この記事でわかること
- RPAが得意とする業務とコールセンター・ヘルプデスクで自動化できる業務
- RPAでは対応しきれないサポート業務と、人間対応が必要になる場面の見分け方
- 「RPA→人間→RPA」の循環設計で対応工数を同時に削減する方法
コールセンターやヘルプデスクの現場でRPA(Robotic Process Automation)への関心が高まっています。しかし「RPAを導入すればサポート業務の大半を自動化できる」と期待して導入したものの、例外処理の多さやメンテナンス負荷に苦労するケースも少なくありません。
この記事では、RPAの仕組みと適用範囲の考え方を整理したうえで、コールセンター・ヘルプデスクの効率化に向けた「RPA×遠隔サポート」の役割分担モデルを解説します。ツール選定や社内提案の材料としてご活用ください。
1. RPAとは?コールセンターやヘルプデスクで注目される理由
RPAは、人が行っているPC上の定型作業をソフトウェアが代行する仕組みです。
AIや機械学習とは異なり、判断ロジックや処理手順をあらかじめ設定することで、決まった作業を繰り返し実行します。人手不足や業務効率化の需要が高まるなか、コールセンター・ヘルプデスクでも導入を検討する組織が増えています。
1-1. RPAは人が行う定型的なPC操作を自動化する仕組み
RPAが自動化の対象とするのは、「手順が決まっていて、毎回ほぼ同じ操作を繰り返す業務」です。具体的には、システムへのデータ入力や、複数ツール間での情報転記、ファイルの照合・集計、定型メールの送信などがあげられます。
これらの作業の共通点は、判断の余地が少なく、処理手順をルールとして定義できる点です。人間が行えば時間と集中力を要する単純作業も、RPAであれば速度・正確性を保ちながら継続して処理できます。
1-2. RPA導入で期待できるメリット
RPAを適切な業務に適用することで、主に次のような効果が期待できます。
まず、作業時間の大幅な短縮です。手入力で30分かかっていたデータ転記がRPAで数分以内に完了するといったケースは珍しくありません。
次に、人的ミスの削減です。入力漏れ・転記ミス・確認漏れなど、繰り返し作業に付随するヒューマンエラーを構造的に減らせます。
また、RPAは設定した条件のもとであれば24時間稼働が可能なため、夜間・休日を含めた業務処理にも対応できます。そして、担当者がデータ入力などのバックオフィス作業から解放されることで、顧客への対応に集中できる体制が整います。
2. RPAで自動化できる業務・できない業務
前章で説明したこれらの効果は、あらゆる業務で得られるわけではなく、RPAの特性に合った業務を見極める視点が必要です。
2-1. RPAで自動化しやすい業務の特徴
自動化に向いている業務には、次のような共通点があります。
- 手順・ルールが明確に定義できる:「AというデータをBのシステムに入力する」といった処理が文書化されている
- 処理件数が多く繰り返し頻度が高い:件数が少ない業務では自動化の恩恵が小さい
- 入力データの形式が一定である:構造化されたデータ(CSV・Excelなど)を扱う業務は自動化しやすい
- 人による判断の余地が少ない:条件分岐があっても、パターン数が限られていれば定義可能
これらの条件を満たす業務は、RPAの適用候補として優先的に検討しましょう。
2-2. コールセンター・ヘルプデスクで自動化できる業務例
コールセンターやヘルプデスクの現場で、RPAが有効に機能しやすい業務例を以下に挙げます。
- 問い合わせ内容の転記・チケット登録:
電話対応後に複数システムへ同じ情報を入力する作業 - 顧客情報の照合・確認:
複数のデータベースを突き合わせて顧客情報を引き出す処理 - 定型通知メール・SMSの送信:
受付完了・処理結果のお知らせなど、内容がテンプレート化されているもの - 日次・週次の定型レポート作成:
問い合わせ件数・対応時間などの集計とレポート出力 - FAQへのアクセスログ集計:
よく参照されるページや未解決率の集計
これらはいずれも、手順が決まっていて処理件数が多い業務です。オペレーターが毎日繰り返しているバックオフィス作業からこうした定型業務を切り出すことで、対顧客対応へのリソースを確保できます。
2-3. RPAで自動化しにくい業務の特徴
RPAは、判断の余地がない定型業務にこそ効果を発揮します。逆に言えば、状況に応じた柔軟な判断や、顧客ごとに異なる事情への配慮が求められる業務は、RPAの適用が難しい領域です。
コールセンターやヘルプデスクの問い合わせには、こうした「毎回状況が異なる」ケースが一定数含まれており、これらは人間のオペレーターが対応すべき領域です。
2-4. 無理な自動化がかえって業務負荷を増やすケース
RPAの適用範囲を広げすぎると、「例外処理が頻発」し、かえって負荷を増やしてしまう場合があります。
想定外の入力形式・システムエラー・ルール外の問い合わせが発生すると、RPAが停止・誤動作し、担当者が手動で対応しなければならない事態が起きます。
また、利用しているシステムの画面構成が変わるたびにRPAの設定を修正する必要があります。自動化することで削減できる工数よりも、例外対応とメンテナンスに要する工数が上回るようでは、効果が薄れてしまいます。
このように、RPAの適用範囲を見極めずに拡大すると、かえって現場の負荷が増えてしまいます。次章では、RPAではなく人間が対応すべき業務について具体的に見ていきます。
3. RPAだけでは解決できないサポート業務には人間対応が必要
定型業務をRPAが担うことで、オペレーターはより判断力が求められる対応に集中できます。しかし実際の問い合わせには、RPAはもちろん、電話やチャットでのテキスト対応でも解決が難しいケースが存在します。
3-1. 顧客の説明だけでは端末の状況を把握できない
「ログインできない」「エラーが出ている」「操作手順通りに進まない」こうした問い合わせでは、顧客が言葉で説明する内容だけから原因を特定することが難しいケースがあります。OSのバージョン・ブラウザの種類・エラーメッセージの内容・どの画面で止まっているかなど、状況を正確に把握する手段がなければ、対応は手探りにならざるを得ません。
3-2. 想定外のエラーや複数要因が絡むトラブルが発生する
事前に定義したルールから外れる、ネットワーク設定や権限、ブラウザのキャッシュなどが複合的に絡んでいるような案件では、パターンに沿った処理では対応できません。オペレーターが顧客の環境を確認しながら仮説を立て、一つひとつ原因を絞り込んでいくプロセスが必要です。
こうした例外対応は、RPAやFAQで処理できる範囲を超えており、担当者による状況確認と柔軟な判断が欠かせません。
3-3. IT操作に不慣れな顧客には個別の案内が求められる
高齢者やITリテラシーに不安がある顧客には、テキストや音声での説明だけでは伝わりにくいことがあります。このような顧客ほど、口頭説明を何度繰り返しても状況が改善しないケースが多く、オペレーターの負担も大きくなりがちです。
3-4. 顧客の不安や不満に寄り添う必要がある
問題の解決だけでなく、顧客の感情に寄り添うことが求められる場面もあります。「何度問い合わせても解決しない」「大事なデータが消えてしまったかもしれない」といった不安や怒りを抱えた顧客に対しては、定型的な応答では顧客満足度を維持することができません。
顧客の状況を理解し、言葉を選びながら丁寧に対応できるのは、人間のオペレーターに固有の強みです。
4. RPA×遠隔サポートで実現する効率的な役割分担
RPA単体でも、人間対応単体でも解決しきれない課題に対して、最も有効なアプローチは「役割を明確に分けて組み合わせること」です。定型処理はRPAに任せ、判断が必要な場面では人間が対応し、対応後の記録・集計を再びRPAに戻す——この循環モデルがコールセンター・ヘルプデスクの効率化において機能します。
4-1. 定型処理はRPA、判断が必要な対応はオペレーターに任せる
問い合わせを受け付ける段階では、顧客情報の照合・チケット発行・関連FAQの提示などをRPAが担います。その後、定型回答で解決できる問い合わせはそのまま自動応答・自動処理へ。解決できないケースは、条件に基づいてオペレーターにエスカレーションされます。
オペレーターが対応を引き継ぐ段階では、RPAがすでに顧客情報と問い合わせ内容を整理した状態で受け渡すことができるため、オペレーターは状況把握から始めるのではなく、即座に解決に向けた対応を開始できます。
4-2. 解決できない問い合わせを遠隔サポートへ切り替える
電話・チャットでのオペレーター対応でも解決が難しい場合は、遠隔サポートへの切り替えが最適な次のステップです。
オペレーターが顧客の端末状況を直接確認しながら対応できる体制に切り替えることで、一次解決率の向上と対応時間の短縮につながります。
問い合わせの内容に応じてスムーズにエスカレーションできる導線を設計しておくことが、効果を最大化するポイントです。
4-3. 対応後の記録・集計をRPAで再び自動化する
オペレーターが問題を解決した後に発生する後処理(チケット内容の更新、対応結果の転記、月次レポートへの集計)は、再びRPAが担える領域です。対応後の作業をRPAに引き継ぐことで、オペレーターは後処理の手間を最小限に抑えて次の問い合わせへ移れます。
「RPA→人間→RPA」という役割分担の循環を設計することで、定型処理と例外対応のそれぞれに最適な手段を当てはめた業務フローが実現できます。
5. RPAと遠隔サポートを併用するときの導入・運用ポイント
ツールを導入することがゴールではなく、対応品質と業務効率の向上が目的です。そのためには、業務の切り分け・エスカレーションのルール設計・効果測定・セキュリティ確認まで一体的に整備する必要があります。
5-1. 問い合わせ業務を定型・準定型・非定型に分類する
まず、現在発生している問い合わせを業務フローとともに可視化し、次の3種類に分類します。
- 定型業務:手順が固定され、RPAで自動処理できる(情報転記・通知送信・集計など)
- 準定型業務:パターンはある程度決まっているが、確認が必要なケースが含まれる(FAQで対応できるが一部はオペレーター対応が必要なもの)
- 非定型業務:状況判断・個別対応・視覚情報が必要なトラブル対応など、人間が担うべきもの
この分類を行うことで、RPAへ任せる範囲と人間・遠隔サポートが担う範囲の境界が明確になり、役割分担の設計が具体的に進められます。
5-2. 自動対応から有人対応への切り替え条件を決める
「いつ人間に切り替えるか」の基準を事前に定義しておくことが、スムーズなエスカレーションの前提です。切り替え条件の例として、次のようなものが挙げられます。
- RPAによる自動処理でエラーや例外処理が3回以上発生している
- 顧客からの入力に「エラー」「つながらない」「消えた」などのキーワードが含まれる
- 対応開始から一定時間(例:5分)が経過しても解決に至っていない
- 顧客が「オペレーターに話したい」と申し出た
こうした条件を設定し、条件を満たした場合に自動的に遠隔サポートへ誘導する流れを設計しておくことで、顧客を長時間待たせるリスクを下げられます。
5-3. 対応時間・一次解決率・再問い合わせ率で効果を測る
RPAの導入効果はRPAが処理した件数だけで評価するのではなく、サポート全体のアウトカムで測ることが重要です。主なKPIとして次の指標が参考になります。
- 平均対応時間(AHT):1件あたりの対応にかかる時間が短縮されているか
- 一次解決率(FCR):最初の問い合わせで完全に解決した割合が向上しているか
- 再問い合わせ率:同じ顧客から同じ件名で再度連絡が入る割合が減少しているか
これらの指標を定期的に測定・比較することで、RPAと遠隔サポートの組み合わせが実際に機能しているかを継続的に確認できます。
5-4. 権限管理やデータ保存方針などのセキュリティを確認する
遠隔サポートツールを導入する際には、顧客の個人情報・端末情報の取り扱いに関するセキュリティポリシーを事前に確認することが不可欠です。特に確認すべき項目として、次のものが挙げられます。
- オペレーターごとの操作権限の設定が可能か
- 画面共有・遠隔操作の録画・ログが保存される場合、その保存先と期間はどうなっているか
- セッション終了後にデータが削除される設計か
- 個人情報保護法への対応状況と、エビデンスを提供できるか
顧客の端末を直接操作する遠隔サポートでは、こうしたセキュリティ基準の確認が導入後のリスク管理において重要です。
6. RPAで解決できない有人対応を効率化する「Optimal Remote」シリーズ
国内シェアNo.1※のOptimal Remoteシリーズは、遠隔サポート技術でオペレーターの対応品質と解決速度を高めるための機能を備えています。
※出典:ITR「ITR Market View:ユニファイド・エンドポイント管理市場2023」リモートサポート用途 リモートデスクトップ/リモートコントロール市場:ベンダー別売上金額推移およびシェア(2018〜2022年度)
6-1. PC・スマートフォンの画面共有で状況を正確に把握
PC・スマートフォン両方の画面共有に対応しており、オペレーターが顧客の画面をリアルタイムで確認できるため、「どのエラーが表示されているか」「どの操作で詰まっているか」言葉を介さずに把握できます。
OSのバージョン・ブラウザの種類・端末の設定状況なども確認できるため、原因特定のための確認往復が減り、対応時間の短縮につながります。
6-2. 赤ペン・指差しと遠隔操作で解決までを短縮
画面を共有するだけでなく、オペレーターが顧客の画面上に赤ペンで書き込みや矢印を描くことで、「この部分をクリックしてください」と視覚的に直接指示できます。口頭での説明では何度繰り返しても伝わらなかった操作手順が、一度の指示で理解してもらえるケースが増えます。
さらに遠隔操作機能を使えば、オペレーターが顧客の端末を直接操作して問題を解消することも可能です。「顧客に操作してもらう」工程を省けるため、ITリテラシーが低い顧客への対応でも解決時間を大きく短縮できます。
また、現地訪問が必要だったケースを遠隔で完結させることで、訪問コストの削減にも直結します。
6-3. 顧客に合わせてダウンロード不要のサポートも可能
Optimal Remoteシリーズは、顧客の利用環境やITリテラシーに応じて接続方法を使い分けられる点が特徴です。社内ヘルプデスク向けにはサポートアプリをダウンロードする常時接続型、顧客向けサポートにはブラウザ上でワンクリックに近い形で参加できるエージェントレス型を選択できます。
顧客にサポートアプリのダウンロードを求めないエージェントレス型は、サポートへの参加ハードルを大幅に下げ、遠隔サポートが実際に活用される件数を高めることにつながります。
6-4. 権限管理・データ非保持設計・マスキング機能で安全な運用を支援
個人情報を扱うコールセンターやヘルプデスクでの運用を想定した、セキュリティ設計も整備されています。
オペレーターごとに画面共有・遠隔操作・録画などの権限を個別に設定できるため、業務上必要な範囲を超えた操作を制限できます。
セッション中のデータはサービス側のサーバーに保存されない設計になっており、顧客画面の情報が外部に残るリスクを構造的に抑えています。
また、クレジットカード番号や氏名・口座情報など、オペレーターに見せたくない画面領域をあらかじめ設定で非表示にするマスキング機能※により、個人情報保護法への対応を実務レベルでサポートします。
※シリーズ内「Optimal Remote Web」「Communication SDK」の機能
7. まとめ
RPAは定型業務の自動化において大きな効果を発揮しますが、コールセンターやヘルプデスクに持ち込まれる問い合わせのすべてを自動処理できるわけではありません。例外対応・複雑なトラブル・IT操作に不慣れな顧客への個別案内は、人間のオペレーターが担う必要があります。
- 定型業務はRPAで自動化し、オペレーターの負荷を下げる
- 判断・視覚情報・感情対応が必要な問い合わせは人間が担い、遠隔サポートで解決速度を高める
- 対応後の後処理は再びRPAへ戻し、業務全体を効率化する循環を設計する
この役割分担を整備することで、対応時間の短縮・一次解決率の向上・対応品質の標準化を同時に進めることができます。
また、実際に運用へ落とし込む際は、
- 問い合わせ業務を「定型・準定型・非定型」に分類する
- 自動対応から有人対応への切り替え条件を事前に定義する
- 対応時間・一次解決率・再問い合わせ率で効果を継続的に測定する
といった準備が、RPAと遠隔サポートの役割分担を機能させる鍵になります。
Optimal Remoteシリーズは、RPAが担えない有人対応の場面において、画面共有や赤ペン、遠隔操作、マスキング機能を組み合わせ、オペレーターの対応品質と解決速度を支援するツールです。コールセンターやヘルプデスクの効率化をご検討の方は、資料の無料ダウンロードまたは導入についてお問い合わせください。
