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商業施設での人流解析とは?
売上向上のための効果的な活用方法を解説

この記事で分かること

  1. 商業施設の人流解析で取得できるデータと、POSデータだけでは見えない課題
  2. テナント売上向上・回遊性向上・リーシングに人流データを活用する具体的な方法
  3. AIカメラを用いた商業施設の人流解析導入事例と、よくある疑問点

商業施設の人流解析とは、来館者が「どこから入り、どのフロアを回遊し、どこに滞留し、どこで離脱するか」をデータとして可視化する手法です。POSデータだけでは見えなかった施設内の顧客行動を捉えることで、テナントの売上向上、施設全体の回遊性向上、リーシング戦略の高度化まで一気通貫で取り組めます。本記事では、デベロッパー・施設運営者の視点から、人流データの活用方法と具体的な導入事例を解説します。

1. 商業施設の人流解析で分かること

AIカメラを活用した人流解析では、施設内の顧客行動を多面的にデータ化できます。

取得データ 内容 主な活用方法
通行量・入館者数 各エントランス・フロア・区画の通行量 賃料設定、区画評価、リーシング
動線・回遊ルート 来館者がどこを通り、どこへ向かうか 施設内掲示物、テナント配置、回遊性向上
滞留(ヒートマップ) どのエリアに人が集まり、留まるか 催事スペース配置、ホットスポット活用
滞在時間 フロア・エリアごとの滞在の長さ 顧客体験の改善、客単価向上施策
来館者属性 性別・年齢層などの傾向(匿名化処理) ターゲティング、テナントミックス検討
混雑状況 時間帯・曜日別の混雑、行列 混雑緩和、警備・清掃の人員最適化

AIカメラは、来館者の属性(性別・年齢層など)を匿名化処理したうえで自動的に分析できます。「平日は30代女性が多い」「週末は家族連れが中心」といった傾向を可視化できるため、時間帯や曜日ごとのターゲティング施策に役立ちます。

他にも、来館者がどこをよく通り、どこに向かうことが多いかを可視化することで、テナントや施設内掲示物の配置を改善するヒントを得られるなど、商業施設に存在する隠れた情報を可視化することができます。

2. なぜ今、商業施設に人流解析が求められるのか

商業施設ではすでに、イベントの開催や施設内掲示物の見直し、テナント支援など、来館者の回遊や売上を促すさまざまな施策が行われています。
人流解析によって施策の前後で人の動きがどう変わったかを可視化すれば、これまでの取り組みを客観的に検証し、次に改善すべきポイントを見つけられます。

2-1. POSデータだけでは「売れなかった理由」が分からない

商業施設のデベロッパーや運営担当者が把握しているデータは、多くの場合テナントから上がってくる売上(POS)データが中心です。しかしPOSで分かるのは「何が、どれだけ売れたか」という結果だけです。

そのテナントの前を、そもそも何人が通行しているのかという情報や、どのイベント・施設内掲示物が、実際に人を動かしたのかといった情報は拾えません。

売上が伸び悩むテナントに対して、上記の「なぜ売れないのか」を説明できなければ、施設としての改善提案もリーシング判断も、担当者の経験と勘に依存せざるを得ません。

2-2. EC化と競争激化のなかで問われる「リアルの価値」

EC化が進むなか、リアルの商業施設に求められるのは「来館者に長く、快適に、広く回遊してもらうこと」です。滞在時間と回遊エリアが広がれば、テナントとの接触機会が増え、施設全体の売上が底上げされます。

だからこそ、来館者の行動を数値で捉え、テナントと共有できるデータ基盤を持つことが、デベロッパーにとっての競争力になりつつあります。

3. テナント売上向上のためのデータ活用法

ここからが本題です。取得した人流データを、施設の収益向上にどう落とし込むかを解説します。

3-1. 「通行量 × 入店率 × 客単価」に分解して課題を特定する

テナントの売上は、通行量、入店率、購買率、客単価という数値に分解できます。売上データに人流データを重ねることで、売上不振の原因がどこにあるかを特定できます。

数値 課題 改善
通行量が少ない 商業施設を利用する人が少ない 施設内の動線や施設内掲示物の改善
入店率が低い 店の前を通るが、興味を持たれていない 店頭・ファサードの訴求不足
購買率が低い テナント内での問題 接客、店内レイアウトなどの改善

この切り分けができるだけで、「売れないのはテナントの努力不足」という不毛な議論から脱却し、商業施設とテナントが役割分担して改善できるようになります。テナント向けレポートとして通行量・入店率を提供すれば、テナント満足度の向上にも直結します。

3-2. 回遊性を高め、上層階・奥エリアの機会損失を減らす

動線データとヒートマップで、来館者が到達していないデッドゾーン(上層階、奥のエリア、特定の連絡通路など)を特定します。そのうえで、人気店舗の設置やイベントを該当箇所で行うことや、動線の見直しをすることで、施設全体の回遊性を高めることに寄与します。

回遊性を高めることで、来館者は多くの店舗に接触でき、施設全体の売上の底上げにつながります。回遊性を高め、商業施設内の滞在時間を増やすことが施設の魅力を向上させます。

3-3. 施策の効果を「前後比較」で検証する

イベント、施設内掲示物の変更、テナント入れ替え、販促キャンペーン——これらの施策は、実施前後の人流データを比較することで効果を定量的に検証できます。

「なんとなく賑わっていた気がする」ではなく、「該当エリアの通行量が◯%増加し、隣接テナントの入店率が◯ポイント向上した」と数値で語れることが、次の投資判断の根拠になります。

3-4. リーシング・賃料設定の根拠として活用する

区画ごとの通行量・滞留データは、リーシング交渉と賃料設定の客観的な根拠になります。

  • 「この区画は1日あたり◯人が通行し、平均滞在時間は◯分」といった定量情報を提示できる
  • 出店を検討するテナントに対し、来館者属性データをもとにマッチングを提案できる
  • 区画の価値をデータで示すことで、賃料設定の説得力が増す

感覚的な「一等地/二等地」ではなく、実測データに基づく区画評価は、デベロッパーにとって強力な武器です。

3-5. 混雑を緩和し、来館体験と運営効率を同時に改善する

時間帯別の混雑状況を可視化することで、混雑によるストレスや離脱を防ぎつつ、警備・清掃・案内スタッフの配置を最適化できます。混雑状況を来館者に公開すれば、来館者が空いている時間帯やエリアを選べるようになり、施設内の回遊促進にもつながります。

4. 商業施設・不動産における人流解析の導入事例

実際にAIカメラを活用して人流データを収益に結びつけている事例を紹介します。

事例1:三井不動産(中之島三井ビルディング)— 混雑・滞留の可視化とテナントへの情報提供

大規模リニューアルに合わせてAIカメラを導入し、食堂・共用部の混雑や滞留をダッシュボードで可視化。入店者数やエリア別の利用傾向を把握し、利用時間帯の分散や動線改善に活用しています。さらに、テナント向けに空席状況をオンラインで提供するなど、運営の効率化と利用者体験の向上を両立した不動産テックの先進事例です。

ポイント:取得したデータをデベロッパー側で抱え込まず、テナントへ還元することで、テナント満足度と施設全体の価値を同時に高めています。


三井不動産株式会社 様 | 導入事例

事例2:蔦屋家電+ — 属性・滞在行動の解析を、出展メーカーへ提供する

次世代型ショールーム「蔦屋家電+」では、来店者の属性や滞在行動をAIで解析し、商品ごとの関心度を可視化。出展している各メーカーが、そのデータを遠隔で確認できる仕組みを構築しました。メーカーへの情報提供は匿名化処理により個人情報を保持せず、安全なデータ運用を実現しています。

ポイント:人流データそのものを、テナント(出展者)への提供価値=収益源に変えた事例です。リアル店舗を「体験とデータのメディア」へと進化させるモデルとして、商業施設のリーシング戦略にも応用できます。


株式会社蔦屋家電エンタープライズ様 | 導入事例

事例3:ケシオン(one×one 新宿ミロード店)— OMO店舗での顧客行動分析

ショッピングセンター内のテナントとして、AIカメラを活用したOMO(Online Merges with Offline)店舗を展開。オンラインとオフラインを融合した新たな小売の形を目指し、来店者の行動データを店舗運営に活用しています。

ポイント:AIが年齢層や興味関心を解析し、出店社へマーケティングデータをフィードバックしています。行動データがテナント内の広告・EC施策の効果測定に活用できる事例となっております。


株式会社ケシオン 様 | 導入事例

事例4:日本貿易振興機構(JETRO)— 羽田空港でのテストマーケティング

羽田空港第3ターミナルでのテストマーケティングにAIカメラを導入。来場者の属性や棚前での滞在行動をAIで解析し、商品の関心度や購買行動を可視化しました。これにより、出展企業はどの商品に注目が集まり、どのような層が興味を示したかを定量的に把握できます。

ポイント:施設内テナントの収益増加に役立つデータを提供している事例です。データに基づき、日本企業の海外展開を後押しするマーケティング支援へとつながっています。


日本貿易振興機構(JETRO)様 | 導入事例

事例5:ぐるなび(AKIBAのアキバ)— エリア全体の混雑可視化で集客促進

秋葉原エリアの約50店舗が参加し、店舗の混雑状況をAIカメラで可視化。「路面店ではなくビルに入居しているテナントのため、空席や店内の雰囲気を伝えられるのはありがたい」という参加店舗の声もあり、視認性の低い区画のテナントにとって、可視化が集客の武器になることを示しています。

ポイント:視認性の低いテナントでも、混雑状況や店内の様子を可視化することで来店のきっかけをつくれることが本事例のポイントです。商業施設においても同様に、来館者へリアルタイムな混雑情報を提供することで、施設内テナントへの集客促進や機会損失の低減が期待できます。


ぐるなび様 | 導入事例

5. よくある疑問点

商業施設で人流解析を行うメリットや、活用方法をここまで解説しましたが、AIカメラ自体になじみのない人も多いと思われます。そこで、よくお声をいただく疑問点を共有いたします。

Q. 商業施設の人流解析では、どんなデータが取得できますか?

A. 通行量・入館者数、動線や回遊ルート、滞留状況(ヒートマップ)、滞在時間、来館者属性(性別・年齢層など)、時間帯別の混雑状況などを取得できます。これらを組み合わせることで、テナント売上の課題特定や回遊性の改善に活用できます。

Q. 既存の防犯カメラで人流解析はできますか?

A. 多くの場合、既存のネットワークカメラを流用できます。ただしカメラの機種や環境によって対応可否が異なるため、対応コーデック(H.264/H.265)や通信プロトコル(RTSP)などの要件を事前に確認する必要があります。「自社のカメラが対応しているか分からない」という場合は、まず販売会社の担当者に相談してみましょう。併せて、カメラの機種や仕様を把握している情報システム部門や設備管理担当者に確認すると、スムーズに判断できます。

Q. 来館者のプライバシーは大丈夫ですか?

A. 現在のAIカメラは、映像から検出した人物を匿名化して処理し、統計データとして集計する設計が主流です。解析後の映像を保存しないサービスもあり、プライバシーに配慮しながら人流データを活用できます。

Q. 人流データはテナントにも提供できますか?

A. 提供できます。実際に、テナント向けに空席状況をオンライン提供した事例(三井不動産)や、出展メーカーへ属性・滞在行動データを提供した事例(蔦屋家電+)があります。匿名化処理を前提に、テナントへの提供価値としてデータを活用する動きが広がっています。

Q. 導入にはどのくらいの期間がかかりますか?

A. 規模や構成によりますが、「OPTiM AI Camera」は最短2日、「OPTiM AI Camera Enterprise」は最短約6週間ほどで導入可能です。まずは特定フロア・エリアでのPoCから始めるのが一般的です。

6. 商業施設の人流解析なら「OPTiM AI Camera シリーズ」

OPTiM AI Camera / OPTiM AI Camera Enterpriseは、ネットワークカメラの映像をAIが解析し、商業施設に必要な人流解析・混雑検知・属性分析を一括で実現するAI画像解析サービスです。

高精度かつ、匿名化設計を兼ね備えており、施設内の顧客行動をデータ化できるため、施設の収益性や来館者満足度の向上を実現可能にします。特に、テナント売上の向上、施設内の回遊性向上、リーシング戦略の高度化に人流データを活用したい方は、まずは資料で機能と事例をご確認ください。

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