1. SaaS導入が当たり前になった今、改めて見直すべき「導入フローの整備」
ここ数年で、企業の業務環境は大きく変化し、クラウドサービスの活用が急速に進みました。中でも、SaaS(Software as a Service)は、その柔軟性と拡張性から、あらゆる業種・職種で活用される存在となっています。
SaaSが普及している背景とは?
SaaSの普及にはいくつかの背景があります。
● 多くのツールの中から選択可能
SaaSは、業種や業務ごとの課題に対応するツールが豊富に揃っており、目的に応じた最適なツールを選択できます。例えば、建築業や土木業に特化した測量・解析ツールや営業支援に特化したSFAツール、人事・勤怠管理に特化したHR系ツールなど、用途に特化したSaaSが多様に存在します。
● 簡単で早い導入
従来のオンプレミス型システムと比べ、SaaSは「申し込めばすぐに使える」ことが特徴です。設定が簡単で、自社のIT部門だけで完結できるケースも多く、特に中小企業やスタートアップにとって導入のハードルは格段に下がりました。
●柔軟な課金モデル
初期費用を抑え、月額または従量課金制で利用できるサブスクリプションモデルは、予算に柔軟性を求める企業にとって大きなメリットとなっています。こうした「使った分だけ払う」モデルを選択できることで、経営判断のスピードにも影響を与えています。
2. SaaS導入のよくある課題
導入しやすく、成果も出しやすいはずのSaaSですが、現場では以下のような“つまずき”も発生してしまうこともあります。
● 解決したい課題が不明瞭でツールが乱立してしまう
目的を明確にしないまま「便利そうだから」「他社も使っているから」と導入を進めてしまうと、結果的に似たような機能のツールが社内に乱立することに。これはライセンス費用の無駄だけでなく、従業員の混乱も招きます。
● 導入後に満足に活用されず、定着しない
導入はできたものの、「どう使えばいいかわからない」「既存の業務に組み込まれていない」などの理由から、SaaSが社内に定着せず、ただの“無駄コスト”になってしまうケースも少なくありません。
● 管理やコストの見直しが煩雑になってしまう
複数のSaaSを同時に運用すると、アカウント管理や利用状況の把握、コストの統合管理が難しくなります。とくに情シス担当者が少ない企業では、運用負担が重くなりがちです。
3. SaaS導入成功のための3つの鍵とは?
こうした課題を回避するためには、「とりあえず導入」から「戦略的導入」へとマインドセットを切り替える必要があります。
以下の3つのポイントが、SaaS導入の成功を大きく左右します。
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課題解決の優先順位を明確にする
最初に取り組むべきは、「なぜSaaSを導入するのか?」という目的の明確化です。課題が曖昧なままでは、導入後に「本当に必要だったのか」が分からなくなります。
▷ 例:目的の分類
- コラボレーション強化:社内外の情報共有をスムーズにする(例:Slack、Notion)
- 生産性向上:業務効率を上げる(例:kintone、Asana)
- セキュリティ対策:情報漏洩やアクセス管理の強化(例:Okta、CloudGate UNO)
目的が明確になれば、「どの部署に、どの機能が必要か」「いつまでに導入すべきか」といった優先順位も立てやすくなります。
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定着できるような運用方針の策定
導入して終わりではありません。SaaSはあくまで“ツール”であり、現場で活用されて初めて意味を持ちます。そのためには、運用方針の整備が不可欠です。
▷ 具体的な運用ルールの一例
- アカウント管理:誰がいつ、どのSaaSにアクセスできるかの設計
- アクセス制限と利用ポリシー:機密情報を扱う部門ごとのアクセス制限やSaaS利用する上でのルール設定
- トレーニングの実施:操作マニュアルや動画による社内教育
また、SaaS管理ツールを活用することで、現場任せの導入を防ぎ、組織全体での定着を図ることができます。
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導入後の定期的な見直し
SaaSは日々進化し、企業のニーズも変化していきます。そのため、導入してからが本番とも言えます。使われていないツールが残り続ければ、コストだけがかさみ、セキュリティリスクも高まります。
▷ 定期見直しのポイント
- 利用状況の可視化:アクティブユーザー数やログイン頻度をチェック
- 費用対効果の分析:コストに対してどれだけ業務改善が進んだかの確認・分析
- 非利用SaaSの棚卸:不要なアカウントの削除、契約ライセンスの見直し
こうした見直しを年に1~2回のペースで実施し、状況に応じてツールの入れ替えや統合を進めましょう。
4. まとめ:SaaSを「資産」にするために、今こそフローの整備を
SaaSの導入は決してゴールではありません。むしろ、導入からが本当のスタートです。
導入が簡単になった今だからこそ、「なぜ導入するのか」「どう活用するのか」「導入後どう評価・改善していくか」といったフローの整備が、企業の成長を左右します。
今回紹介した3つのポイント――
- 課題解決の優先順位を明確にする
- 定着できるような運用方針の策定
- 導入後の定期的な見直し
これらを押さえることで、SaaSを「単なるツール」から「組織の成長を支える資産」へと昇華させることが可能です。
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