Staff Story
#01

AI・IoTプラットフォーム開発プロジェクト
オプティムのサービスの基盤となるプラットフォームの開発秘話に迫る

オプティムが提供する、農業、医療、建設、小売はじめさまざまな分野に向けたソリューションサービス。その基盤となるのが、AI・IoTプラットフォーム「OPTiM Cloud IoT OS」だ。今回はその開発において中心的な役割を担った2人のエンジニアに登場してもらい、プロジェクト発足の背景や開発における課題と苦労、そして「OPTiM Cloud IoT OS」のこれからについて語ってもらった。

Cloud IoT OS開発チーム ITアーキテクト 中野

Cloud IoT OS開発チーム ITアーキテクト 中野

世の中にない仕組みをどう作るか、経験者が市場に居ない中、前例のない物をどう実現させるかに挑み続けるプラットフォーム・アーキテクト

Cloud IoT OS開発チーム Site Reliability Engineer (SRE) 加藤

Cloud IoT OS開発チーム Site Reliability Engineer (SRE) 加藤

設計、実装技術の選定から、実際に動く状態までのバックエンド全般を担当する開発エンジニア

CHAPTER 1

あらゆる産業分野に向けたサービスが動くしくみ、 それを実現するのがOPTiM Cloud IoT OS

まずはOPTiM Cloud IoT OSの概要についてお聞かせください。

中野:オプティムでは、「ネットを空気に変える」というスローガンのもと、農業、医療、建設、小売をはじめとしたさまざまな産業分野に対するソリューションサービスを展開していますが、そこで重要となるのが「アプリケーションが動く土台づくり」です。分野は異なれど、カメラや各種センサー、ドローンなどのIoT機器の接続、そこから得られたデータをAIを通じて解析する仕組み、さまざまな機能を効率的に追加する仕組みなどはすべての分野で共通して必要となるものであり、それらを共通化するプラットフォームが欠かせません。それを実現するのがOPTiM Cloud IoT OSです。

加藤:そのようなAI・IoT活用の基盤となるのがOPTiM Cloud IoT OSであり、カメラやセンサーなど、ネットに繋げた「モノ」から情報を取得し、蓄積、解析することで、あらゆる産業分野に対応するアプリケーション開発を効率的に行うことができるようになります。 また、OPTiM Cloud IoT OSというプラットフォームを用いることで、リテラシーレベル問わずあらゆる人が容易に操作を行える直感的なサービスを提供できます。つまりデータ解析、AI・クラウドサービスをシームレスに連携させた新たなユーザ体験を提供するAI・IoTプラットフォームがOPTiM Cloud IoT OSだと言えます。

CHAPTER 2

初歩的な概念実験が起点となり、本格的なプロジェクトがスタート

そんなOPTiM Cloud IoT OSプロジェクトが始動した経緯についてお聞かせください

中野:実は、OPTiM Cloud IoT OSにはもともと前身となる要素開発的なプロジェクトがありました。2014年にスタートしたネットワークカメラを活用した産業分野向けのプラットフォームの概念実験がそれで、当時はOPTiM Cloud IoT OSのようにさまざまな種類のIoTデバイスを接続するものではなく、あくまでもネットワークカメラのみに特化した機能限定型のプラットフォームでした。そこでさまざまな角度から実証実験を行う中で、「これを発展させ、世の中のさまざまなIoT機器の接続が可能な汎用的なプラットフォームにすれば、あらゆる産業分野のニーズに応えられるのではないか」と思い至ったことがOPTiM Cloud IoT OSプロジェクト始動のきっかけです。余談ですが、現在のOPTiM Cloud IoT OSプロジェクトは70~80名もの大所帯のチームですが、当初は私を含む3名程度の小さなチームでした。それだけに一人のエンジニアが企画から設計、開発、テスト、運用すべてを行っていました。

加藤:私も当時の実証実験の頃より参加していましたが、ネットワークカメラだけでなく、ドローンやシングルボードコンピュータ、各種センサーなど急速にIoT機器が市場に広まっていったことで、汎用的なIoTプラットフォームとしての可能性が大きく拡がり、それに呼応してOPTiM Cloud IoT OSプロジェクトも一気に加速したのを今でも覚えています。

CHAPTER 3

形にしてみてはじめて見えてくるもの。それがプロジェクトを加速させていく

プロジェクトの中では、どんな苦労や課題がありましたか?

中野:このプロジェクトはPoC(Proof of Concept:概念実験)段階からスタートしていますので、それこそ課題は山積状態です。技術的な課題はもちろんですが、開発における体制的な問題、リリース後の運用段階における運用的な課題など、フェーズごとに課題やそれを解決に導くための苦労があります。そうした中で強く意識したことは、「まずは形にしてみよう」ということ。形にすることで初めて見えてくる課題があり、同時にプラットフォームサービスとしての進化の方向性なども見えてくる。課題一つひとつがOPTiM Cloud IoT OS進化の歴史だと言っても過言ではないでしょう。

加藤:私はエンジニアとして開発を担当しているということで、開発者目線での課題を述べさせてもらえば「API(Application Programming Interface)のレスポンス速度の改善」という点が挙げられます。OPTiM Cloud IoT OSは機能ごとに独立したサービスの集合体であり、それらサービスが利用するAPIは常に複数のサービスから呼び出され処理を行う特性上、「処理の停滞」というボトルネックが発生しがちです。これが重なることでプラットフォーム全体のパフォーマンスに影響を及ぼしてしまうので、根本的な改善に取り組みました。

CHAPTER 4

自分たちが作ったものが、業界標準サービスとして結実するよろこび

そうして生まれたOPTiM Cloud IoT OSをベースに、早くもさまざまな産業分野に向けたソリューションサービスが生まれています。

中野:OPTiM Cloud IoT OSをプラットフォームとして生まれたソリューションサービスは建設、製造、農業、小売、水産をはじめ多岐に渡りますが、中でも建設業界向けのIoTプラットフォーム「LANDLOG」は、OPTiM Cloud IoT OSの汎用性が大きく生きたサービスだと言えます。このLANDLOGはオプティムが提供するものではなく、コマツ、NTTドコモ、SAPジャパン、オプティムの4社の合弁会社によって提供されるサービスですが、OPTiM Cloud IoT OSの設計思想の一つである「クラウドインフラに依存しない柔軟なカスタマイズ性を持たせる」という特性によって早期実現できたものと考えています。

加藤:自分たちが作ったものが、建設業界のデファクト・スタンダードを目指すソリューションとして実を結んだことは、エンジニアにとっても非常に大きな励みになりますね。

CHAPTER 5

自然なかたちで社会や人々の生活に溶け込む。そんなプラットフォームにしていきたい

これからのOPTiM Cloud IoT OSの展望についてお聞かせください。

中野:OPTiM Cloud IoT OSは、先に述べた「LANDLOG」はじめ、製造、農業、小売、水産など、さまざまな分野に対するソリューションを生み出していますが、現状の形は決して最終的な目標ではありません。やや抽象的な言い方になりますが、私はこのOPTiM Cloud IoT OSを人々にとって「あって当たり前」「使って当たり前」のものにしていきたいと思っています。使う人にかかわらず、自然な形で社会や生活に中に溶け込んでいくようなインフラ――それが私の理想とするところ。それが「ネットを空気に変える」というオプティムの理念を体現することになるものと信じています。

加藤:そんなOPTiM Cloud IoT OSの可能性を探るためにも、私たちエンジニアもどんどんアイデアを述べていかなければなりません。開発や運用を通じて見えてくるもの、感じるものはたくさんあります。それらを“進化の種”に、OPTiM Cloud IoT OSをさらなる進化へと導きたいですね。