この記事で分かること
- 多要素認証(MFA)が必須化された背景
- 多要素認証の普及に伴いカスタマーサポートが直面している新たな課題
- 機密情報の保護と顧客対応品質を両立させる運用ポイント
サイバー攻撃の高度化により多要素認証(MFA)が必須化され、サポート窓口の負担が増加しています。複雑なサポートが求められる中で遠隔サポートのニーズが高まっており、この記事では課題となる「機密情報の保護」と「顧客対応品質」の両立に焦点を当てます。セキュリティを担保しながら顧客満足度を落とさないための具体的な運用ポイントを、体系的に解説します。
1. なぜ今、金融機関に「遠隔サポート」が求められるのか
1-1. 多要素認証(MFA)が必須化された背景
金融業界を狙ったサイバー攻撃が巧妙化する中、従来のパスワード認証のみでは十分なセキュリティを確保することが難しくなっています。
そうした背景から、2025年10月日本証券業協会は「インターネット取引における不正アクセス等防止に向けたガイドライン」を改正し、フィッシングに耐性のある多要素認証(MFA)を必須化しました。※1
※1 「インターネット取引における不正アクセス等防止に向けたガイドライン」の改正について」をもとに作成
1-2. 多要素認証(MFA)とは
多要素認証(Multi-Factor Authentication:MFA)とは、ログイン時に「異なる種類の要素」を2つ以上組み合わせて本人確認を行う仕組みです。認証要素は一般に次の3分類があります。
- 知識情報:パスワード、暗証番号(PIN)など
- 所持情報:スマホの認証アプリ、SMSで届くコード、セキュリティキー(FIDO2/U2F)など
- 生体情報:指紋、顔、虹彩など
典型的な例としては「パスワード+スマホのワンタイムコード」や「パスワード+指紋認証」です。近年は、パスワードを使わずに端末の生体認証やセキュリティキーでログインするパスキーも普及し始めています。
多要素認証は、仮にパスワードが漏えいしても、もう一つの要素がなければ突破されにくい「防御の層」を作れるため、有力な手段とされています。パスワードは以下のような経路で狙われやすく、多要素認証はこうしたリスクを減らす対策として導入されています。
- フィッシング:偽サイトに入力させて盗む
- リスト型攻撃:流出ID/パスワードを使い回しで試す
- 総当たり攻撃:単純なパスワードを機械的に試す
- マルウェア/キーロガー:端末から入力情報を盗む
1-3. なぜ多要素認証が普及すると「遠隔サポート」が必要になるのか
多要素認証は有効なセキュリティ対策です。しかし、店舗・窓口の統廃合が進みオンラインで手続きを完結させる必要がある中、その導入によって顧客側の操作ステップが増え、次の様な“つまずき”を招いています。
- 認証アプリの初期設定が分からない/コードが見つからない
- SMSが届かない(通信状況、端末設定、番号変更など)
- 端末変更時の再登録・引き継ぎで止まる
- プッシュ通知の承認画面が出ない/表示が異なる
これらのトラブルは、「いま顧客の画面に何が表示されているか」が分からないと、原因を見極めにくく次にどう案内すれば良いかも判断しづらくなります。電話の口頭説明だけでは対応がどうしても長引き、手続きの途中離脱や満足度低下にもつながりかねません。
そこで有効なのは、オペレーターが顧客の画面を確認しながら案内できる遠隔サポートツールです。顧客とオペレーターの認識のズレを減らし、一次解決率や対応効率の改善が期待できます。
ただし金融機関の遠隔サポートには、以下のような厳しい前提条件があります。
- 画面上に口座番号・カード番号・残高などの機密情報が表示される
- FISC安全対策基準や個人情報保護法など、満たすべき要件が厳格
- 高齢層を含む幅広い顧客に、分かりやすく安全な手続きを提供する必要がある
つまり金融の遠隔サポートでは、「便利だが情報漏えいリスクがある」というトレードオフをどう解消するかが重要な課題になります。
2. 金融の遠隔サポートで両立すべき「2つの観点」
情報の保護と品質の両立は、次の2つの観点を意識して設計することで実現できます。
- 機密情報保護:画面共有時のマスキング、通信の暗号化、操作ログによる監査証跡
- 顧客対応品質:アプリ不要の接続導線、高齢層への配慮、一次解決率の向上
この2つの観点を満たし、リモート操作によるサポートを実現するツールとして、多くの金融企業で導入されているのがOptimal Remoteです。
2-1. 機密情報保護の技術的対策
<画面共有時の「マスキング」で見せない情報を分ける>
銀行・証券のサポートで注意すべき点は、画面共有中にオペレーターへ機密情報が見えてしまうことです。口座番号、クレジットカード番号、個人情報などが共有画面に映り込めば、それ自体が漏えいリスクとなるだけでなく、内部不正が起こる原因にもなりかねません。
これを防ぐのがマスキング機能です。Web画面共有において、口座情報やカード番号といった特定の項目だけを、オペレーター側からは見えない状態で共有することができます。顧客は普段どおりの画面を見ながら案内を受けられる一方、オペレーターには機密部分が見えない、という状況を両立することができます。
遠隔サポートツールを検討する際は、必要な項目をマスキングできるか確認しましょう。
Optimal Remoteでは、企業ごとにマスキング項目を設定できます。
<通信の暗号化と接続の透明性>
画面共有・遠隔操作の通信は暗号化されているため、通信経路上で画面情報や操作内容が盗み見られるリスクを減らし、機密情報を扱う環境でも安心して利用できます。
加えて重要なのが「透明性」です。遠隔操作は顧客の許可がなければ開始されず、操作中は顧客自身が画面上で内容をリアルタイムに確認できます。こうした「見える化」の仕組みが、顧客の不安と内部統制上の懸念を同時に解消します。
Optimal Remoteでは遠隔操作を開始する際に、お客様側での承認が必要な設計となっています。
<操作ログ・録画による監査証跡>
「誰が・いつ・どの端末に・何をしたか」を記録する監査証跡は、金融機関のガバナンス上で必須です。サポート内容の録画や、リモートツールの利用状況・利用内容の取得が可能であれば、インシデント発生時の追跡や、内部監査・コンプライアンス対応にそのまま活用できます。
2-2. 顧客対応品質を落とさない設計
セキュリティを固めるほど、手続きが煩雑になり対応品質が下がる――これは金融機関が陥りやすい問題です。しかし、安全性と利便性は、設計次第で両立できます。
<アプリ不要・受付番号方式で接続のハードルを下げる>
サポートを受ける際、顧客にとって専用アプリのインストールは手間に感じられ、そこで離脱してしまう可能性があります。Optimal Remoteなら、顧客はWebサイトにアクセスし、オペレーターに受付番号を伝えるだけで画面共有を開始できます。インストール不要のため、操作に慣れていない顧客でもスムーズに接続でき、サポート開始までの負担を軽減することができます。
<高齢層にもわかりやすい視覚的サポート>
「右上のボタンを押してください」といった口頭案内だけでは、相手が見ている画面や押す場所が一致せず、説明に時間がかかりがちです。そこで、画面上に赤ペンや指差しアイコンで操作箇所を直接示せる遠隔サポートを活用すると、迷いが減り、手続きをスムーズに進められます。また、案内の仕方が標準化されるため、オペレーターの経験に左右されにくく、対応品質を安定させることにもつながります。
実際に生命保険会社でも、高齢層向けのサポート強化を目的に遠隔サポートが導入されています。
関連記事:日本生命保険相互会社様の導入事例はこちら
3. 導入ステップ
- ツール選定:マスキング機能など、機密情報を保護できるかという観点から
- トライアル:仕様や利用環境を確認し、実運用に適しているか検証する
- 運用を確立する:ツールを使用したサポート体制を確立し、工数削減を図る
- KPIの測定:導入前と後を比較し、効果測定を行う
*Optimal Remoteであれば、最短1週間※2で運用を開始できます。
※2 製品により導入期間は異なります。詳しくはお問い合わせください。
4. まとめ
金融機関を狙う不正アクセスが高度化する中、パスワード単体では防御が難しくなり、フィッシング耐性の高い多要素認証(MFA)の導入・必須化が不可欠になっています。
一方で、利用者側の手順が増えることで問い合わせも増加しており、なかでも高齢のお客様のパスキー設定などは電話の口頭案内だけでは“いまどの画面で止まっているか”が分かりづらく、対応が長引きやすいという課題があります。
そこで、画面共有と赤ペン誘導で同じ画面を見ながら案内できる遠隔サポートが重要になります。マスキング機能を組み合わせれば、口座情報などの機密情報をオペレーターに見せることなく対応でき、「機密情報保護」と「顧客対応品質」を同時に両立できます。
安全と品質を両立する遠隔サポートなら「Optimal Remote」
Optimal Remote は、遠隔サポート用途のリモートコントロール市場で国内シェアNo.1※3の実績を持つ遠隔サポートサービスです。
- マスキング機能:口座情報・カード番号・個人情報をオペレーターに見せず画面共有(Optimal Remote Web)
- アプリ不要の受付番号方式:顧客はインストール不要・受付番号を伝えるだけで接続
- 通信の暗号化と透明な操作許可:顧客の承認がなければ操作は開始されず、サポート終了後はツールが自動アンインストール
- 金融機関での豊富な導入実績:証券会社・生命保険会社をはじめとする金融業界での採用事例多数
- ISMS/ISO27001取得のセキュリティ体制
機密情報を守りながら、サポート時間の短縮と顧客満足度の向上を同時に実現します。
※3 出典:ITR「ITR Market View:ユニファイド・エンドポイント管理市場2023」遠隔サポート用途リモートデスクトップ/リモートコントロール市場:ベンダー別売上金額推移およびシェア(2018~2022年度)
PCやスマホの遠隔サポートにお困りの方、ヘルプデスクの運営効率化をご検討の方は、ぜひお問い合わせください。

