な問題や内部統制の崩壊につながる恐れがあります。
これらのリスクを防ぐためには、書類の作成から保管、廃棄に至るまで一貫した社内ルールを策定し、適切に運用することが不可欠です。これにより、業務の効率化や情報の正確性・安全性が確保され、信頼性を失うリスクを軽減することにもつながります。
2. 社内の書類管理ルールの作成ステップ
ここからはどのようにルールを整備していけば良いのか、具体例を交えながらステップごとに解説していきます。
それぞれのステップについて、内容を詳しく解説していきます。
2-1. ステップ1:社内で取り扱う書類をリスト化する(現状把握)
まずは適切な書類整理ルールを作る準備として、社内で取り扱う書類をリスト化して現状把握を行います。
社内で取り扱う書類をリスト化する具体的なステップ
- 社内に存在する書類の分類や形態、保管場所、担当部署、保存期限をリスト化する
- 現状の管理体制で生じている課題を洗い出す(紛失・改ざんの可能性、検索性の悪さなど)
なお、書類ごとに「担当者レベルで一時保管する場所・担当」と「最終的にまとめて保管する場所・担当」に分けてリスト化することをおすすめします。
例えば、担当者が郵送で請求書を受け取って一時的に管理して、その後は経理の担当者に渡して経理部が最終的に保管するようなイメージです。一次保管と最終保管の場所が異なる書類は多岐に渡ります。
リスト化する場合には、以下のような表にまとめると分かりやすいでしょう。
【書類管理の現状把握シートの例】
書類名 | 書類分類 | 保管場所(一次) | 一次保管担当者/部署 | 保管場所(最終) | 最終保管担当部署 | 保管状態 | 課題・問題点 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
契約書 | 法務関連書類 | 営業部デスク | 営業部 | 法務部キャビネット | 法務部 | 一時的にデスク上で保管 | デスクでの保管中に紛失リスク |
請求書(自社発行) | 財務関連書類 | 営業サポートデスク | 営業サポート部 | 経理部棚 | 経理部 | バインダーで分類 | 一時保管中に行方不明の可能性 |
請求書(受領したもの) | 財務関連書類 | 各部署(例:購買部) | 購買部、物流部など | 経理部棚 | 経理部 | 一時保管の管理が曖昧 | 複数部署で受領可能なため紛失リスクが高い |
履歴書 | 人事関連書類 | 人事部デスク | 人事部担当者 | 人事部ロッカー | 人事部 | 一時保管中は担当者が管理 | 書類の処分のタイミングの把握が難しい |
見積書 | 業務関連書類 | 営業部デスク/各部署内 | 営業部デスク/各部署内 | 各部署内 | 各部署内 | 一時保管中は担当者が管理 | 未採用案件の管理が曖昧 |
社内報告書 | 業務関連書類 | 部署内共有棚 | 各部署 | 各部署キャビネット | 各部署 | 整理されていない | 一時保管場所が固定されていない |
顧客情報リスト | 営業関連書類 | 営業部チームリーダーデスク | 営業部 | 営業部キャビネット | 営業部 | 紙フォルダで保管 | 情報更新が一時保管中に滞る |
納品書 | 業務関連書類 | 倉庫事務所内デスク | 倉庫管理スタッフ | 倉庫内棚 | 物流部 | ダンボール箱にまとめて保管 | 箱の管理ルールが曖昧 |
・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ |
このように表にまとめることで、現状の書類管理がどうなっているかを把握できます。まとめ終えたら、課題に優先順位をつけて、保管スペースの見直しや整理方法の改善など、具体的な対策を検討する際の材料として役立てていきましょう。
いきなり全ての書類を管理するのが難しい場合には、「優先度の高い書類がどれか」「法的リスクが発生するなど管理不備の悪影響が大きな書類がどれか」を検討して、最初に管理する書類を決めるのがおすすめです。
例えば、契約書・請求書など、各部署で一時的に保管する書類の紛失リスクを防ぐために、契約書や請求書の管理から始めるのも良いでしょう。また、誰が管理するかが曖昧になっている書類(部署ごとに受け取った見積書や納品書、請求書など)から着手するのもおすすめです。
重点的に管理したい書類を見定めたら、次のステップに進みます。
2-2. ステップ2:書類ごとの保管期間を確認する
書類によっては、法律で保存期間や保存の仕方が決まっているものもあります。具体的なルールを決めていく前に「何年保存しておく必要があるのか」をしっかりと確認しておくことで、以降のステップをスムーズに進めることができるでしょう。
例えば、契約書の場合には、以下のように契約の種類によって保管期限が細かく定められています。
【契約書の保管期限】
法律 | 保管期限 | 主な書類 |
---|---|---|
会社法 | 10年 |
|
法人税法、法人税法施行規則 | 7年 |
|
労働基準法、労働基準法施行規則 | 5年 |
|
その他 | 2年 |
|
その他 | 永久 |
|
出典:OPTiM Contract「【25種類早見表】契約書の保管期限を一覧で解説」
また、経理で扱う取引に関する帳簿や決算書類などは、法人税施行規則や消費税法などで7年間の保存が定められています(会社法で定めているものは10年)。その他、主に総務・人事で扱う業務日報や採用に関する書類は、労働基準法などで3年間の保存が必要です。
なお、履歴書については、不採用の場合は選考終了後速やかに廃棄し、採用した場合には退職してから3年という決まりがあります。
書類ごとの保管期限を調べておいて、適切な管理ルールを作成するための指針としましょう。業種によっては、医師法や建設業法などで保管期限が決まっているものもあるので、併せて確認しましょう。
2-3. ステップ3:法律で定められた保管ルールを確認する
保管期限の他にも、法律で保管方法や保管場所、データ形式や安全性に関する一定のルールが定められているものもあるので、こちらも事前に確認した上で書類管理ルールを決めていきましょう。
【書類ごとに法律で定められた保管ルール】
対象書類 | 法律 | 保管方法・保管場所のルールの概要 |
---|---|---|
電子的に作成した国税関係帳簿・書類 | 電子帳簿保存法(区分1) | パソコンなどで作成した国税関係帳簿・書類を電子データのまま保存する場合には、マニュアルや印刷機器など必要なものを保存場所に備えるなどが必要 |
紙で受け取った請求書などを、スキャンして保存する場合 | 電子帳簿保存法(区分2) | 「相手方から紙で受け取った国税関係書類」または「自社が紙で発行した国税関係書類の控え」をスキャンしたりスマートフォンなどで撮影したりして、そのデータを保存する場合には、タイムスタンプを付与するか訂正・削除ができないシステムを使い、検索できるようにしなければならない |
電子的に受領・発行した請求書・領収書などの取引データ | 電子帳簿保存法(区分2) | 電子的に送付・受領した取引データは、紙で保存ができないため、真実性の要件(タイムスタンプやシステム)と可視性の要件を満たさなければならない |
履歴書、雇用契約書、顧客情報、社員情報など | 個人情報保護法 | ・安全管理措置が必要(施錠可能な保管場所、暗号化、アクセス権限の制限) ・不要となった場合は速やかに適切に廃棄する |
賃金台帳、労働者名簿、出勤簿、雇用契約書 | 労働基準法 | 管理者が保管場所を明確化し、第三者がアクセスできない環境で保管する |
株主総会議事録、取締役会議事録、財務諸表 | 会社法 | 電子化が可能だが、電子化する場合には改ざん防止措置を行う必要がある |
金融取引記録、顧客情報、契約書など | 金融商品取引法 | 内部統制システムの一環として、アクセス制限やバックアップの整備が必要 |
例えば、書類を電子的に保存する場合には、「電子帳簿保存法」に準拠した形で保存する必要があります。例えば、電子的に受け取った請求書などは、紙ではなくそのまま電子的に保存しなければならないと決められています。
電子帳簿保存法については保存要件が非常にややこしいため、詳しく知りたい方は当社の別記事「電子帳簿保存法の対応ステップ|3つの区分ごとにわかりやすく解説」をご覧ください。
また、業種によっては医師法や建設業法などで保管ルールが決まっているものもあるので、併せて確認しておきましょう。
2-4. ステップ4:自社の書類保管ルールを策定する
ステップ4までの準備が整ったら、書類ごとに具体的な書類管理ルールを定めていきましょう。
【書類管理ルールで定めるべき項目】
書類名・分類 |
|
保管形式 |
|
保管場所 |
|
担当部署・責任者 |
|
保管期限 |
|
廃棄ルール |
|
アクセス制限 |
|
受領・移動記録 |
|
更新・修正のルール |
|
バックアップ方法 |
|
緊急時の取り扱い |
|
かなり決めることがたくさんあり大変ですが、ルールを明示しておくことで各社員が困ったときの行動指針となるため、しっかり作成していきましょう。
2-5. ステップ5:定めたルールを遵守するための環境を整備する
次のステップでは、2-5で定めたルールを遵守するために必要な環境を整えていきます。
例えば、特定の書類にアクセスできるユーザーを制限するために、キャビネットのカギの管理方法を考えたり、電子フォルダのアクセス制限設定を行ったりする必要があります。
また、電子的に保存する書類の改ざんを防ぐためには、文書管理システムなど修正・削除の履歴が残るシステムの導入がおすすめです。
データのバックアップは、行う日にちを決めて実施するルールにしたり、バックアップサービスを契約したり、複数拠点でバックアップを行ってくれる文書管理システムを使ったりという方法があります。
さらに、万が一盗難や漏洩が起きた場合の対策も考えておくと、緊急時の対応がスピーディーに行えます。
2-6. ステップ6:書類管理ルールを従業員に周知して運用する
書類管理ルールを効果的に機能させるためには、全従業員がその内容を正確に理解し、実践することが不可欠です。ステップ5で策定したルールは、社内で十分に周知し、日常業務の中で定着させるようにしましょう。
必要に応じて社内研修を行い、マニュアル化して配布することで全ての従業員が正しく書類を管理できるような体制を整えることがおすすめです。
特に、法律で書類管理ルールや期限が決まっている重要な書類については、従業員一人ひとりがルールを深く理解していることが重要です。定期的に「ルールが適切に実行されているか」を確認して、社内に適切な書類管理ルールを根付かせましょう。


3.【書類の種類別】理想的な書類管理のポイント
2章ではあらゆる書類についての管理方法を決める一般的なステップを紹介しましたが、ここからは書類の種類別に、理想的な書類管理方法を紹介していきます。
- 契約書:検索性の確保と更新期限の管理がポイント
- 履歴書:個人情報を伴うため管理・廃棄ルールの徹底が必要
- 請求書:紙と電子データの一元管理がポイント
- 仕掛かり中の書類:進行中の書類の管理ルールも決めておく
3-1. 契約書:検索性の確保と更新期限の管理がポイント
契約書の理想的な管理を目指す場合にポイントとなるのは、検索性の確保と更新期限の管理の2つです。
契約書の管理方法には、「紙で保存」「データをサーバーで保存」「管理台帳を作成して管理」「契約書管理システム」という4つの方法がありますが、ベストは「全文検索が可能な契約書管理システム」を使った管理方法です。
なぜならば、従来型の1〜3の方法では、必要な契約書を探し出すのに時間がかかったり、更新期限などの一元管理が難しかったりという不便な点が多いからです。
一方で、全文検索が可能なタイプの「契約書管理システム」を導入すれば、法務部はもちろん全社員が必要な契約書をキーワード検索などで簡単に探し出すことができ、更新期限が来るとアラートで知らせてくれるため契約更新漏れを防ぐこともできます。
さらに詳しくは、当社の別記事「契約書管理の方法4つを比較!理想的な状態・システムの選び方も解説」で解説しているので、ぜひ併せて参考になさってください。
3-2. 履歴書:法律で定められている管理の徹底が必要
採用活動で求職者から預かった履歴書の管理は、法律で定められている内容を遵守して保管する必要があります。
- 履歴書には多くの個人情報が含まれるため、厳重に取り扱わなければならない(個人情報保護法第23条)
- 従業員の履歴書は、退職日または死亡日から5年間(※)保存しなければならない(労働基準法第109条)
- 不採用者の履歴書の保管義務はないが、返却希望があれば対応できるようにしておくことが望ましく、6カ月程度の保管期間を設ける企業が多い
※2020年の法改正により保存義務期間が5年に延長されましたが、当分の間は、経過措置として3年の保存で良いとされています。
紙のまま保管する場合もデータで保管する場合も、個人情報保護法を遵守して、適切に扱うようにしましょう。
履歴書の管理方法をさらに詳しく知りたい方は、「正しい履歴書の管理方法|法律から決めるべきルールまで徹底解説」の記事もぜひご覧ください。
3-3. 請求書:紙と電子データの一元管理がポイント
請求書は、紙や電子データ、自社発行と受領したものが混在して存在するため、適切な管理が非常に難しい書類のひとつです。
請求書の管理が難しい原因
- 営業だけでなく他の部門でも、さまざまな請求書を発行・受領するから
- 購入する内容によっては、経理や法務などの確認が必要になることがあり、複数の部署を経由するから
- 複数の部署を経由するうちに、紛失などが起こりやすいから
- 請求書の性質によって、適切な保管場所が異なるから(例えば、発行済みの請求書は顧客管理システムと連動して保存される一方、受領した請求書は経理処理のために別の管理が必要など)
- 法人税法や消費税法に基づいた保管期限が決まっているから
- 電子保存する場合には、電子帳簿保存法に準拠した形での保存が必要だから
例えば、購買部門が紙で受け取った請求書(取引関係書類)と、営業が電子データで相手方に発行した請求書では適切な管理方法や経由するルートが異なるケースが多いでしょう。
また、紙で受け取るのか(紙で発行するのか)、PDFなどの電子データで受け取るのか(発行するのか)によっても、その後の保存方法をどうするか検討する必要が生まれます。
紙の請求書も電子データの請求書も、発行した請求書も受領した請求書も、「全ての請求書をひとまず一元管理したい」という場合には、電子帳簿保存法に対応した文書管理システムや請求書発行システムを導入して、全てを電子データとして保存することをおすすめします。
さらに、電子化する際に請求書の内容を自動で読み取って項目ごとに保存できるシステムを選べば、該当する請求書を簡単に検索でき、業務効率が向上するでしょう。
3-4. 仕掛かり中の書類:進行中の書類の管理ルールも決めておく
仕掛かり中(担当者が現在処理中)の書類の管理を適切に行うためには、進行中の書類管理ルールも決めておくことが大切です。
例えば「契約書は法務部がまとめて管理する」「納品書は総務が各部署から集めて管理する」というルールを決めても、実際には業務進行中には各部署の担当者レベルで一時的に保管することになるはずです。
進行中の書類についても、以下のようなポイントを重視してルールを策定しておきましょう。
進行中の書類の管理ルールを作る時のポイント
- 進行中の書類についての管理責任者を明確にし、責任の所在を明らかにする(例:書類を扱う担当者が責任を持つ、など)
- 進行中の書類についても、紛失や改ざんを防ぐための対策を講じる
- 進行中書類専用の物理フォルダやキャビネット、電子フォルダを用意して保管する
- 進行中の書類には「進行中」「対応済み」などのステータスを付け、進捗を可視化する
- 進行中の書類が「対応済み」になるタイミングを決めておく(例えば契約書の場合、締結が完了した時点で「対応済み」として法務部に管理を引き継ぐなど)
- 進行中の書類を他部署に引き渡す場合のルールも決めておく
進行中の書類については担当者レベルでの管理となるため、外部への持ち出しや紛失などにも十分注意する必要があります。しっかり管理ルールを決めて周知させ、運用していきましょう。
4. 書類の管理を効率化するポイント3つ
書類を適切に管理するためには、書類の分類ごとにルールを定めて正しい保管場所や保管期限、保管方法を守って管理する必要があります。しかしながら、ここまでの内容を読んで「結構大変そうだな」と感じる方も多いかもしれません。
できるだけ手間をかけずに書類を管理していきたい場合には、書類の管理を効率化する3つの方法を検討してみてください。
4-1. 効率化のポイント1:電子化・ペーパーレス化を推進する
書類を紙のまま保存した場合、広い保管スペースや検索性を確保するのが困難となります。そのため、電子化・ペーパーレス化を推進することが、効率的な書類管理に繋がります。
書類を電子化してAI-OCR機能で内容を読み取って全文検索できる状態にしておけば、キーワード検索ですぐに目的の書類が見つかります。紙の書類だと「どのキャビネットにしまったか分からなくなってしまった」という事態が頻発しますが、電子化することで検索性を飛躍的に向上させることができるのです。
また、電子化した書類(原本)を廃棄してペーパーレスでの管理にすることで、膨大な保管スペースを削減することが可能です。
※ただし、電子化した後も原本を廃棄できない書類もあるので、あらかじめ廃棄ルールも定めておきましょう。
4-2. 効率化のポイント2:書類管理ワークフローを確立する
書類ごとに「書類を作成(または受領)してから、最終的な保管まで」のワークフローを確立することも、書類管理を効率的に行うために重要なポイントとなります。
例えば契約書の場合のワークフローとして、あくまで一例ですが、以下のように流れを明文化します。
契約書の作成から最終的な保管までのワークフロー(例)
- 契約書の雛形からドラフトを作成する
- 法務部が契約書を確認して、内容に不備がないかを確認する
- 相手方と最終合意したら署名・押印を行って、契約を締結する
- 契約を締結後、【3営業日以内】に法務部に渡す
- 法務部は専用の保管場所に保管(または文書管理システムに登録)して、保管期限を設定する
※契約締結までは、案件の担当者が責任を持って管理を行うこと
書類ごとにワークフローを定めておけば、新人社員でも迷うことなく決まった流れで適切に書類を管理することができます。また、決まった流れが明文化されていることで「どう対応したらよいか」という問い合わせが減るメリットもあります。
4-3. 効率化のポイント3:文書管理システムで一元管理する
書類管理を大幅に効率化するためには、文書管理システムの導入も効果的です。
あらゆる書類を一元管理できるため、書類を探すための無駄な時間が必要なくなります。さらに、物理的に紛失したり破損・汚損したりするリスクも防ぐことが可能です。
例えば、契約書は法務部のキャビネットで、営業許可証は総務で、会議の議事録は各部署で、CADなどの図面は営業部で…など保管場所がバラバラだと、必要な書類を集めるのに時間がかかってしまいます。また、保管するファイルを間違えてしまうと、途端に書類の行方が分からなくなってしまうデメリットもあります。
文書管理システムならば、あらゆる書類をシステム内で一元管理できるため、どこにあるかを探し回る必要がなくなります。ただシステムにログインして、キーワード検索するだけで関連書類を簡単に探し出すことが可能となります。
文書管理システムを導入する企業は増えており、今後も市場規模は拡大する予測が立てられています。
参考:株式会社グローバルインフォメーション「文書管理システム市場:機能、展開タイプ、組織規模、業界別-2024年~2030年の世界予測」
「書類の保存場所などルールを決めるのが大変」という場合には、ひとまず文書管理システムにあらゆる書類を入れてしまう、という方法で大幅な効率化を図ることができます。
文書管理システムについてさらに詳しく知りたい方は、「文書管理システムとは|知っておくべき基礎知識とおすすめ9選を紹介」の記事もぜひ参考になさってください。


5. 書類管理の効率化ならAIで登録を自動化できる「OPTiM 文書管理」がおすすめ
ここまで書類の理想的な管理方法について詳しく説明してきました。しかしながら、書類を適切に管理するというのは非常に難しいものです。
今回説明したように、書類ごとにルールを決めて保管場所や担当者を決めたとしても、必要な時に欲しい書類がすぐに見つかるような運用まで持っていくのはかなり難しいと言わざるを得ません。
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まとめ
本記事では、企業での適切な書類の管理方法について解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。
◆書類管理で社内ルールが重要な理由
- 理由1:書類の管理方法が多岐に渡るから
- 理由2:保存期限やルールが決まっている書類もあるから
- 理由3:書類管理ルールがないと紛失・改ざんのリスクがあるから
◆企業での適切な書類管理ルールの作成方法
- ステップ1:社内で取り扱う書類をリスト化する(現状把握)
- ステップ2:書類ごとの保管期間を確認する
- ステップ3:法律で定められた保管ルールを確認する
- ステップ4:自社の書類保管ルールを策定する(場所・担当など)
- ステップ5:ルールを遵守するための環境を整備する
- ステップ6:書類管理ルールを従業員に周知して運用する
◆【書類の種類別】理想的な書類管理のポイント
- 契約書:検索性の確保と更新期限の管理がポイント
- 履歴書:個人情報を伴うため管理・廃棄ルールの徹底が必要
- 請求書:紙と電子データの一元管理がポイント
- 仕掛かり中の書類:進行中の書類の管理ルールも決めておく
◆書類の管理を効率化するポイント3つ
- 効率化のポイント1:電子化・ペーパーレス化を推進する
- 効率化のポイント2:書類管理ワークフローを確立する
- 効率化のポイント3:文書管理システムで一元管理する
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