OPTiM お役立ち情報
公開日: 2025/10/21

10年来の課題を解決、眼底検査機器の遠隔サポートを実現

導入理由

  • 全国の医療機関への現地サポート対応による業務負荷を軽減したい
  • 医療業界特有のセキュリティ要件を満たす遠隔サポート体制を構築したい
  • 遠隔地への出張に伴う営業の負担を削減したい

導入効果

  • 遠隔でのログ取得・トラブルシューティングが可能になり、業務効率が大幅に向上
  • 従来現地でしか判断できなかった状況を遠隔で確認可能になり、コールの約8割を遠隔で解決することで対応効率が向上
医療業界特有のセキュリティ要件をクリアし、全国の医療機関への現地サポート対応を効率化

株式会社トプコンメディカルジャパンでは、眼底検査機器を全国の医療機関へ提供しており、システムサポートの際には現地でのログ取得や原因調査が頻繁に発生していました。遠隔地の場合、1回の出張で往復時間と作業時間を合わせて約8時間を要することもあり、営業部門の業務負荷が大きな課題となっていました。この課題を解決する手段として、遠隔サポートシステムの導入が約10年前から社内で検討されていましたが、実現には至っていませんでした。

OPTiM Hardware My Portal」の導入により、医療業界特有のセキュリティ要件をクリアした遠隔サポート体制を実現しました。導入後は想定コールの5割遠隔化を見込んでいたところ、実際にはコールの8割の遠隔対応を達成し、サービス品質の向上と運用管理の効率化を実現しました。 今回は、株式会社トプコンメディカルジャパンの皆様に導入前の課題や製品選定のポイント、現在の活用状況、そして今後の展望について詳しくお話を伺いました。

1. 導入背景と課題について

-導入背景、悩み、導入以前の課題感について教えてください。

眼底検査機器を全国の医療機関に提供しておりまして、システムサポートの際には現地でのログ取得や原因調査が頻繁に必要となっていました。遠隔地によっては1回の出張で往復時間と作業時間を合わせて約8時間を要することもあり、営業の業務負荷が大きな課題となっていました。

全国に展開する医療機関へのきめ細かなサポート体制を維持しながら、いかに効率化を図るか。この課題を解決するため、遠隔サポートシステムの導入が約10年前から社内で検討されてきました。しかし、解決できそうでできない状況が続き、決定に踏み切れない状態でした。

眼底検査の医療画面とOCT画像を表示する眼科診断モニター

実現できなかった理由としては、まずセキュリティ要件の厳格さです。

医療情報は要配慮個人情報であり、情報漏えいは企業の存続に関わる重大な問題となります。日本の医療機関では、基本的にインターネットへの外部接続が認められていません。

次に、高額なコストです。電子カルテ等で認められている接続方式(光回線+専用ルーター)では、検査機器単体のサポートのためにコストを割くことが難しい状況でした。

複数の企業から提案を受けてきましたが、コスト面で折り合いがつかない、あるいは要件に正確に合致しないことが多く、導入には至りませんでした。

様々なIT企業様に協力を依頼してきましたが、医療業界のセキュリティ要件を理解いただくことが難しく、なかなか要件に合致するご提案はいただけませんでした。

2. オプティムとの出会いと製品選定

-オプティムとはどのような経緯で出会われたのでしょうか?

困っていた矢先に、ちょうどオプティム社からオファーメールをいただきました。盗聴されているのかと思うくらい、タイミングがぴったりでした。

-「OPTiM Hardware My Portal」を選定された理由、製品を選定する際に重視したポイントを教えていただきたいです。

オプティム社との最初のミーティングで、導入の道筋が見えたと実感しました。医療系のビジネスをご経験されており、必要な要件をご理解いただいていたので、なぜそこまでセキュリティが厳しいのかの説明が不要でした。私の要望をお伝えすると、短期間で提案をご提示いただきました。その内容は、それまでの提案とは明らかに異なっていました。本当に私たちが求めている点に対して、的確な提案を返していただきました。よく理解してくださっていると実感しました。

最終的な決め手となったのは、2つのポイントです。

1つ目は、医療業界への深い理解と、セキュリティ課題を解決する具体的な方法を提示していただいたことです。セキュリティ要件を最初から理解していただいており、要求内容を正確に把握した提案をいただけました。最大の課題であったセキュリティ要件に対して、オプティム社はキャリアの暗号化通信を活用するアプローチをご提案いただきました。今まで考えていなかった方法でした。インターネットの公衆網を経由せず、キャリアレベルの暗号化通信を使う。この通信経路であれば、医療機関の皆さまにも第三者による盗聴はできないとご説明できると思いました。実証実験を経て、その有効性の確認も完了しました。

OPTiM Hardware My Portalのシステム構成図:病院の医療機器と端末がIoT GW端末を介してサポートセンターと連携する仕組み

2つ目は、一緒に課題解決に取り組んでくれる姿勢です。コスト面についても、実現可能な範囲をともに模索していただきました。非常に厳しいコスト要件に対して、導入台数や運用方法を調整しながらご協力いただきました。単なる提案ではなく、本当に一緒に考えていただいている感覚がありました。決して否定から入らず、常に前向きな姿勢でディスカッションに臨んでくださりプロジェクトは急ピッチで進行しました。担当者の小回りの利く対応や、スピーディーな提案書の作成により、これはやるべきだと強く感じるほどの熱意を受け取りました。

3. 「OPTiM Hardware My Portal」について

「OPTiM Hardware My Portal」は、医療機器をはじめとする各種ハードウェアの遠隔サポートを実現するクラウドプラットフォームです。

オプティムは長年にわたり遠隔作業支援サービスを提供してきた実績があり、加えてIoT分野においても豊富な知見を持っています。この両方の強みを組み合わせることで、医療業界特有の課題に対応しました。

主な機能:

  • IoT GW機器を活用したセキュアなネットワーク環境の構築 IoT GW(ゲートウェイ)機器を活用することで、院内ネットワークから分離した独立したネットワーク環境を構築いたします。通信には専用SIMを活用することで、インターネット公衆網を経由せず、キャリアの閉域網を利用した高度なセキュリティを実現します。医療機関が求めるセキュリティレベルを満たしながら、従来の光回線+専用ルーター方式と比較してコストパフォーマンスに優れた通信環境を構築いたします。
  • 遠隔操作機能 遠隔地から機器に安全にアクセスし、設定変更やトラブルシューティングを実施できます。リモート開始時に接続先の端末で操作や設定が不要なため、任意のタイミングでリモート実行が可能です。これにより、問題解決までの時間を大幅に短縮できます。
  • 遠隔ログ取得機能 現地に赴くことなく遠隔から機器のログデータを取得できます。トラブル発生時の初期診断を迅速に行い、本当に現地対応が必要なケースを見極めることが可能になります。
  • 稼働監視機能 機器にIoTデバイスを設置しログを収集することで、機器の稼働状況を常時監視します。機器の状態をリアルタイムで把握し、停止している場合はアラートを発報いたします。これにより、トラブルの早期発見と迅速な対応を実現します。
  • マルチデバイス対応 様々な医療機器やソフトウェアに対応可能です。将来的な機器の追加や拡張にも柔軟に対応できる設計となっており、段階的な導入や運用の拡大が可能です。

4. 導入後の効果と成果

-実際の業務の中で、どのように「OPTiM Hardware My Portal」を使われているか教えてください。

導入前は、トラブルの連絡をいただくと現地に出向いてログを取得し、原因を調査していました。現在は、まず遠隔で機器の状態確認とログ取得を行い、初期診断を実施します。その結果、ソフトウェアの設定に起因する問題や一時的なエラーについては、遠隔操作で機器にアクセスし、設定変更やパラメータ調整を行うことで解決できるようになりました。また、機器の再起動が必要なケースでも、遠隔から実施できるため、多くの問題を訪問なしで解決しております。現地での対応が必要な場合のみ出張するという業務フローに変わりました。

-導入により、課題はどのように解決されたかお聞かせください。また導入によって感じている効果があれば教えてください。

まず、想定を大きく上回るROI(投資対効果)を実現できました。導入前は現地出張対応をコールの5割程度削減できると想定していましたが、実際の運用ではコールの8割を遠隔対応で解決できており、当初の予想を大幅に上回る効果を得ています。遠隔でログ取得や初期診断ができるようになったことで、現地対応が必要なケースが大幅に減りました。営業の負担が軽減されただけでなく、お客様へのレスポンス時間も短縮され、サービス品質の向上にもつながっています。

OPTiM Hardware My Portal導入効果の図:導入前後の対応フローの比較とサポートコスト80%削減の効果

また、予想外だった成果として、病院での導入が成功したことが挙げられます。当初はセキュリティの観点から大規模病院は難しいと想定し、個人クリニックを中心に検討していました。しかし実際には、提案した病院の約半数で導入を承認いただきました。情報部門の皆さまに詳細な技術資料をご提示すると、これなら問題ないと評価いただきました。大学病院のように情報部門がしっかりしている施設でも導入できました。導入は日本全国、地域を問わず広がっています。

5. 今後の展望

-今後どのように活用していきたいですか。今後の構想や計画など、展望について教えてください。

まず、ソフトウェア自動アップデート機能の実装を計画しています。現在はUSBメモリでファームウェアをアップデートしていますが、今後は遠隔での自動アップデート機能の実装を進めていきます。インフラが整ったので、ユーザーの皆さまにとっての価値をさらに高めていきたいと考えています。常に最新の解析プログラムをご提供できれば、医療機関にとっても魅力的なサービスになるはずです。

また、有償保守サービスとしての展開も視野に入れています。現在はサービスとして提供していますが、今後は有償保守としての展開も検討しています。ダウンタイムの最小化や最新機能の提供など、具体的な付加価値を訴求していきたいと考えています。遠隔サポートの価値をより多くのユーザーにご理解いただけるよう、私たち自身も進化してまいります。

-「OPTiM Hardware My Portal」の利用を検討されている方々に対し、メッセージをお願いします。

「OPTiM Hardware My Portal」は、医療業界特有のセキュリティ要件を満たしながら、効率的な遠隔サポート体制を構築したい企業様に最適な製品だと思います。

私たちの場合、約10年間実現できなかった課題が、オプティム社の医療業界への深い理解と革新的な技術によって解決されました。実際に導入してみると今まで現地に行かないと判断できなかった状況がリモートで確認でき、コールの約8割がリモートで解決できています。

導入を検討されている方々には、まずはオプティム社の提案を聞いていただくことをお勧めします。きっと、真摯に向き合ってくれる姿勢と、確かな技術力を実感していただけると思います。

トプコンメディカルジャパン 新海氏、加藤氏、弓掛氏、伊東氏の写真

左から、ICTソリューション事業部新海氏・加藤氏、カスタマーサポート部弓掛氏・伊東氏

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