Staff Story
#06

IT未経験人材を最速でエンジニアに! オプティムのトップエンジニアが作るIT研修とその創設秘話に迫る

オプティムで行われている、プログラミング未経験の新入社員に対するIT研修。 この研修は、新入社員が約3カ月という短期間で、研修後実際の現場で開発に従事してもらう事を目指し、エンジニアとしての知識や技術を学ぶオプティム独自のプログラムである。 今回はこのIT研修の塾長を任されているお二人に、IT研修創設の理由やその内容について話を伺った。

中野

中野

2014年入社 経営企画本部 エグゼクティブエンジニア

板垣

板垣

2017年入社 R&Dチームエンジニア

CHAPTER 1

理系出身の二人が携わるオプティムの多様な業務内容

まずはお二人の大学時代の研究内容やオプティムとの出合い、現在の業務を教えてください。

中野: 大学時代はユビキタス系の研究室で、屋外のフィールドに設置するセンサー端末のソフトを中心にしつつも、最終的にはセンサ端末そのもの、いわゆる基板や電源などのハードウェアまで作っていました。

オプティムには、新卒エンジニア向けの求人経由で出会いました。社長面接で、当時はまだIoTやディープラーニングといった技術が流行る前ですが、今で言うAI、IoT、ビッグデータを活用したHDDの故障予測についての議論になり、その実現を自分が担いたいと思ったのが入社の決め手です。入社当初はネットワークカメラのIoT活用に関する研究開発や、ごく短期間でしたがMDM(Mobile Device Management)製品の企画も担当し、2015年頃には新規事業の企画や研究開発、プロダクト開発、検証、運用まで行っていました。新卒の研修に携わるようになったのは昨年からです。

板垣: 大学時代は情報理工学部知能機械工学科に所属していました。マウスの脳を解析して、マウスが低酸素状態のときに脳微小血管やグリア細胞がどのように変化するか、という内容の研究です。

オプティムとの出合いは、逆求人型のイベントがきっかけです。最初はインターンで参加していた別の会社に就職しようと思っていたのですが、他の会社も見てみようと逆求人イベントに参加してた時にオプティムと出会いました。最終的には「一緒に働く人達」「社会貢献性」「技術力」という私が就職活動の軸としていた三つの観点で総合的に見て、オプティムに入社する事を決めました。

入社1年目は社内向けのAI教師データのアノテーションツールを作っていて、2年目からはそのツールを社外向けのプロダクトとして出すための開発をしていました。3年目である昨年度は新卒IT研修の副塾長や、AI Voice RecorderのAPIサーバーやWebアプリの開発を担当していました。

入社したときはまだプログラミング歴1年半と経験が浅かったので、1年目からツールの開発をすることになったのはかなりタフでしたが、すごく成長できたと思っています。

CHAPTER 2

IT未経験新卒メンバー達の優秀さと育成担当の情熱がIT研修創設のきっかけ

続いて、お二人が塾長として任されているオプティムのIT研修の概要を教えてください。

中野: このIT研修は、非情報系・非工学系出身者に「本気でエンジニアになってもらう」ことを目的とした、IT人材の育成プログラムです。

これは持論ですが、ある物事を理解している人と理解していない人の間の溝は些細なもののように見えますが、実は大きなギャップがあります。多くの物事は単純に覚えればいいというものではなく、その本質を理解する必要があり、理解へのステップや道筋も人それぞれ違うものです。そして、理解し終えた人は理解していなかった当時の自分の気持ちやその過程を徐々に忘れていきます。これを忘れた人が教育を主導すると、このギャップを上手く越えさせてあげられない教育になってしまいます。

私自身は情報系出身ですが、ITを学んだのは大学に入ってからです。この時点の私は、今回の研修受講生と同じような境遇でしょう。そして大学の授業では私はエンジニアリングの本質を理解出来ませんでした。大学の情報系の授業の多くはどちらかというと理論ベースで基礎を重視しており、応用や実用、リアルな現場の話は控えめです。これが自分には向かなかった。当時は苦手意識さえ持っていました。

変わったのは大学4年の研究室配属がきっかけです。研究室では、まずは作ってみる、その中から学んでいく。先生方のこの指導方針が自分にあっていたのだと思います。このきっかけがなければ今の自分はなかったと思います。

このIT研修の設計は、当時の出来なかった頃の自分が出来るようになるまでの原体験を再現しています。エンジニアリングに目覚めるのが遅かったことが幸いし、まだ当時の理解できなかった自分を覚えていたからこそ出来ました。当時の自分と同じ、分からないから、知らないからこその苦手意識。これをまずは手を動かして、「作ったものがちゃんと動く」という成功体験を得てもらい、苦手意識を払拭するところから始めます。こうしてまずは苦手意識を無くしたうえで、ITのいろはを教えるという流れで学習していきます。知識は1日1時間、3カ月間かけて40回ほど講義を行い、コンピューターの仕組みや、最新の開発に使っているマイクロサービスの設計まで教えます。並行して、プログラミングを個人開発、チーム開発とステップを分けた開発研修の中で学びます。

業界屈指の技術力を誇るオプティムが、なぜ非情報系新卒メンバーのIT教育を始めたのでしょうか。

中野: オプティムは「農業×IT」のように、あらゆる産業をITを使って変革するお仕事をさせてもらっています。この取り組みでは、産業側の知見を持つ方々、例えば農学部出身の方にも活躍出来るフィールドがありますので、農業事業の企画職の採用を行っていました。実際に採用してみて感じたのは、候補者の皆様がとにかく優秀で人格的にも素晴らしい方々ばかりだという事。そんな優秀な彼らであれば、ゼロからITスキルも習得できるのではないか、また、ITスキルを習得すれば、活躍のフィールドが無限大に広がっていくのではないかと考え、IT研修をやろうと思い至りました。

もちろんエンジニアが世の中全体として足りていないというマクロ要因もありますが、優秀なIT未経験新卒メンバーとの出会いが、IT研修という発想の原点となりました。

そういう背景があったんですね。しかし、即戦力の人材ではなく、IT未経験の人を採用するのは育成に時間がかかってしまうリスクもありそうです。

中野: IT未経験でオプティムに応募して下さる方を見ると、大学での研究活動や留学経験など、学生時代に自分なりにしっかり勉強してきている人が多いです。まず、こうした方は普段から努力しているという仮説がありました。

また、このIT研修を企画している時に話していた、ある「例え話」があります。「地方大会止まりのサッカー経験者と、ラグビーで国体出場経験者がサッカーで勝負をしたらどっちが勝つか」という話です。通常ならサッカー経験者が勝つと考えます。それは、やった事がある人と無い人の差がありますから当然です。しかし、少しでもサッカーのやり方を教えトレーニングの時間を与えれば、最終的にはラグビー国体出場経験者が勝つ事が出来るのではないかと考えました。なぜなら、ラグビー国体出場経験者の方がアスリートとしての基礎体力や学習力が圧倒的に高いからです。

これはエンジニアの世界でも成り立つと我々は考えました。IT未経験でも知的アスリートとしての基礎体力・学習力の高い優秀な方であれば、ITスキルを身につけ優秀なエンジニアになれると思います。実際、2019年の新卒の皆様の成長を見ていると、この仮説は正しかったと確信しています。

実際に採用した方々の優秀さがIT研修実行の決め手となったのですね。それ以外のきっかけはありましたか?

中野: あとは、板垣さんの育成に対する熱い思いもIT研修創設のキーでしたね。ある日の懇親会で、板垣さんが社長に育成の重要性について熱く語った事があったそうです。その時ちょうど社長もIT研修の構想を考えていた時で、「育成に対してそこまで熱い思いを持っている板垣さんのような方が居ればIT研修は必ず成功する」と思ったそうです。オプティムらしいエピソードですよね(笑)。

板垣:ちょっと恥ずかしいですが、確かに教育については前から関心があったのでお話させて頂きました。実際、その翌日に社長から「IT研修よろしくな」と副塾長に任命して頂いたのには、さすがに驚きました(笑)。私の思いを真剣に聞いて下さりチャンスを頂けた事は本当に感謝しています。

CHAPTER 3

ITスキルだけでなく、 自ら学び自律的に成長できる力を培うIT研修

知識や技術を身に付ける以外に、IT研修の狙いはありますか?

中野: エンジニアチームに配属された後の実際の動きを想定してチーム開発を体験したり、スケジュール管理もタスクに組み込んだり、いろんな経験や失敗から勉強してもらうことも狙いの一つです。

それに、私もこの3カ月のプログラムのみでは全員をエンジニアとしてすぐに実践で活躍出来るようになるのは相当難しいと思っています。おそらく大半は付け焼き刃的な部分が残るでしょう。研修をやるからには、1人でも多く即戦力として活躍できる人が出てくる事を期待し、塾長として全力を尽くしますが、大きな方針としては、あとで配属されたときに断片的に学んだ事を思い出して、その時に改めて勉強するための引っかかりが作れたらいいと思っています。

あと、この研修で口を酸っぱくして言っているのが「ググり力」の重要性です。ITに関するたいていの答えはGoogleにありますので、うまく検索し自らの力で情報を獲得し状況を打開出来る力を身に付ける事が重要だとお伝えしています。

IT研修を実施していく中で印象に残っていることを教えてください。

中野: 基礎的な知識を身に付けるための最初の学びの辛さは、受講者全員に大なり小なりあったと思います。外国語学習と同じで、最初が一番退屈で大変なんですよね。そうした辛さも乗り越えて、挫折者が出ずに無事終わったこと自体が一番印象に残っています。

研修を受けた人の配属先はさまざまですが、研修で学んだ知識は現場で生きているようです。IT研修を乗り越えた人達がみんなそれぞれに成長してくれているのが本当に喜ばしいです。

板垣: 私にとって印象的だったのは受講者にエンジニアリングベースで考える思考が身に付いたことです。最終的には営業配属になったのですが、最後までプログラミングに苦戦していた受講者がいたのですが、その方が分からないことを自分で調べて積極的に質問してくれたのが思い出深いです。どんな職種でも、エンジニアの視点を合わせ持って考えられる人は強いと思います。

受講者を見て、IT研修前後で他にどのような変化がありましたか?

中野: 前半に伸びる人もいれば、後半にグッと伸びる人、また研修後に配属先で開花する人など、人によって伸び方が違うことが分かりました。次回以降はその伸び方も含めて研修を設計したいです。

板垣: 学生時代って、そんなに質問する経験ってないじゃないですか。しかしIT研修を通じて、受講者には分からないことに対する「ググり力」、そしてそれでも分からないときに質問する力が身に付いたと思います。それが受講者の成長につながっていると思います。

CHAPTER 4

生きたITスキルを身に着け、 世界を変える主体となるキャリアを実現

最後に、オプティムにはどんな人が向いていると思いますか?

中野: オプティムはやりたいことが明確にある人や、世界にいい影響を与えるサービスを作りたいという人と親和性が高いと思います。今は農業や医療とITを掛け合わせていますが、領域は関係なく、根幹にある「ITで世界に良い影響を与える」という理念に共感できる人が一番向いていると思います。

板垣:私はキャリアについてあれこれと考えるやり方がよく分からないのが正直な気持ちです。自分が何をしたいのか、こうしたいという思いがあれば、それが自然にキャリアになっていくのではないかと思っています。

オプティムには人事制度もありますし先人の辿ったレールという意味でのキャリアパスはあります。しかし、それに捕らわれず主体的に取り組めば、もっと様々なチャンスを勝ち取る事が出来る組織ですので、まずは「自分が何をしたいのか」を大切にしてほしいです。

そういった方々がもしIT未経験なのであれば、オプティムにはIT研修があります。キャリアの可能性を無限に広げる大きな武器として、ITスキルを身に着けて欲しいと思います。そのためにも、塾長としてIT研修をもっと良いものに進化させていきたいと思います。