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公開日: 2025/6/18

本当に、会議室使ってる?OPTiM AI Cameraで会議室の利用実態を調査してみた

1. 出社が増えて、“会議室難民”が増えていませんか?

コロナ禍が落ち着き、企業の出社率が徐々に戻りつつある昨今、「会議室難民」と呼ばれる現象が発生しているのをご存知でしょうか。

これは、会議室の数が不足しているために、会議をしたくても場所が確保できずに困ってしまう従業員のことを指しています。

オプティムも例外ではなく、全体的にオフィスの利用方法を検討する必要が出てきました。そこで、オフィスの利用方法の見直しと最適化のための取り組みが始まりました。

検討事項は数多くありましたが、その中でもやはり、冒頭でご紹介した「会議室難民」の問題は優先度の高い課題でした。

具体的には、社内の声として「会議室の予約は多いけれど実際に使われていないケースも多いように思う」「予約を取らずに勝手に会議室が使われているのではないか」といった問題点が挙がりました。

また、オプティムではリモートと出社のハイブリッド勤務を実施していることもあり、オンラインとオフラインが混在したやりとりが増えたことから、「大人数での会議よりも、少人数の会議がしやすい小規模ブースが欲しい」「1on1をする個室が欲しい」という声も聞こえてきました。

このように複雑化したニーズに対応するためには、まずは現状の会議室の利用実態を正確に把握することが必要だと考えました。社内の声を「個人の感想」ではなく、数字で表せる「データ」にすることにしたのです。

2. 会議室の「実態」を見える化する

会議室の利用状況を調査するにあたって、目的を以下のように設定しました。

【調査の目的】
以下の2点を明らかにする。

  1. Outlookで管理している会議室の予約と実際の利用状況
  2. 会議室を利用する人数の傾向

つまり、「予約したのに他の人が使っている」「予約が埋まっていて会議室の予約が取りづらい」そんな状況が、日常的に発生していないかを、データとして取得することにしました。

しかし、社内の会議室は20室以上あり、他の業務もある中で、人間が目視で確認するのは現実的ではありませんでした。

オプティムには、エンジニアが社内ハッカソンで開発した「電灯のON/OFFで利用状況を推定する」というツール(aitorugana[アイトルガナ])があります。こちらを利用すると予約と利用の状況を確認することが可能です。

しかし、このツールでは、「何人で」利用しているのかを取得することはできません。

そこで注目したのが、OPTiM AI Cameraです。

OPTiM AI CameraはAIによる画像解析技術を活用し、室内の人数カウントや滞在時間、混雑状況をリアルタイムで把握できるカメラシステムです。
会議室利用状況を動画で撮影し、利用人数を把握するにはもってこいでした。


会議室を動画で撮影するにあたっては、従業員のプライバシーや機密情報にも配慮が必要でした。会議の内容によっては個人情報や機密情報が含まれる可能性があるため、安心していつも通りに会議室を利用してもらうには、動画内の会議の内容がわからないようにする必要があったのです。

その点でもOPTiM AI Cameraはぬかりありませんでした。独自の匿名化技術により、個人を特定することなく利用人数を把握することができるからです。

OPTiM AI Cameraで匿名化することを前提とした上で、さらに、カメラ設置の目的、設置場所、取得するデータの内容、運用期間などについても事前に全従業員へ通知を行いました。
このように、従業員のプライバシーに配慮して、会議室の利用状況の調査を進めることができました。

3. OPTiM AI Camera導入の裏側

OPTiM AI Cameraの導入にあたって、カメラの設置を推進したスタッフにインタビューを行いました。簡単に導入することはできたのでしょうか?


──OPTiM AI Cameraの設置はうまくいきましたか?

「こういった作業に慣れていなかったので、急に23台のカメラを設置することになり、最初は正直かなり手探りでした。カメラ自体は社内に余っていた検証用のものがあったので、それを活用しました。でも、23箇所それぞれ微妙に広さが違う部屋に設置するとなると話は別です。カメラの画角が狭いと部屋全体が映らず、人数を正確にカウントできないなどがあるので、部屋ごとに設置する高さや角度にはかなり気を使いました。」

──想定外のトラブルなどはありましたか?

「ありました(笑)。といっても大したことではないんですが、カメラを常時稼働させるためには電源が必要なんです。電源タップの数が足りず、量販店に買いに走ることになりました。あと、会議中はなるべく目立たないように設置する必要もあって、設置場所の微調整には想定外に時間がかかりました。」

──設置後の計測はどうでしたか?

「設置後は大きなトラブルもなく、毎日OPTiM AI Cameraでデータを確認することができました。OPTiM AI Cameraチームによると、顧客導入の際にはカメラの設置とキッティングはオプティムが実施しているとのことなので、データを確認するだけであれば難しいところはないと思います。」


このような、地道な準備を経て、OPTiM AI Cameraのネットワークが社内会議室に張り巡らされました。いよいよ、データ収集がスタートしたのです。

4. 会議室利用状況の「実態」

こうしてOPTiM AI Cameraで取得したデータから、これまでは個人の感覚で語られていた“会議室の混雑”の正体が明らかになりました。

予約と実利用の割合

  • 予約しているのに使われなかったケースが全体の約2割を占めていた。

時間別利用平均人数

  • 9:30-10:00、15:00-16:00、18:00-18:30の時間帯に利用が多い。
  • 15時台はMax50人程度の利用が想定される。
  • 9時台、18時台は朝会・夕会などによる、定期利用が多かった。

曜日別合計利用人数

  • 水曜日が最も利用頻度が高く、出社率との相関が見られた。

これらの調査結果から、“スペースがない”のではなく、“使い方に偏りがある”ことが問題であることが明らかになったのです。

5. データで見えてきた改善のヒント

「会議室難民」が発生する元になる会議室利用の偏りには、以下の2つがありました。

  • 出社日の偏り

    オプティムは週3日の出社を原則としていますが、出社曜日はチームごとに任意で設定しています。
    カードキーの入退室履歴から出社人数を計算し、AI Cameraのデータと突き合わせてみたところ出社人数と会議室利用の偏りに相関がありそうだとわかりました。

  • 朝・夕の定例会の偏り

    オプティムでは、朝会や夕会で進捗や困りごとを報告するチームが多いです。その時間が被っていることが多いこともわかりました。

出社日については、曜日調整が可能なチームは出社曜日を変更することで、偏りをなくすことができ、朝会や夕会はライトな会議であることが多いため、スタンディングスペースを増やすことにより会議室を利用しなくても良い場合があるだろうと結論づけることができました。

今回のこの取り組みによって、施設の最適化には実際の「人の動き」を「データ」として捉えることが不可欠だということがわかりました。
社員の声をデータで裏付けることで、社内施設の無駄を省き、社内満足度の高い環境の整備を推進していきます。

6. 店舗や施設でも広がる活用可能性

OPTiM AI Cameraは、社内施設だけでなく店舗や公共施設のマーケティングや運営にも応用可能です。
例えば、店舗では来店客数の把握や混雑状況のリアルタイム監視に利用されており、人気商品の前に人が集まっている時間帯を分析することで販促戦略の最適化に役立てることができます。
また、公共施設では、施設の利用状況をリアルタイムで把握し、混雑緩和策や清掃のタイミングを効率的に設定するために活用できます。

今回、社内の利用実態調査で得たノウハウをOPTiM AI Cameraチームにフィードバックし、よりよいサービスにしていこうと考えています。

7. 人の動きが見えることで、空間の意味が変わる

施設の運用において、従来の「予約情報」や「感覚的な声」だけでは見えなかったものが、OPTiM AI Cameraによって明らかになりました。

“使われ方”を可視化することで、空間は初めて最適化されます。

会議室に限らず、すべての空間にとって、「人の動き」は最も重要な判断材料になるのではないでしょうか。

あなたの職場や施設でも、AIでリアルな人の動きを見直してみませんか?

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