OPTiM お役立ち情報

2026年度診療報酬改定で「AI活用」が加算の評価対象へ ── 加算グレードUP&人員体制の柔軟化が変える病院経営

2026年度(令和8年度)の診療報酬改定は、医師の働き方改革(2024年問題)と人手不足に直面する医療現場にとって「攻めの一手」を打てる歴史的な転換点です。
2026年2月13日、厚生労働省の審議会(中央社会保険医療協議会、通称「中医協」)の答申により、生成AIなどの高度なICTを組織的に活用する病院に対して、加算の区分アップや人員配置基準の柔軟化が正式に盛り込まれました(2026年6月施行)。たとえば450床規模の病院では、AIの導入により人員を増やさずに加算区分が1段階アップし、年間約1,400万円の増収につながるケースも想定されます。

本記事では、医師の働き方改革を実現するカギとなる医師事務作業補助者・看護師の業務改革と改定の具体的な制度内容を解説し、「OPTiM AI ホスピタル」がどのように現場の変革を後押しするのかをご紹介します。

1. 医師の働き方改革を加速させる「タスクシフト×AI」

2024年4月から本格適用された医師の時間外労働上限規制により、病院経営における最重要課題の一つは「医師が診療に集中できる体制づくり」です。
その実現手段として進められてきたのが、医師事務作業補助者や看護師へのタスクシフトです。しかし、シフト先の職種もまた深刻な人手不足と業務過多に直面しています。

医師事務作業補助者(クラーク)が直面する壁:医師のタスクシフトの受け皿として期待される一方、専門知識を要する医師事務作業補助者の採用は激戦化しています。採用できても、診療情報提供書や経過記録の処理といったプレッシャーの大きな業務に追われ、定着しづらいという悪循環が生じています。

看護師が直面する壁:「看護の質」を担保するための記録業務が、皮肉にも看護師をベッドサイドから遠ざけています。看護サマリーや申し送り資料の作成は残業の主因となりやすく、ワーク・ライフ・バランスの悪化と離職につながっています。

タスクシフトの受け皿となる職種の負担をAIで軽減することが、結果として医師の働き方改革を加速させる ── これが2026年度改定で示された新たな方向性です。

2. 医師事務作業補助者×AI ── 加算グレードUPのインパクト

医師事務作業補助者に関しては、さらに直接的な経営インパクトが見込まれます。

制度のポイント①:医師事務作業補助体制加算の仕組み

まず前提として、医師事務作業補助体制加算は入院初日に請求できる加算で、加算1と加算2の2区分があり、それぞれ病床数に対する補助者の配置比率に応じてイ(15対1)からチ(100対1)まで8段階の区分が設定されています。
配置が手厚いほど高い点数(=高い報酬)を受け取れます。

区分 配置基準 加算1(点) 加算2(点)
15対1 1,070 995
20対1 855 790
25対1 725 665
30対1 630 580
以降区分を省略
【表1】医師事務作業補助体制加算 診療報酬点数(2026年4月時点)

制度のポイント②:ICT・AI活用による人員換算の柔軟化(2026年6月施行)

今回の改定で新設されたのが、ICT機器を組織的に活用することで、補助者1人を1.2人〜1.3人に換算して、配置人数に算入できる仕組みです。

換算率 必須要件※1 追加要件(いずれか一つ以上)
1.2人換算
  • 生成AIの導入(必須)
  • ガイドライン準拠
  • 研修の実施
  • 体制整備
なし
1.3人換算 上記(生成AI)の活用
  • 音声入力システム(医療文書用)
  • RPA(定型入力業務の自動化)
  • 患者向け説明動画(10種類以上)
【表2】換算率とICT・AI活用による「みなし配置」の要件

※1 ICT・AI活用による「みなし配置」の必須要件(ア〜エすべてを満たす):

  • 生成AIの導入(必須):退院時要約、診断書、紹介状等の原案作成を自動的に行うシステムを導入し、日常的に活用していること
  • ガイドライン準拠:厚生労働省・総務省・経済産業省が定める医療情報セキュリティの指針(通称「3省2ガイドライン」)及びAI事業者ガイドラインを遵守していること
  • 研修の実施:すべての医師事務作業補助者に対し、操作方法および生成AIの適切な利用に関する研修を実施すること
  • 体制整備:すべての補助者が常時ICT機器を用いて業務を遂行できる体制を整備すること

その他の重要な届出要件:

3カ月ルール:新たに柔軟化区分を届け出る際は、直近3カ月以上、柔軟化なしの実人数で同等以上の配置区分を維持していた実績が必要

年次評価:業務量・業務時間・負担感の評価を年1回実施し、院内の安全衛生を管理する委員会(衛生委員会など)で報告すること

出典:「令和8年度診療報酬改定 Ⅰ-2-2 業務の効率化に資するICT、AI、IoT等の利活用の推進」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001685766.pdf) を基にオプティムが作成

サンプルケース:450床の病院での人員配置変化

以下は、医師事務作業補助体制加算1を届け出ている450床規模の病院を想定したケースです。

項目 現状 AI導入後 (1.2人換算)
病床数 450床 450床
医師事務作業補助者(実人員) 20名 20名
病床に対する比率 22.5対1 18.75対1
加算区分(加算1) ハ(25対1):725点 ロ(20対1):855点
現状との差 +130点(1,300円/入院)
年間収益増の目安 1,388万円/年※2

人員を増やさずにAIを導入するだけで、加算区分がアップ。本ケースでは、1入院あたりの点数差に月間入院数・12カ月を掛け合わせると、年間約1,400万円の増収※2に相当します。なお、1.3人換算の要件である「音声入力システム(医療文書用)」について、OPTiM AI ホスピタルの「SOAPカルテ作成支援」機能が該当し、単体で要件を満たします。

※2 病床稼働率約91%・平均在院日数約14日を前提とした試算であり、実際の効果は各医療機関の状況(稼働率・平均在院日数・月間入院数等)により異なります。制度の詳細は、厚生労働省の公式文書やQ&A(疑義解釈)をご確認ください。

3. 看護師×AI ── 制度が後押しする「現場の課題解消」

今回の改定では、看護業務へのICT導入を「働き方改革の実行手段」として制度的に評価する新たな仕組みが導入されました。

制度のポイント:入院基本料等におけるICT活用による看護配置基準の柔軟化

2026年度改定で新設されたのは、ICT機器を組織的に活用する病棟において、看護要員※3の配置基準を1割以内の範囲で柔軟化できる仕組みです。対象は、急性期一般入院料1〜6、地域包括医療病棟入院料1・2 、小児入院医療管理料1〜4 など20種類。届出要件(施設基準)を満たせば、入院基本料の点数はそのまま維持しつつ、看護要員数・看護師比率の基準が1割以内で緩和されます。

たとえば7対1看護の病棟なら、7.7対1相当の配置でも基準を満たしたとみなされます。産休・傷病・年度末の退職ラッシュなど、避けられない人員変動に対して基準を維持したまま体制を立て直す「人員配置の時間的猶予」が生まれる仕組みです。

※3「看護要員」とは看護師および准看護師を指し、看護補助者は対象外です。

「1割以内の柔軟化」とは?

たとえば7対1看護(患者7人に対し看護職員1人)の病棟であれば、ICT活用の要件を満たすことで、実質的に7.7対1相当の配置でも基準を満たしたとみなされます。

サンプルケース:急性期一般入院料1(7対1)の病棟(300床)での人員配置変化

以下は、急性期一般入院料1(7対1看護配置)を届け出ている300床規模の病院を想定したケースです。

項目 通常の基準 ICT柔軟化の適用後
入院基本料 7対1 7対1(変更なし)
必要看護要員数 約43名 約39名(1割減)
柔軟化で生まれる余裕 ── 最大約4名分

この「約4名分の余裕」が活きる場面

柔軟化は恒常的に人員を減らしてよいという趣旨ではありません。ICT導入による業務効率化の実績が前提です。では、この余裕は具体的にどのような場面で効果を発揮するのでしょうか。

産休・傷病による長期休職・年度末の退職ラッシュなど、現場で避けられない人員変動に対して、基準を維持したまま体制を立て直す時間的猶予が生まれます。

つまり、ICT柔軟化は「人が足りないから基準を下げる」ための制度ではなく、「ICTで業務負担を軽減した上で、現場で避けられない人員変動に対応する時間的猶予を持てるようにする」仕組みです。ICT柔軟化を届け出た後も、超過勤務の実態や現場の負担感を定期的に評価し、是正が必要な場合は速やかに対応することが求められます。

柔軟化に必要な3つのICT分野

柔軟化の適用を受けるには、以下の3分野すべてでICT機器を導入する必要があります。

① 記録の効率化 ── 音声入力や電子カルテからの自動サマリー生成など
② 見守り機器 ── 病室カメラや病床センサーによる遠隔モニタリング など
③ 情報共有の効率化 ── 同時通話可能なインカムやリアルタイム共有端末など

医療現場において、AIによる記録業務の効率化は、看護サマリーや申し送り資料の作成にかかる残業削減への寄与が大きく、働き方改革の中核的な取り組みと位置付けられています。院内のAIワーキンググループや学会発表でも、記録業務へのAI活用は現場で成果が出ている領域として注目されています。そのため本記事では、3分野のうち「①記録の効率化」に焦点を当てて解説します。

① 記録の効率化 ── AIで看護業務はこう変わる

看護サマリー自動作成:退院や転棟のたびに発生する看護サマリー。1件30分近くかかるケースも珍しくありません。AIが看護記録から必要な情報を時系列で抽出し原案を自動作成することで、作成時間を大幅に短縮。看護師は確認・修正に集中できます。

申し送り・カンファレンス準備: AIが経過記録を自動要約することで準備時間を削減。看護師は資料作成ではなく、患者様やご家族への直接的なケアに時間を使えるようになります。

なお、単にICT機器を入れるだけでなく、超過勤務の削減実績(常勤1人月平均10時間以下、かつ非常勤を含めて導入前と比較して増加傾向にないこと)や年1回の定量評価など、「導入→残業削減→ケアの質向上」のサイクルを実績として示すことが制度上の条件です。

出典:「令和8年度診療報酬改定 Ⅰ-2-2 業務の効率化に資するICT、AI、IoT等の利活用の推進」(厚生労働省)( https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001685766.pdf) を基にオプティムが作成

4. これらの改定要件を実現するには ──「OPTiM AI ホスピタル」という選択肢

ここまで解説してきた2026年度改定の要件──入院基本料等(急性期一般入院料1〜6等)における看護配置のICT柔軟化(①記録効率化、②見守り、③情報共有の3分野)と、医師事務作業補助体制加算における人員換算の柔軟化。これらを満たすには、生成AIを中心としたICTツールの組織的な導入が不可欠です。
「OPTiM AI ホスピタル」は、オプティムが提供する病院向け生成AIサービスです。電子カルテの情報をもとに、看護サマリーや診療情報提供書などの文書原案をAIが自動作成。看護師・医師事務作業補助者・医師の三職種にまたがる業務効率化をワンツールで実現します。

すでに実稼働する医療機関では、高い導入効果が確認されています。

実 績:看護サマリー作成時間を平均54.2%削減 ※4

退院時看護サマリーの1件あたり作成時間の比較グラフ 作図

※4 織田病院での導入実績(2024年4月~10月)。使用3回目以降のデータに基づく。初回使用時は33.2%削減、習熟により最大54.2%削減を達成。https://www.optim.co.jp/newsdetail/20241107-pressrelease-01

現場の声:「これまで1件あたり平均16分かかっていた作成作業が8分足らずに。浮いた時間で患者さんのケアや後輩の指導に充てられるようになった(看護師)」

改定要件との対応

以下では、OPTiM AI ホスピタルが各改定要件にどう対応するかを整理します。

医師事務作業補助者向け ── 診療情報提供書の下書き作成を効率化

電子カルテの経過記録から文脈を読み取り、複雑な診療情報提供書や主治医意見書の下書きを自動作成します。「ゼロから書く」重労働からスタッフを解放し、AIの原案を確認・修正する業務へシフトさせます。1.2人換算の必須要件「ア. 生成AIの導入」を単体で満たす機能です。さらに、SOAPカルテ作成支援を組み合わせることで、1.3人換算の追加要件「音声入力システム(医療文書用)」にも対応。より手厚い換算区分の適用を目指せます。

看護師向け ── 「①記録の効率化」に対応

日々の膨大な看護記録から、生成AIが必要な情報を時系列で抽出し、看護サマリーの原案をスピーディに作成します。記録作成にかかる時間を大幅に短縮し、ベッドサイドケアの拡充を支援します。これは配置基準柔軟化の3要件のうち「①記録の効率化」に該当します。

医師向け ── 確認・承認プロセスがスムーズに

看護師・補助者の業務がAIで効率化されることで、最終的な確認・承認を担う医師の負担も軽減。医師が診療に集中できる環境づくりを支えます。

加えて ── OPTiM AI ホスピタルならではの4つの強み

改定要件の充足に加え、現場への定着と運用を支える特長を備えています。

① 使いやすさ
現場スタッフがITに不慣れでも迷わず使えるシンプルな操作性。電子カルテから患者さんを指定してワンクリック、自動で要約が開始されます。

② 手頃なコスト感
利用シーンに応じた価格設定で、費用対効果の高い導入を実現します。

③ オンプレミス対応でセキュリティを確保
院内ネットワーク内で完結するオンプレミス構成に対応。患者情報を外部に出さず、各種ガイドラインに準拠した運用を支援します。人員換算1.2倍要件の「イ. ガイドライン準拠」を満たす構成です。

④ 伴走支援で現場に定着
AIは導入して終わりではありません。現場での運用定着から導入効果の測定まで一貫サポート。新たな加算要件に基づいた業務フローの構築を共に進めます。年次評価に必要なデータ収集・分析もご支援します。


2026年度改定を「攻めの経営」に変える

看護師や医師事務作業補助者の確保が困難な時代、AIは単なる便利ツールを超え、業務を共に分担する頼もしい存在になりつつあります。
今回の改定は、AI導入に取り組む病院にとって「加算グレードUP」「人員体制の柔軟化」「現場の働き方改革」を同時に実現できる好機です。補助金の活用や申請サポートも含めた伴走支援を通じて、スムーズな導入を後押しします。この機会を「攻めの経営」に変える第一歩として、ぜひ「OPTiM AI ホスピタル」をご検討ください。

■「OPTiM AI ホスピタル」の詳細について

「OPTiM AI ホスピタル」の詳細な機能や提供条件については、以下のリンクからご確認いただけます。
さらに詳細なご質問や導入に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。
https://www.optim.co.jp/optim-ai-hospital/

このブログの免責事項について

「OPTiM AI ホスピタル」に関するお問い合わせはこちら