1.急増するSaaS の「見えないリスク」
現代のビジネス環境において、SaaS(Software as a Service)の利用は急速に拡大しています。
リモートワークの増加、迅速な導入と柔軟な拡張性、コスト効率の高いサブスクリプションモデルといった背景から、多くの企業がSaaS へのシフトを加速させています。
しかし、この需要の高まりとともに、多くの企業が直面しているのが、SaaS コストに関する「見えないリスク」です。
2.企業のSaaS 利用が増加する背景
-
リモートワークの増加:新型コロナウイルスの影響により、リモートワークが主流となり始め、従業員がどこからでもアクセスできるクラウドサービスの必要性が高まりました。
これにより、企業は従業員が自宅や外出先でも仕事を継続できるようにするために、SaaS ソリューションを積極的に導入するようになっています。 - 迅速な導入:従来のオンプレミスソフトウェアとは異なり、SaaS はインストールや設定の手間がほとんどなく、短期間で導入できます。また、ビジネスの変化や市場のニーズに迅速に対応する必要がある現代の企業にとって非常に価値があり、SaaSはその需要に応える理想的なソリューションとなっています。
- 柔軟な拡張性:SaaS は、企業の成長や変化に合わせて柔軟に拡張できるという特性を持っています。従来のオンプレミスソフトウェアでは、ハードウェアやソフトウェアの拡張に多大なコストと時間がかかることが多いです。しかし、SaaS はビジネスの成長に応じて容易にサービスのスケールアップを行うことができます。
3.SaaS 利用が拡大することで考えられる課題
-
未承認SaaS:情報システム部門の知らないところで、個人や部門が承認されていないSaaS サービスを導入する事例が増えています。
これにより、企業全体のIT 環境が把握できず、無駄なコストが発生してしまう可能性があります。 -
未使用ライセンスの増加:SaaS サービスは従業員の入れ替わりが激しい部署や職種では、退職した従業員のライセンスやアカウントが放置されるケースが多く見られます。
この結果、企業は必要以上のライセンスを購入し、無駄なコストを支払っていることになります。 -
重複契約の発生:複数の部門やチームが独自に同じサービスを契約してしまうケースが見られます。
情報共有が不十分な場合、重複契約が生じ、不必要に高いコストがかかってしまうことがあります。
SaaS 利用が増えていく中でどのようにコストを削減していけばよいのでしょうか。
SaaS コスト管理の5 ステップを一緒に学んでいきましょう。
4.SaaS コスト管理の5 ステップ
SaaS コストの最適化を達成するためには、これから示す5 つのステップが効果的です。
5 つのステップを順に実施することで、SaaS コストを最適化し、無駄を省いた効率的な運用を行うことができます。
STEP1:SaaS の「可視化」
まずは、社内で利用されているすべてのSaaS サービスのコストを可視化することが大切です。
すべてのSaaS サービス、そのコスト、そして責任者をリストアップすることで、社内SaaS 利用状況の全体像を把握しましょう。情報システム部門が承認していない各部門や個人が導入したSaaS もあわせて、網羅的に調査することが重要です。
具体的には、期日を設けて全従業員や部門に対して調査を行い、利用しているSaaS サービスを報告するように求めます。
このプロセスにより、SaaS の可視化を達成し、コストの分布が明確になります。
具体的な実施方法:
- 情報システム部門と各部門の協力:情報システム部門担当者が各部門の責任者と連携し、利用中のSaaS サービスに関する情報を収集します。
-
標準化されたヒアリングシートの作成:どのサービスを使用しているか、そのコスト、利用者数、契約者や責任者といった情報が記載されたヒアリングシートを作成します。
【ヒント】
ヒアリング項目は必要最低限にして、各部門の責任者の負担を減らすべし!
例:ヒアリング項目 解答例 SaaS 名 Box 利用者名 ○○、□□ 月別コスト ¥○○ - 定期的なレポート要求:情報システム部門から各部門に対して、定期的にSaaS に関する情報を更新するよう要求します。
STEP2:SaaS コスト上位の調査
社内のSaaS サービスの中でコストが増加しているものを特定します。
コストが増加しているサービスに関しては、本当に必要なのか、削減できるライセンスやプランが存在しないかを確認します。
具体的には、各サービスの利用頻度や必要性を見直すことで、不要な出費を減らすことができます。
具体的な実施方法:
- コストと利用率の分析:収集したデータを基に、各サービスのコストを集計し、コストが高いサービスにリストアップしましょう。
-
必要性の評価:コストの高いサービスの必要性を再評価します。
再評価をする際に、具体的な活用例を表にまとめました!
コスト上位のSaaS サービスの必要性・妥当性を評価してみましょう。指標カテゴリー 具体的な指標 詳細 利用頻度 - ログイン回数
- アクティブユーザー数
月に何回ログインしているのか、アクティブユーザーが何名いるのかを確認する。 ビジネスインパクト - KPI(重要業績評価指標)への貢献度
- 業務効率化
サービスがビジネスのKPI や業務プロセスにどれだけ貢献しているかを評価する。 代替オプションの有無 - 内部ソリューション
- 他サービスとの統合
同じ機能を内部で開発可能か、既存のツールで代替可能かを検討する。 コスト対効果 - 料金プラン
- ROI(投資収益率)
現在の料金プランが適切か、サービスのコストと得られる利益を比較する。 ユーザーフィードバック - 満足度調査
- 改善要求
サービスのユーザーに対してアンケートを実施し、その満足度を測定する。 セキュリティとコンプライアンス - データ保護
- コンプライアンス
サービスが取り扱うデータの保護レベルと業界の規制への準拠を確認する。
STEP3:未使用アカウントの特定
利用されているSaaS サービスの中で、無駄に払い出している、もしくは使用率が低いアカウントを特定し、停止・削除を行います。
SaaS の管理者やアカウント払い出し先のユーザー(従業員)にヒアリングを行い、アカウントの対応を判断します。
このプロセスにより、不要なアカウントを特定・削除し、コストを削減します。
具体的な実施方法:
- アカウントの利用状況調査:各SaaS サービスにおいて、アカウントの利用状況を調査します。
ログイン頻度、アクティビティ(活動状況)などが調査の目安となります。 - ユーザーへのヒアリング:担当者にアカウントの必要性を確認します。
退職者や出向中の従業員の不要なアカウントを特定することが重要です。 - 不要アカウントの停止・削除:不要と判断されたアカウントを停止または削除します。
必要に応じて、別の従業員にアカウントを再割り当てすることも検討します。
STEP4:重複契約の統合ルール化
複数の事業部やチームで個別に契約している場合は、統合することを検討します。
重複契約はコストの上昇だけでなく、管理上の複雑さを増大させる要因にもなります。
複数で契約している場合は、原則として統合可能か検討し、実現可能な場合は統合を進めます。
具体的な実施方法:
- 重複契約の特定:情報システム部門が全社的に重複契約を特定します。
同じサービスが複数契約されている場合に注目します。 - 事業部間の調整:重複契約が確認されたサービスに関して、それぞれの事業部やチームと調整を行います。
統合に向けたメリットを説明し、協力を得ます。 - 契約統合の実施:調整が完了した後、実際に契約統合を実施します。
これにより、コストを最適化し、管理の複雑さを軽減します。
STEP5:継続的モニタリング体制の構築
上記のステップ1~4 を定期的に行う業務プロセスを確立します。SaaS 管理ツールを使用して、継続的なモニタリングを行いましょう。
定期的なレビューと監視によって、コストの上昇を早期に発見し、適切な対応をすることができます。
具体的な実施方法:
- SaaS 管理ツールの導入:情報システム部門がSaaS 管理ツールを導入し、全社的な利用状況の監視を行います。
ツールによっては、契約コスト、利用率、セキュリティ状況などを一元管理できるものもあります。 - 定期的なレビューミーティング:情報システム部門と各部門の責任者が定期的にミーティングを行い、SaaS サービスの利用状況やコストの見直しを行います。
- 継続的なポリシーの更新:SaaS サービスの利用ポリシーを定期的に見直し、最新の状況に合わせて更新します。 これにより、社内のすべての従業員が最新のポリシーを遵守することができます。
5.コスト管理のガイドブックを無料で手に入れるチャンス
SaaS コストを最適化し、コスト管理を強化するために、当社のホワイトペーパーをぜひご活用ください。
このホワイトペーパーでは、ステップバイステップでSaaS コストを最適化する方法、実践的な事例と解決策を提供しています。
ホワイトペーパーでわかること:
- ステップバイステップでSaaS コストを最適化する方法:具体的なステップと実施方法を丁寧に解説しています。
- 実践的な事例と解決策:実際の企業が実施した事例や、その結果など、参考となる情報を提供しています。
今すぐ資料をダウンロードして、貴社の『コスト管理の第一歩』を明日から始めましょう
このガイドブックを手に入れることで、SaaS コスト管理の第一歩を踏み出し、無駄を省いた効率的な運用に向けた一歩を踏み出しましょう。